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【週刊】目が覚めるとそこは…異世界だった!【第6章、連載中。長編にも拘わらず読んでくれてありがとう】】  作者: 鷹茄子おうぎ
第4章 パルシファルの嫁と姑

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アルジャンナの音楽会

アルジャンナに戻ると、奇妙に浮わついた空気が村を支配していた。何なんでしょうね?気にはなるが、とりあえず『ベルドゥラ』に戻ることにしよう。そこはいつもと違って妙に慌ただしかった。


「あっ、おかえりなさい!」

それでも元気一杯にザナが出迎えてくれる。


「ただいま。随分と慌ただしいようだが…今日は何かあるのか?」

カレンが繁盛しているレストランを見回しながらザナに尋ねた。


「今日はアルジャンナの定期音楽会があるんです。ウチにとっては月で一番の書き入れ時なんですよ!」

忙しそうではあるが、ザナは嬉しそうに答えてくれた。


「ただ、メニューはなすのミートソースパスタだけになるのですが…」

ユリーシャの手前とあって、ザナは申し訳なさそうだ。カレンがちらりとユリーシャを見やると、ユリーシャはこくりと頷いた。なら決まりだな。


とは言え、これだけ人が多いとね…少しばかり待つことになっても仕方がないか?と思っていたら、そこは気配り名人のカレンさんである。今回もしっかりと仕事をしてくれていた。俺達の席は予約済みで、たいして待つこともなく夕ご飯にありつけた。


あの鶏ざんまいを作ったバレガの作るなすのミートソースパスタだ。美味しくない訳がない!期待に胸を膨らませながら、パスタをフォークでくるくるっと巻いてパクリと食べると…う、旨い!


やわらかいナスの食感とトマトの風味がとてもよく合っている。パスタに絡むような濃厚な味は、ひき肉の旨味がぎゅっと詰まっているかのようだ。旨味が際立つとはこのことだぜ。


改めて俺は店内をぐるりと見回した。満席である。テイクアウトをしている人もいる。さすがにザナ一人では捌けないので、村の若い女の子達が手伝ってくれているね。おかげで待っている人はそんなに多くはない。かなりのペースでパスタは提供されているようだ。


これほどのペースで提供するとなると、おそらく作り方は簡単なはずだ。それでいてこんなに本格的な味を実現できるんだからな…料理ガチ勢のカレンとフェリシアさんも感心しきりである。


激ウマパスタを堪能したら『ベルドゥラ』を後にし、まずは広場で行われている演奏を見に行こう。そこでは踊り出したくなるような躍動感のある曲が演奏されていた。みんな手拍子をしたり膝でリズムを取っているね。演奏している人達は年配の人が多いようだが、音楽は若々しい。


手にした楽器は縦笛や横笛など、見慣れたものが多い。でも、中には見たことがないような楽器を巧みに操っているおじさんやおばさんがいる。


「あれは何だ?」

こういう時は、物知りユリーシャに聞いてみよう。


「あれはバグパイプです。笛と袋が合体したような変わった楽器ですよね」

なるほど…。


「その隣の方が演奏している横笛はフルートで、縦笛はティン・ホイッスルですよ」

フルートなら俺も知ってるぜ。ティンナントカは知らんかったけど。


曲調が変わり、今度は穏やかな旋律が広場を満たした。まるで長い時間をかけて熟成させたような…深みのある音色だ。


いつのまにやらティアリスとアマユキ、それからフェリシアさんが姿を消していた。この広場以外でも色んなグループが演奏をしているからな…そっちを見に行ったんだろう。


「とても素敵な音楽ですね…」

「あのハーブがいい味を出してるよな」

なぜかカレンが笑いそうになっている。何ですか?


「あれはレバーハープですね。グランドハープと違って弦1本1本についているレバーを操作して音を変えているのです」

ユリーシャもフェリシアさんのようにニコニコしている。何なんでしょうね?まあ、いいけどさ…。


再び曲が変わり、今度は何かが始まりそうなワクワクする感じの曲になった。まるで冒険の日記を書いているような…そんな感覚になる。


「フィドルが効いているな」

広場に来てから妙に口数が少ないカレンが、満足げに頷きながらこの演奏を評した。やはりある程度は喋ってくれないと調子が狂うよな…それはともかく、気になることがある。


「あれはヴァイオリンじゃないのか?」

「クラシックの音楽家はあの楽器をヴァイオリンと呼んでいます。でも、伝統音楽の演奏家はあの楽器をフィドルと呼んでいるのです」

ユリーシャの説明は理解できるが、何だかなぁ…どちらかに統一すればいいのに。


ここまで注目したのは管楽器や弦楽器だが、もちろん打楽器もある。片側だけに皮が張られたお盆のような形の手持ち太鼓はバウロン。その形の示す通り、お盆がルーツだ。見たことがないような打楽器もある…2つのスプーンをくっつけたような楽器だ。


「あれはスプーンズですね。木製の2つのスプーンを繋ぎ、丸くなっている方が向かい合うような形になるように作られているのです」

もちろん、ルーツはスプーンだ。よくこんな使い方を考えたよな…。


アルジャンナだけではなく、近隣の村々からも演奏家がやって来て催される音楽会は盛況だ。この村の数少ない娯楽の一つなんだろう。今日だけなのがもったいないぐらいだが、この音楽会は毎月開催されているから1日でいいのかもしれない。ここは終着の村だけど、本当にいい村だよな。

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