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【週刊】目が覚めるとそこは…異世界だった!【第6章、連載中。長編にも拘わらず読んでくれてありがとう】】  作者: 鷹茄子おうぎ
第3章 サクリファスの亡霊

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神隠しという現象

「あのPMAですが…黒雷の一部として運用しようと思っています」

エリオット博物館からユリーシャ邸に戻り、一息ついてからユリーシャが切り出した。


「そうだな…それで頼むよ」

黒雷には大量の魔力を蓄えられる仕組みが作られている。今のところ魔力不足に陥るようなことはなかったが、ダンシングワンズの使い方によってはどうなるか分からない。


それに状況によっては新たな魔法具を作ってもらうことになるかもしれない。魔力は多いに越したことはないはずだ。


「それでは、他の5人の分も作りますね」

ユリーシャに念を押され、カレンは一つ頷いた。


「なんでみんな同じものを着るんだ?」

別に違ってもいいと思うが…。


「今回の作戦は困難なものになる可能性が高いだろう…そこで皆が同じPMAを着ることで一体感を作ろうと。そういう話になった」

ついにカレンが喋った。喉でも痛めているのかと思いきや、そんなことはないようだ。


「しかし、どのPMAにするのか…意見が合わなくてな。それでショウが選んだものにすることになったのだ」

なるほどね。


おそらくカレンは俺の選択に満足しているはずだ。そのカレンと意見が合わなかったのは、間違いなくティアリスだ。ロリロリ先輩にとって、あのPMAは地味すぎる。でも、たまには地味子ちゃんでもいいと思うぞ。もとが可愛いんだからさ。まあ、それはともかくとしてだ。


「喉を痛めている訳じゃあなかったんだな…安心したよ」

「ふむ?」

カレンにはいまいち俺の意図が伝わっていないようだ。一体感を作るって難しいね。


「今日は妙に無口だから、喉でも痛めたんじゃないかと思ってさ」

「そんなことはない」

俺の見立てを否定しながら、カレンは意味深な笑みを浮かべた。


「親心…いや、姉心だな」

リアルナさんみたいに余計なお世話をしてんじゃねえよ。


翌日にはPMAを含めた新たな黒雷が完成した。やはりと言うべきか…これまでとは違う違和感がある。これには慣れていくしかない。しばらくは白の部屋のライラリッジに引きこもり、この新たな黒雷の理解に努めることにしよう。


一般人ならぬ一般ゴーレムが歩く通りを、流水の動方ですり抜け、駆け巡る。身に付けた技はこれまで通りにできているように思える。このPMAは装甲を細かく分割することで、着用者の動きをなるべく制限しないように作られているようだ。


「どうですか?新しい黒雷は」

いつもなら陰ながら俺の様子を窺っているユリーシャだが、今は俺の一挙一動に注目している。


「上出来だよ。これなら問題はなさそうだ…さすがだね」

いい仕事をしてくれていると思うぜ。


「ありがとうございます。でも、普通のPMAと比べると、少し防御力が低下してしまうところがあって…そこが玉に瑕なのですが」

「そうなのか…」

そうは問屋が卸さないってヤツだね。


昔の偉い人が言っていたように、当たらなければどうということはない。だが、現実的にはある程度の攻撃を受けてしまうものだ。一方で、どれほど防御力を重視しても衝撃をゼロにすることはできない。


「でも、開発の方向性は間違ってないと思うよ」

これまでの黒雷よりも格段に防御力は上がっているんだし。


「そう言ってもらえると嬉しいです。何か気になることがあったら、何でも言ってくださいね」

「ああ、分かってるよ」

開発者がユリーシャなのは心強いね。


当初、感じていた違和感も、いつしか感じなくなっていた。十分に馴染んだところで3人のお姉様方をはじめとした軍の魔法戦士と模擬戦をしてみる。特に問題はないようだ。これまで通りに動けている。それなら俺の準備は完了だ。


それにしても、まさかこんな展開になるとはね…さすがに思っていなかったよ。だが、決して悪い話ではない。


今日までの間に、俺はレガルディアの概要について勉強してきた。その中には神隠しのことも含まれている。未解明の現象ゆえに分かっていないことの方が多いが、事実だけを丹念に見ていくと、そこにある奇妙な点に気が付いてしまう。


そもそも、神隠しに遭ったのは俺だけではない。これまでに何人もの事例があったようだ…だから、俺を見つけたユリーシャも、俺のことを知ったレガルディアのお偉方も、そんなに驚かなかったのだろう。そうじゃなければ、牢屋に放り込まれていたかもしれない…そういう意味では運が良かった。


それでは過去にどんな人が神隠しに遭ったのかと言うと…人種や性別に関しては偏りがあるようには見えない。だが、年齢に関してははっきりと偏っている。10代後半から30代前半までだ。


これが自然現象ならそんな偏りは見られないはず…つまりこの神隠しという現象には何者かの意思が介在しているのだ。それが得体の知れないあの女である可能性は…決して否定できないだろう。渡りに船ってヤツだ。


だが、神隠しに遭い元の世界に帰った人は…いない。少なくとも記録の上では誰も帰れなかった。黒幕があの女であったとしても、一筋縄では行かないということか…その場合はこの世界に骨を埋めるさ。みんな悪くはない人生を送ったようだしね。


甘くはない現実を突きつけられているが、俺が最初の一人になる可能性もなくはないはずだ。足掻いてみるさ…人生ってそんなもんだろ?

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