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【週刊】目が覚めるとそこは…異世界だった!【第6章、連載中。長編にも拘わらず読んでくれてありがとう】】  作者: 鷹茄子おうぎ
第4章 パルシファルの嫁と姑

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都市と田舎

迎えた翌朝、名残惜しいがアルジャンナとはお別れだ。バレガが昨日の残りのミートソースを使って、グラタンを作ってくれた。それをいただいたら出発だ。


「また来てくださいね!」

今日も元気いっぱいのザナと穏やかなバレガが、俺達を見送ってくれた。


「もちろんです。短い間でしたが、ありがとうございました」

ユリーシャが再会の約束を交わし、俺達は『ベルドゥラ』を後にした。


「ハイーーヤッ!」

アルジャンナの村を出ると、よく通る声が谷から聞こえてきた。今日もキプルトはヤギを追っている。近くまで来たところで大きく腕を振り、それを別れの挨拶とさせてもらった。


アルジャンナを発つと、俺達は緑の山中を縫うように走るハルディーン街道を通り、サクリファスを目指して歩き続ける。道中の村々でひと休みすることはあっても長居はしない。ユリーシャには体力的にキツいかもしれないが、それでも文句一つ言わずに歩いてくれる。たいしたもんだね。そうして夕方にはサクリファスに戻ることができた。


思いもよらずアルジャンナに長居することになってしまった。まずは『ティート』に顔を出すことにしよう。カレンが定期的に連絡をしてくれていたので、モカップさんも俺達の帰りが遅いことを心配していなかった。


それでも俺達が無事に帰ってきたことにホッとしているね。美味しい夕ご飯をいただき、モカップさんとどうでもいい雑談をしてからコテージに戻った。


アルジャンナでは、カプセルホテルよりはマシな部屋で日々を過ごしていた。居心地にケチをつけるつもりはない。それでも狭い部屋でずっと過ごしていたので、広々としたコテージには違和感を感じてしまう。じきに慣れるだろうが、少し居心地の悪さを感じるね。リビングでキョロキョロしていると、カレンが紅茶を淹れてくれた。


「少しは落ち着いたらどうだ。ここには危険なんてないぞ」

カレンは呆れたように俺を窘めた。


「ああ…いや、そうなんだが…」

それに対して俺は、歯切れの悪い返事をしてしまう。


「ショウちゃんは小心者でし!」

うるせーよ。


「あんなウサギ小屋みたいな部屋で寝泊まりしていたんだから…仕方がないわよ」

ウサギ小屋とは失礼ですよ、アマユキさん。


どうにも本調子ではない俺だが、同類はもう一人いる。ユリーシャである。何やらぼんやりしているように見える。疲れているのかな?


「どうした?ユリーシャ。疲れているんなら今日は早く寝たほうがいいぞ」

「そういう訳では…」

言いながらユリーシャは小さな欠伸をしてしまった。どうやらお疲れのようだ。俺も人のことは言えないが…。


何となくお開きムードが漂っていたが、それに待ったをかけるように、ユリーシャが口を開いた。


「サクリファスでは事件に遭遇しましたが、アルジャンナでは何も起きませんでした…それはなぜですか?」

考え事はそれか…俺達の目的はあの女の正体を暴き、できれば捕まえること。ユリーシャの疑問はもっともだ。


「どう思う?」

こういう時、カレンは必ず俺に話を振ってくる。自分だって分かっているんだから、説明すればいいのに。


「これまでのあの女の行動パターンを見ると、自ら手を下すということはほとんどない。ライラリッジの件を除いたらな」

それでも俺はちゃんと説明してやる。


「それ以外ではアルクニクス商会の組織力を使って事件を起こしている。そのやり方はアインラスクやサクリファスのような都市では有効だが、ミランミルやアルジャンナのような田舎ではあまり有効じゃない」

この見立ては間違ってはいないように思える。


もちろん、これは推測の域を出ないものだ。それでもあんな田舎街や辺鄙な村に、アルクニクスの関係者がそんなにいるとは思えない。そして、誰も何も言わないところを見ると、どうやら考えていたことは一緒だったようだ。


「そう…ですね…」

これにはユリーシャも納得してくれた。同時に理解したのだろう。これから行くことになるパルシファルで、何らかの事件に遭遇することを。


「何も起きないことは良いことですよ~」

ほんわかさん、いいこと言ってくれますね。


束の間かもしれないが、平穏は大事にしたいところだ。ユリーシャもはにかみながら頷いてくれたし、考え事の答えにはなったはずだ。さあ、明日からパルシファルだ!

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