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【週刊】目が覚めるとそこは…異世界だった!【第6章、連載中。長編にも拘わらず読んでくれてありがとう】】  作者: 鷹茄子おうぎ
第3章 サクリファスの亡霊

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あの雨の夜に

その後、もう少し詳しくダスラー君と幽霊の話を聞いてみた。事の発端はちょっとしたミスが発覚して、ダスラー君とその従者のグラウさんが遅くまで残る羽目になってしまったことだ。ちなみにこのミスはダスラー君のせいではない…一応ね。


ようやく仕事に片をつけ、早く帰りたかったダスラー君は、よせばいいのにバルトリの坂を通り、その先にある公園を抜ける近道をしようと言い出したのだ。グラウさんはあそこは幽霊坂だからやめた方がいいと言ったのだが、ダスラー君は聞き入れず、ああいう結果になったらしい…急がば回れだな。


内輪の話は『ティート』ではできない。コテージに戻り、みんながリビングに入ったところで俺は今後の方針を決めることにした。


「さてと…どうしたもんかね」

幽霊退治、しちゃいますか?


「真偽のほどは定かではありませんが、本当に出るのであれば見過ごせませんね…」

ユリーシャは退治派のようだ。


「出るとしたらゴーストかレイスと言ったところか…サクリファスの魔法戦士には荷が重いかもしれないな」

ダスラー君のような魔法戦士ばかりではないと思うが…カレンの言葉には説得力があるね。


「でも、実害は何もないのよね。だとするとガセっぽくない?」

「サクリファスの人達はビビりでし!」

一位武官コンビはガセ派のようだ。確かに何も起きてないのは妙だな。


「植物に聞いたら、何か分かるんじゃないのか?」

本当なのか、それともガセなのか…わざわざ話し合う必要もない。今日の俺、冴えてるぜ。


「あまり期待しない方がいいですよ~。私達とは世界観がまるで違いますから」

そうか…使い勝手はあまり良くないんだな。


「となると、まずはちゃんと確認してからだな。幸いなことに、魔法樹の健康診断は予定よりも進んでいる…明日の夜に確かめに行くってことでどうだ?」

これにはみんなこくりと頷いてくれた。


「明日は夜の早いうちに雨が降るかもしれないから…ちょうどいいかもね」

「そうだな」

確か雨の日は女の泣き声が聞こえてくるって話だったもんな。それも含めて確かめてやるぜ。よく当たるアマユキ天気予報、便利だね。


迎えた翌日は昨日と同じように魔法樹の健康診断をしていく。フェリシアさんも言っていたが、街中に植えられている魔法樹は状態がいいものばかりで、昨日と同様に問題はナシだ。結局、午前中だけで予定していたすべての作業が終わってしまった。


となれば、一旦『ティート』に戻ってお昼にすることにしよう。幽霊の続報を期待していたのだが、こちらも特に収穫はないようだ。


本当に出るのなら、それは10年程前に死罪になったという女が関わっている可能性が高い…間違いなく何らかの事件があり、死罪になったはずだ。どんな事件だったのか?気になるところだ。これは色々と顔が利くモカップさんが調べてくれることになった。


「お昼を満喫したら、エレンシア劇場に行くでし!」

そう言えば、エレンシア劇場はティアリスの一押しだったでしね!時間はあるけど、今日はまだ仕事が残っているから観劇はなしだ。


エレンシア劇場はリュスギナ大聖堂と同じくサクリファスの中心部にあり、外観も基本的にはシンプルな造りだ。ただし、劇場への入り口は意匠を凝らしたデザインになっている。こういうのを見ると、歴史ある劇場って感じがするよな。もちろん、ここも内部は美しい造りになっている。


「エレンシア劇場の特筆すべき点の一つが、この金色の葉の装飾をあしらった木製の桟敷席なのですよ」

今日も物知りなユリーシャが解説してくれた。


「それは桟敷席を彩るだけではありません。この劇場の中すべてを美しく彩っているのです」

確かに…4階まである桟敷席は、何とも言えない雰囲気を醸し出している。


「美しいな…」

語彙力に乏しい俺の感想は、ありきたりで平凡なものになってしまう。仕方がないね。


「おそらくは見学のみでこの歴史ある劇場の真価を体感することはできないと思います…」

ユリーシャも見学のみで観劇できないことを、残念に思っているようだ。


「今日じゃなくてもいいさ…劇場は逃げたりしないからな」

このサクリファスにずっととどまるつもりはないが、いつ発つのかは決まっていない。


「そうですね」

ユリーシャもくすくすと笑っている。今日は無理だが、幽霊話に片をつけたらみんなで観劇しよう。もちろん、エッチなヤツはお断りだけどな。

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