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【週刊】目が覚めるとそこは…異世界だった!【第6章、連載中。長編にも拘わらず読んでくれてありがとう】】  作者: 鷹茄子おうぎ
第4章 パルシファルの嫁と姑

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ピーノリブロ

時計を見ると、15時を少し回ったところだった。カレンが淹れてくれた紅茶でまったり寛いだ後は、銘々が思うがままに時を過ごすことに。こういう時にやるべきことは決まっている。バットの素振りに剣術の復習、それから筋トレと彗星の一撃をもとにした身体操作だ。


趣味のバットの素振り以外は、魔法戦士である俺の能力を維持するのに必須のトレーニングだからな…疎かにはできない。ライラリッジの白の部屋を彷彿とさせる小さな鏡界で、しっかりと体を動かしてから元の世界に戻ることにしよう。


その間は不可視の錫杖を外に飛ばして、ひそかに観察もしておいた。このパルシファルでも、サクリファスと同じように何らかの事件に遭遇する可能性が高い。となると、特に目的などなくても観察をすることで、その芽を見つけることができるかもしれない。


『ピーノリブロ』の周辺だけでも、実に様々な人がいるようだ。中にはいかにも…って感じの怪しいヤツもいるが、特に何事もなく平穏に時は流れていった。


そうこうしているうちに、夕食の時間である。みんなで『ピーノリブロ』に行き、フェリシアさんのおすすめする煮込みハンバーグ定食を注文した。待つこと数分、出てきたハンバーグ定食は期待を裏切らないものだった。


ふっくらとしたハンバーグに、デミグラスソースがたっぷりとかかっている。箸でハンバーグを割るとジュワっと肉汁が!こいつはカメラがあればシャッターチャンスだぜ!そんなもんないけどさ。デミグラスソースの湯船に浸かった照り照りのハンバーグを食べると、美味しさが溢れ出して…いやいや、飛び出してきた!


「肉の甘みとデミグラスソースのすっきり感が素晴らしいな…」

「甘みと酸味のバランスがバッチリですね~」

カレンとフェリシアさんに太鼓判を押されるまでもない。このハンバーグは…旨い!


「肉々しい感じが堪らないでし!」

ティアリスは満面の笑みを浮かべている。間違いなく大満足ってヤツだ。


「やっぱりハンバーグは牛と豚の合い挽きミンチよね」

ハンターのアマユキさんは目の付け所が違いますな。


「付け合わせのお野菜の彩りも綺麗ですね…」

こちらも目の付け所が少し違うユリーシャ。キャベツをメインに紫キャベツとパプリカ、それからトマトをバランス良く配した色合いは確かに綺麗だ。ユリーシャには芸術的センスがあったりなかったりするが、今回の目の付け所はいいと思うぜ。


旨すぎる煮込みハンバーグを堪能した後はティータイムだ。店内をぐるりと見回すと、壁際に棚が設けられていることに気が付いた。そこには実に様々なものが展示されている。リスやクマを象った木彫りの人形に、気軽に飾ることができる小さなサイズの絵。さらに陶器やトートバッグまである。


「展示されているものはここの店員さんや常連さんが作ったものです。気に入ったものがあれば、購入することもできますよ~」

なるほどね。多種多様のものが置かれているのも納得である。


「ここは地域の人の憩いの場になっているのか…」

だから、今日も賑わっているのだ。


初対面の時はほんわかしていた女将さんも、今はてきぱきと注文をこなしている。それでも対応しきれていない。それを見て、厨房から女の子が応援に出てきた。手伝いを買って出るお客さんもいるようだ。こういうところは『ティート』と似ているね。


待っているお客さんもいるようだし、俺達はコテージに戻ることにしよう。会計の際に、ほんわかな女将さんがカレンに何やら紙切れを渡していた。何でしょうね?気にはなるが、ここで話すことではないだろう。コテージに戻り、みんながリビングに入ったところでカレンが口を開いた。


「『ピーノリブロ』の営業が終わった後に、女将さんのシェリルが挨拶に来るそうだ。私達はそれまでゆっくりしておこう」

そういうことか…ならばその時が来るまでのんびりしておきますかね。


『ピーノリブロ』は22時まで営業している。これも『ティート』と同じ。食堂の近くにコテージを造るスタイルといい、営業時間といい…テンプレのようなものがあるのかもしれんね。もちろん、『ベルドゥラ』のように1階がレストランで2階が宿泊施設になっているパターンもあるから一概には言えないが。


何にせよ、シェリルさんがやって来るのは22時を過ぎてからだ。それまでは明日以降の打ち合わせをすることにしよう。


今のところは平穏だが、俺達がこのパルシファルで事件に遭遇する可能性は高い。その前に魔法樹の健康診断を終わらせておきたいところだ。もちろん、話は魔法樹の健康診断だけでは終わらなかった。


「せっかくだからフェストネ公園を見に行きたいでし!」

口火を切ったのはティアリスだった。どうやら今回も観光をしながら魔法樹の健康診断をすることになりそうだ。


「あそこは季節の花々がいつも綺麗に咲き誇っていますから…必見ですよ~」

フェリシアさんが言うなら確かだろう。


「ザカリヤさんもよく見に来ていたそうです」

それはどうでもいい。


「素は出さなくてもいいのよ」

アマユキの言う通りである。もちろん、フェリシアさんはへこたれないが。


「それから風車も見にいきたいですね」

「風車?」

ユリーシャの希望は予想していなかったもので、俺は思わず聞き返してしまった。


「このパルシファルは運河の街であると同時に風車の街でもあるのですよ」

そうだったのか…ならばそれも見ておきたいな。


「さしあたっては、フェストネ公園と風車を見に行くルートで魔法樹の健康診断をすることにしよう」

放っておくと観光する場所が際限なく増えそうだ。カレンがそれに待ったをかけてくれた。打ち合わせはほとんど観光話で終わってしまったが…まあ、何とかなるだろう。

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