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【週刊】目が覚めるとそこは…異世界だった!【第6章、連載中。長編にも拘わらず読んでくれてありがとう】】  作者: 鷹茄子おうぎ
第2章 エステルマギの埋蔵金

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わかめチャーハン

カレン達が料理に取りかかるよりも前に、キッチンには不可視の錫杖を配置済みである。どんな料理を作るにせよ、これでじっくりと観察させてもらうことにしよう。


まずはワカメを葉と茎に分けるようだ。葉と茎では茹で時間が違ってくる。分厚い茎は火が通りにくいが、薄い葉はすぐ火が入るからね…だから、分けるのだ。それぐらいは俺にも分かるぜ。


「ワカメって引っ張ると簡単に葉と茎に分けられるのがいいですよね」

ミリッサは楽しそうにワカメを葉と茎に分けている。そこにはまるでキリトリ線でもあるかのようだ。これは驚きだね。


「それでは、茹でていっちゃいますね~」

葉と茎に分ける作業が大体終わったところで、フェリシアさんがワカメの茎を茹で始めた。


「ワカメの醍醐味は食感だからな。あまり茹ですぎないように」

ここは重要だ。カレンがしっかりと釘を刺す。


「分かってますよ~…はい、出来上がり~」

茎を茹で始めると、ワカメは綺麗な緑色に色が変わった。これぞ俺が知っているワカメである。そんなに茹でずに、フェリシアさんは茎を上げてしまった。


「シャキシャキどころかコリッコリですね!」

火を通した茎を試食したミリッサが、嬉しそうに言った。もう、そのままガブリといきたいな!


「葉はサッと湯通ししたら出来上がりだ。茹ですぎると歯ごたえがなくなるからな…」

「冷水でシャキッとしめちゃいますね~」

「ワカメの香りがすごく強いですね!」

キッチン3人娘の息は、ピッタリ合っている。


それにしても凄いボリュームだ!お腹が空いているので、ただ単に湯通ししたワカメが旨そうに見えてしまうぜ。この瑞々しいワカメを使って、一体何を作るんだ?


「今回はこのワカメを使って、食べるわかめスープを作ってみようと思う」

これはなかなか挑戦的なメニューになりそうだ。


「飲むスープではないのですね?」

自信満々のカレンに、ミリッサが確認する。


「そうだ。いつもなら脇役のわかめスープを、メインクラスの逸品に仕上げてみようと思ってな」

ほほう…それは楽しみですな。


「食べるわかめスープなんて、初めてですね~」

ほんわかフェリシアさんは、何も心配していないようだ。


「まずはワカメの葉を大きめのザク切りだ」

サクッサクッという気持ちいい音が、キッチンに響き渡る。


「ずっと切っていられますね!」

「まるで野菜を切っているみたいですね~」

ミリッサもフェリシアさんも楽しそうにワカメを切っている。凄くしっかりしているワカメだな。俺も切ってみたいぜ!


「スープの出汁は動物系がいい…そこでホンビノス貝だ」

浜焼きにしても旨いよな!


「濃くてパンチの効いた出汁が取れますよね」

「まさに旨みの洪水ですね~」

噛んでも噛んでも旨みが溢れてくる…あの旨みは本当に凄いね!


「ホンビノス貝はアサリと違って砂を吸い込まないからな…」

「砂抜きの必要がないから扱いやすいですよね!」

ミリッサ的には、ポイントが高いようだ。


「今日のホンビノスさんは生なので、水から茹でちゃいますね~」

生の貝は水から茹でてもいいのか…勉強になります。


「さらにコンブを加えて出汁をとろう…これで最高の出汁になるぞ」

これは間違いなく旨いヤツだぞ。


「調味料はいりますか?」

「ホンビノスの塩味がアクセントになるはずだ…大丈夫だろう」

ずらりと並んだ調味料、今回は出番なしだ。ミリッサはちょっと残念そうだね。


じっくりコトコト加熱しながら、フェリシアさんが丁寧に灰汁を取っていく。その間にカレンとミリッサは、別の作業に取りかかるようだ。


「メインは茎をたっぷり使った豪快なチャーハンにしよう」

そいつは楽しみだな!


「わかめチャーハンはもっと有名になってほしいですよね!」

確かにわかめチャーハンはマイナーな存在だ。ミリッサの熱い想いがみんなに伝わるといいね。


「そのためにも今日は最高のわかめチャーハンを作ってみせるさ」

ワカメの茎を切りながら、カレンは自信満々に答えた。期待してるぜ!


「ワカメの茎は切ってると気持ちいいですよね」

分厚くてほどよい弾力がありそうなワカメの茎、確かに気持ち良さそうだ。茎ワカメを切り終えたらカレンが中華鍋でごま油を熱し、にんにくを炒め始めた。


「十分に香りが立ったら茎ワカメをどっさり投入だ」

炒めるといい色になるよな!


「焼き茎ワカメって、それだけで食欲がそそられますよね…」

まさにその通り!ミリッサはいいこと言うよな。焼き茎ワカメだけでも旨そうだぜ…これ、本当にワカメなのか?小松菜とか高菜と言われても信じてしまいそうだ。


「向こうにも匂いが伝わるので、大変なことになりそうだな」

カレンの言う通り、リビングの一同はもうじき出来上がるであろう料理を心待ちにしております。


「さらにシャキシャキの葉ワカメも炒めてやろう…」

「茎と葉の両方を使うことで、二通りの食感が楽しめますよね!」

これは堪らないですな!


「チャーシューもカマボコもタマネギも使わない。具材はワカメと卵だけ…これが本物のわかめチャーハンだ」

それでは、その卵はいつ入れるのか?卵、ご飯の順番で入れるのか…それとも卵とご飯をあらかじめ混ぜてから炒めるのか…カレンの決断やいかに?


「卵とご飯はどうしますか?」

ミリッサも気になっているようだ。


「私はその日の気分で混ぜたり混ぜなかったりだな…今日はそのまま入れてしまおう」

カレンはあまり考えることなく卵を入れ、軽く炒めた後にご飯を入れた。何というか…豪快だね。チャーハンというより焼き飯って感じだ。


「ワカメが美味しいからな…味付けは塩コショウだけでいいだろう」

えっ、それだけなの?シンプルだな…。


「あとはとどめの香り付けですね!」

醤油を手にしたミリッサが待ち構えております。カレンが鍋肌を露にすると、そこに醤油が投入された。凄い香りだ!


「幸せな香りしかしませんね…」

最後の仕上げをしているカレンの横で、ミリッサはうっとりとしている。その気持ち、よく分かるぜ…。


「これで完成だ」

これぞ最高のわかめチャーハンだ!さすがすぎるぜ、カレンさん。

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