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【週刊】目が覚めるとそこは…異世界だった!【第6章、連載中。長編にも拘わらず読んでくれてありがとう】】  作者: 鷹茄子おうぎ
第3章 サクリファスの亡霊

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空の旅へ

そして迎えた出発の日、俺達は軍の施設の一角にある飛空船乗り場へと向かった。今回のメンバーは、アインラスクを訪問したメンバーとメイドのリシアである。


またしてもリアルナさんが留守番をすることになる。でも、その方が子供と一緒に過ごせる時間が増えるから、リアルナさんは嬉しそうだね。


飛空船の運航は軍が担っているので、すべての飛空船乗り場は砦や駐屯地などに併設されている。だから、そこには俺達が乗る飛空船だけでなく、普通の飛空船も駐機している。見比べてみると…どちらも似たような形状をしているようだ。アマユキの言っていた通りだな。


違いがあるとすれば外観だ。王室所有の飛空船は白と青を基調としたシックなデザインだが、普通の飛空船は南国を思わせるトロピカルでカラフルなデザインになっている。


「あっちの飛空船は…随分とカラフルだな」

さすがに派手過ぎやしないか?


「外装のデザインは年に数回広く募集しているのです。応募された作品の中から審査を行い、あのデザインに決まったそうですよ。今回のデザインはトロピカルで明るい感じがいいですね」

これを派手すぎと感じている俺の横で、ユリーシャが嬉しそうに解説してくれた。


どうもユリーシャはあれを気に入っているようだ。シックで落ち着いたデザインが好みだと思っていたので、意外に感じてしまう。やはり女の子は可愛いものが好きということなんだろう。


それはともかく、いよいよ王室所有の飛空船に搭乗である。事前にアマユキから聞いていたが、船内は俺の想像以上に凄かった!


華美で、見ようによってはゴテゴテしている様を想像していたのだが、そんなことはまったくない。すっきりしたラインとクールなカラートーンは、流行の最先端を取り入れたデザインなのだろう。


パンフレットで見た普通の飛空船のありきたりな内装と比べると、豪華であることは間違いない。だが、あくまでも最小限を追求している。豪華さと快適さを高い次元で融合させたと言うべきか…いやはや、素晴らしいね。


「どうですか?この飛空船は」

目を丸くしている俺に、ユリーシャが得意げに聞いてきた。


「凄いね…ありきたりだけど、それ以外の言葉が見つからないよ」

「そう言ってもらえると嬉しいです。私も内装のデザインに関わらせてもらいましたので」

それは意外でもあり、納得できることでもある。


ユリーシャのデザインしたものはライトニングカレンのように芸術がバクハツしているものもあるが、黒雷のようにシックなものもある。人間誰しも得手不得手があるということだろう。


みんなが思い思いのソファーに座ると、見えない力で床に押しつけられるような…僅かに体が重くなる感覚が生じた。でも、それは一瞬で、すぐにもとの状態に戻る。飛空船が上昇しているのだ。この感覚はエレベーターで上階に上がる時と一緒だ。


となると、今度は一瞬の浮遊感。十分な高度に達したということだろう。音はまったくしないし、揺れもほとんどない。乗り心地は文句なしだ。これはさすがとしか言いようがない。


窓から外を見てみると、確かに飛空船は動いている。それほど高い所を飛んではいないようだ。これは魔獣対策だろう。俺はまだ出くわしたことはないが、この世界には当たり前のように魔獣がいて、人を襲うこともよくある。中には空を飛ぶヤツもいる。


これまでに飛空船が襲われたことはないが、それは低い高度を飛んでいることと、街道の上空を航路としているからだろう。


こんな所に魔獣がやってくることは滅多にない。そんな不測の事態が起きそうになれば、すぐに着陸して魔法樹を利用してやり過ごす。それが最善だ。戦うという選択肢を排除する訳ではないが、魔獣は危険な存在だ。戦わずに済むなら、それに越したことはない。飛空船の運航を軍が担う理由がよく分かるぜ。


そういう事情もあって、飛空船はそれほど普及している訳ではない。大陸でこそ必要な乗り物だと思うのだが、そこではまったく飛んでいない。軍が主体となって運航している現状なので、レガルディアは輸出を許可しないのだ。なかなか上手くいかないもんだね。


「ところで…俺達は何もしなくていいのか?」

アインラスクを訪問した際は、馬車での移動だった。その時は常に周囲の警戒を怠らなかったが、この飛空船ではどうなんだろう?隣に座ったアマユキに確認しておこう。


「何もしないわよ。この飛空船には運航と守備を任務とする専属の魔法戦士がいるからね」

「つまり俺達は完全に乗客な訳か…」

それなら飛空船の旅を楽しむことにしよう。


こういう時はやはり外の景色を見るものだ。それが旅の醍醐味だからな…などと思いつつ窓外の風景を眺めようとすると、思いっきり邪魔をするヤツが現れた。ティアリスである。


「こんな時はカードゲームをするでし!」

「今回は何を持ってきたの?」

「楽しみですね~」

無邪気極まるティアリスだけでなく、アマユキとフェリシアさんも乗り気である。


となると、ユリーシャとカレンも興味津々になる訳で…俺の窓外の風景を楽しむ計画は、あっさりと潰えてしまった。仕方がない。それなら俺も付き合ってやるさ。


カードゲームをこよなく愛するティアリスが用意した色々なゲームの中から、俺達が最初に選んだのはイロとカタチだ。


やったことがないゲームだったのでどんなものかと思いきや、遊び方は至ってシンプルだ。まず、お題のカードを引く。その後に配られた10枚の色カードで引いたお題のカードの絵を作る。それを周りの人達が当てる…それだけだ。


やってみるとシンプルなゲームだが、意外に難しいことが分かる。10枚の色カードの種類によっては、お題からほど遠い絵しか作れないように思える…。そこはセンスが問われるところだ。このゲームを遊び慣れているティアリスは、特徴を捉えるのが上手だね。他はどっこいどっこいだ。


楽しい時間はあっという間に過ぎ、飛空船はボストラーという街に到着した。ここで魔力の充填をするそうだ。

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