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【週刊】目が覚めるとそこは…異世界だった!【第6章、連載中。長編にも拘わらず読んでくれてありがとう】】  作者: 鷹茄子おうぎ
第4章 パルシファルの嫁と姑

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フェストネ公園

もちろん、俺達の予定は魔法樹の健康診断だけではない。それだけならすぐに終わってしまう。物見遊山という訳ではないが、パルシファルのような大きな街には色々と見どころがあるからな…少しくらい見物しても構わないだろう。


その中でも多くの人が訪れるのがフェストネ公園だ。俺達もそのうちの一組ってことになる。この公園は、パルシファルの外れのそのまた外れにある広大な公園だ。


フェストネ公園には季節に応じた数々の庭園がある。今は初夏の庭園が一番人気だ。なにせこの庭園は今が見頃の草木でいっぱいだからね。まずはここを見るべきだろう。


「初夏の庭園を象徴する花と言えば、間違いなくアジサイですよ~」

植物と言えばドルイドのフェリシアさんである。当たり前のようにこの庭園に植えられている植物の話をしてくれた。まずはアジサイだ。6月から7月にかけて開花するアジサイは、俺でも分かるぐらいにポピュラーな植物である。


「白い花や青い花、それから紫と赤い花。アジサイは色々な表情を持つ花ですね」

ユリーシャは興味津々のようだ。


「花を青色にしたい場合はピートモスやミョウバンを与えれば青い花が咲きます。逆に赤色にしたい場合はカキ殻などから作られた肥料を使うといいのですよ~」

「土壌の性質で色が変わるのですね…不思議です」

フェリシアさんとユリーシャ。まるで師匠と弟子のようだ。


「花の色は開花してから日が経つにつれて、少しずつ変化していくのです。最初は薄い黄緑色の花で、それが段々と赤や青に色付いていく感じですね~」

「最初から赤や青に色付いている訳ではないのですね…」

これは勉強になるね。


「そうです。その後は土壌の性質とは関係なく青色の花も赤味を帯びるようになります。最終的には色褪せて、その花の一生は終わりを迎えるのですよ~」

ほんわかと話されると、いまいち儚さを感じられない。フェリシアさんだから仕方がないんだけど。


「花の終わりが近付いてきたら、剪定してドライフラワーにして楽しむこともできますよ~」

「園内のお花屋さんでも売っていましたね」

そこはまだ見ていないんだけどね…不可視の錫杖で覗き見したな?俺の視線に気が付いたユリーシャは、小さく舌を出した。てへぺろ、可愛いね。


まだ行っていない花屋のことがなぜ分かるのか?もちろん、フェリシアさんはそんなことを気にしない。それでこそフェリシアさんである。アジサイに関わる色々な話を聞きながら、俺達は白いアジサイが咲き誇るエリアに差し掛かった。


「白いアジサイには『寛容』という花言葉があるのです。パートナーと認め合うという意味を込めて、結婚式の装飾で人気がありますね~」

結婚式という言葉に、ユリーシャはわずかに顔を赤らめ、こちらをチラチラと見てきた。ここは気付かないふりをすることにしよう。


すると、それを見たカレンが思いっきり肘鉄を食らわしてきやがった。PMAを着ているからそんなに痛くはないけど、もう少し手加減しようぜ!


「それから、青いアジサイには『辛抱強い愛情』という花言葉があります。この時季のアジサイは雨に耐えて咲くもの…そんな姿からそのようなイメージが連想されたみたいですね~」

フェリシアさんの説明を聞きながら、俺は腑に落ちないものを感じていた。


雨に耐えて咲くのは青いアジサイだけではないだろう…赤や白のアジサイも雨の中で咲いているはずだ。もっと言えば、この季節に咲く花はどの花も雨に打たれながら咲いているのだ。こじつけだよな。


「辛抱強い愛情…」

もっともユリーシャは何やら深い感銘を受けているようだ。人それぞれですね。


「そして、赤いアジサイには『元気な女性』という花言葉があります。赤は情熱的な色だから、ぴったりな花言葉ですね~」

「これはミリッサですね」

それには俺も異論の余地はない。


「それかザナだな」

「そうですね」

ユリーシャもクスクスと笑っている。


あの2人はきっと…いや、間違いなく今日も元気にやっているはずだ。でも、今はくしゃみをしているかもしれない。


「花の色に関係なく『和気あいあい』という花言葉もあります。アジサイの小さな花がひしめき合って咲く姿に由来しているのですよ~」

これには納得しかない。


「邸宅での日々を思い出しますね…」

「そうだな…」

あそこでの生活は和気あいあいという言葉がぴったりだった。みんな元気にやってくれているといいんだけどな…便りがないからきっと大丈夫なんだろう。


この初夏の庭園には、アジサイ以外にも様々な花が咲き揃っている。迫力抜群の存在感を放つダリアや、涼やかな花火のようなアガパンサス、それからフリルのように波打つ花びらを持つカーネーション、等々。この時季には実に多くの植物が花を咲かせている。


フェリシアさんの話はこういう所でしか聞けそうにないもので、ユリーシャ以外にも俺とカレンは興味深く聞いている。一方でアマユキは周囲に気を配っている。俺もユリーシャも不可視の錫杖で観察しているから大丈夫だと思うんだがな…。


「ここにはいいポイントがあちこちにあるわね」

俺の視線に気が付いたアマユキは、いかにもハンターらしい評価を下した。これには苦笑せざるを得ない。


それではもう一人の一位武官はどうしているのかというと…ひらひらと空を舞う蝶を眺めているようだ。いかにもティアリスらしいね。


初夏の庭園以外にも早春の庭園や盛夏の庭園など、このフェストネ公園には季節に応じた庭園が造られている。それらの庭園は新緑に覆われていて、これはこれでいいものだ。


広大なフェストネ公園をたったの1日で見て回るのは至難の業。仮に見て回ることができたとしても、それぞれの庭園は季節に応じて様々な顔を見せる。理想は1年をかけてじっくりと見ることだろう…それは難しいから、このパルシファルにいる間はなるべく見に来たいものだ。

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