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【週刊】目が覚めるとそこは…異世界だった!【第6章、連載中。長編にも拘わらず読んでくれてありがとう】】  作者: 鷹茄子おうぎ
第3章 サクリファスの亡霊

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一栄一落

少しの間留守にしていたサクリファスには、特に変わったことは起きていなかった。もちろん、老魔法使いとヴァルキュリアの姿はどこにもない。もしいたら、それはそれで困るんだけどね。


バーンズとギルマ、それからゴロツキ共にオーガ。こいつら全員を俺達だけで連行するのは無理なので、ダスラー君が呼び笛で同僚の魔法戦士を呼んでくれた。もちろん、音は鳴らない。呼び笛って便利だよな。


「こんな時間ですから…来るのは時間がかかると思います」

ダスラー君は申し訳なさそうだが、そんなに気にすることはないと思うぞ。


「構わないさ」

別に急ぎの用でもない。だから、来てくれるまで待っていればいい。


その間特にゴロツキ共が騒がないように、ユリーシャが眠りの魔法で眠らせた。バーンズとギルマには何もしないが、2人ともおとなしくしている。観念したのか…それとも、この窮地を脱する策を考えているのか…それは分からないが、このまま従順でいてほしいものだ。


ダスラー君の言っていた通り、サクリファスの魔法戦士が到着するまでには随分と時間がかかった。それでもいつかは来るものだ。


やってきた魔法戦士達はバーンズがお縄に掛かっていることに驚いていたが、ダスラー君から事情を聞き、それから粛々と連行していった。もちろん、俺達もついていく。最後まで油断すべきではない。警戒していたものの、襲撃されるようなことはなかった。一安心だな。


俺達が向かった先は三番街にある邸宅。今日までそこの主はバーンズだった。それが地下牢に収監されるとは誰も思わないだろう。一栄一落にしても、何ともはやだ。


「警備が厳重だな…」

ここには不可視の錫杖で一度お邪魔したことがある。その時と比べると明らかに物々しい。


「バーンズは南西部副団長の地位にありますから…彼を慕う者も当然います」

「そうか…」

俺の独り言のような疑問に、ダスラー君は複雑な表情で答えてくれた。


それはバーンズに貶められるようなことがなければ、自分もそのうちの一人だったということだろう。そして、そういうヤツらがバーンズを助けるために、襲撃してくる可能性もあるということを暗に示している。だが、これだけの警備体制であれば大丈夫だろう。


「あとは任せてもいいか?」

だから、俺は事後処理をダスラー君に任せることにした。


「大丈夫です。ただ、明日はご足労願うことになりますが…」

「構わないよ」

ダスラー君は少しばかり申し訳なさそうだが、俺達にとっては願ったり叶ったりだ。


俺達もバーンズには聞きたいことがある。ヤツに話を聞きたいのは俺達だけではないが、今夜のことがあるからそこは配慮してもらえた。バーンズの尋問は明日の昼過ぎだ。そうなると、ここに用はない。ルゼットをダスラー君に託し、俺達はコテージに戻ることにした。


もちろん、万が一に備えることも忘れてはいない。姿を消していた黒猫ゴーレム。アレは今、邸宅の片隅にひっそりと佇んでいる。この黒猫ゴーレムには不可視の錫杖を持たせ、それで密かにバーンズを監視している。何を企んでいようが俺達には筒抜けだ。もっともヤツも最早これまでなのを悟ったのだろう…結局、何もしなかった。


迎えた翌日、俺達はいつもより遅めの朝食を『ティート』でいただいた。モカップさんは、俺達の無事を誰よりも喜んでくれ、カルネイロとマルケサはホッとしているようだった。2人とは昨日少し話したが、留守を預かってくれたことに改めて礼を言っておいた。


そして、エミリアだ。ここは只の食堂ではない。サクリファスにおけるレガルディアの重要拠点だ。それでも只の食堂にしか見えないのは、エミリアがしっかりと回しているから。自身が任務に就くこともあるだろうに…決して『ティート』がお休みになることはない。頭が下がりますよ、ホントに。


昨日の今日だけに、午前中はのんびりと過ごした。そして、約束通りの昼過ぎに、バーンズが収監されている邸宅へ向かう。この事件の謎、洗いざらい喋ってもらうぜ!

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