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【週刊】目が覚めるとそこは…異世界だった!【第6章、連載中。長編にも拘わらず読んでくれてありがとう】】  作者: 鷹茄子おうぎ
第3章 サクリファスの亡霊

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真相は闇の中に

「中に入っても?」

面食らっている俺に、ニルスライズが確認してきた。


「ああ…どうぞ」

こんな所で立ち話をする訳にはいかない。俺は2人をリビングに通し、みんなを呼んできた。


「突然の訪問をお許しください」

ニルスライズがユリーシャに詫びる。


「いえ…それでどのような要件でしょう?」

問われてオルティスが手提げ袋に入っている紙を取り出し、一人ずつに手渡してくれた。新聞の一部のようだ。日付は…明日のものになっている。


「この事件の当事者ですから…目を通しておいてほしいのです」

ニルスライズに言われるまでもなく、新聞をざっと見てみると…殺されたゼーリックが偽者だったこと、本物のゼーリックが捕まったことなどが伝えられている。だが、バーンズこそがゼーリックだった…という肝心の事実は一切書かれていない。


「どういうことだ?」

真実を知っている者なら、誰もがそう思うはずだ。


「バーンズは洗いざらい話してくれた。その情報は…特に赤い髪の女の配下の者やアルクニクス商会との密接な関係は、レガルディアにとっても有益なものだった。さらにバーンズはすべての罪を認め、どのような罰も受ける準備はあると表明した。おそらく死罪になるだろう」

覚悟はできているようだが、それだけではないだろう。


「その見返りはなんだ?」

アイツなら必ずそれを要求するはずだ。


「事件の真相を今後100年は公表しないこと。100年後となると、当事者は全員この世にはいないだろうからな」

要するに隠蔽するってことだ。何でもないことのように淡々と答えるニルスライズに苛立ちを感じるが、こいつはこういうヤツだから仕方がない。


「年老いた両親に心配をかけたくないとのことだった」

「他人の家族をメチャクチャにしておいて…よくもまあそんなことが言えるもんだな」

嫌味の一つも言いたくなるぜ。


「ショウの言うことも分かるけどよぉ…ゼーリックの身内ってことがバレると、親族は間違いなくやられるぜ。関係ないだなんて言ったところで通らないだろうしな」

ざっくばらんに解説してくれたオルティスの言い分は…確かにその通りだろう。復讐の連鎖はどこかで断ち切らなければならない。


「レガルディアはどう考えているんだ?」

そこは押さえておきたいところだ。


「この件はレガルディアにとってはサクリファスの内政問題だ。よって関知しない」

確かにその通りだろう。だが、同時にサクリファスの弱みを握ることにもなる…悪くはない判断だ。


「じゃあサクリファスは?」

「不祥事を表に出したくないのはどこも同じだろう」

そりゃそうだよな。


俺がニルスライズとあれこれやり取りしている間に、アマユキとティアリスは別の記事に目を付けていた。


「バーンズは体調不良で静養するようね…」

「ダスラー君は昇進するみたいでし」

一位武官コンビが見ているのは、新聞の片隅に小さく載っている人事異動を伝える記事だった。


バーンズはひとまず静養させ、その後に回復することなく亡くなったことにするつもりだろう。そして、ダスラー君は昇進させることで口止めするってことか…もちろん、ダスラー君にかけられていた疑惑はすべて晴れ、謹慎も解かれている。


「では、ルゼットはどうなるのだ?」

カレンの疑問は当然のものだ。あの娘もこの事件の真相を知っているのだからな。


「ルゼットは将来的にカサラギ商会を再興したいと思っているようだ。それにはアルクニクス商会が全面的なバックアップを約束している」

なるほどね…上手いこと立ち回るもんだ。さすがは世界一の商会だな。


「すべての関係者に根回しを終えて、あとは私達だけということですね~」

今日もほんわかだけど、トゲがありますね。


「端的に言うとそういうことになる」

その根回しにはニルスライズも一枚噛んでいるんだろう。ムカつくほどに仕事ができるよな、お前。


「固いこと言うなって。硬いのはアレの時のアレだけで十分だろ?」

この状況で下ネタをぶっこんできたオルティスには、苦笑せざるを得ない。なぜか女子達の冷たい視線が俺に向けられているのは、納得できないが…。


「納得していただけたでしょうか?」

ニルスライズがユリーシャに決裁を仰いだ。


「納得はしていません。ですが、理解はしました。これで進めてください」

「了解しました」

それは必要なことかもしれないが、ニルスライズがやると嫌味に感じるね。


「ところで…ランドルフはどうしてる?」

別に気にしている訳ではないが、場の空気を変えるために聞いてみた。


「ランドルフは裁判中の身で、ライラリッジから出ることを禁止されている」

さいですか…さもありなんだな。


「お互いに女遊びは程々にしねえとな!」

再び下ネタをぶっこんで、オルティスはガハハと馬鹿笑いをした。本当に下ネタが好きだよな、お前。再び女子達の冷たい視線を一身に浴びることになったのは納得できないが、雰囲気を変えることはできたようだ。


「それでは…」

ニルスライズとオルティスはユリーシャに最敬礼をし、コテージを後にした。誰に言われるでもなく、俺達もそれぞれの部屋に戻っていった…これ以上、リビングで膝を突き合わせる必要もない。


明日は朝早くから動く必要がある。今日は早く寝たほうがいいが、その前に今回の事件の総括をする必要があるだろう。俺は自室に戻り、ベッドに横になると大きく息を吐いた。


一端とは言え、あの女の配下が分かったことは大きな収穫だった。実際に一戦交えたことで、その強さを実感できたことも今後の対策に活かせるだろう…例えばティアリスとのコンビの確立とかね。


だが、このサクリファスにもあの女の姿はなかった。アインラスクの時もそうだったが、俺達がやってきた時にはあの女はすべての仕込みを済ませた後なのだ。今回もあの女の手のひらで踊らされていたことに変わりはない。


ならばどうする?先手を打つか?俺達の表向きの目的は、魔法樹の健康診断である。多少の融通は利くはずだ。


まあ、どのような手を打つにせよ、やり残している仕事は片付ける必要がある。アルジャンナまでの魔法樹の健康診断。まずはこれを終わらせてから次へ向かうことにしよう。

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