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【週刊】目が覚めるとそこは…異世界だった!【第6章、連載中。長編にも拘わらず読んでくれてありがとう】】  作者: 鷹茄子おうぎ
第2章 エステルマギの埋蔵金

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ナターリアさんの申し出

もうアインラスクでやることなど何もないのだが、だからといってさっさと帰る訳にもいかない。この事件の結末を、被害を受けた人々に話す必要があるだろう。と言っても、もう夕暮れなんだよね。


今からあの3人のもとを訪れるのは、さすがに失礼にあたる。今日のところはルアンザラーン商連合へ赴き、明日の朝にナターリアさんと面会ができるように、約束しておくことにしよう。


翌日の朝、俺達は約束の時間にナターリアさんを訪ねた。今日までの間に知ったことは、あの女のこと以外はすべて話した。


あの女のことを話さなかったのは、レガルディアの魔法戦士がヤツを追っているからではない。俺達にもあの女のことはよく分からないのだ。分からないことは話しようがない。ナターリアさんもそれは理解しているのだろう…そこは何も聞かなかった。


そのかわりと言ってはなんだが、用事を頼まれてしまった。それはコリーナさんとアリューシャに、ルアンザラーン商連合で働くつもりはないか聞いてきてほしい…というものだった。


それは亡くなったソルタスの祖父の遺志だ。ソルタスが生きていれば、間違いなく同じことをしたはず…ナターリアさんはそう言った。確かにその通りだろう。


続いてファゼルの奥さんコリーナさんを訪ねた。やはり話せることはすべて話し、それからナターリアさんの申し出を伝えた。ファゼルが亡くなり、今後の生活のことを心配していたので、この申し出をありがたく受けるそうだ。


コリーナさんは料理ぐらいしか取り柄がないと言っていたが、それで十分だと思う。あとでナターリアさんに伝えておこう。


最後にアリューシャだ。本人にその気があったのかどうかは分からないが、カレンが口説いてしまったので、この事件の経緯とナターリアさんの申し出だけを話してそれで終わり!という訳にもいかないだろう。どうするんだ?


「私達とアリューシャの関係は特別なものだ。送別会のようなものをすべきなんじゃないかな?」

アリューシャの待つ家へ向かう道すがら、カレンがそんな提案をしてきた。


「ちゃんとお別れしとかないと、後が大変だからねぇ…」

アマユキは妙にしみじみと言っているが、もとはと言えばこの2人の策の結果である。


「それならわかめパーティーがいいでし!」

なぜにワカメ?


「この時期のワカメは美味しいよね…ザカリヤさんもよく食べていたそうですよ~」

ザカリヤのことはどうでもいいが、ワカメの旬って冬だったんだな。知らなかったぜ…。


「あとでペスカード市場に買いに行きましょうね」

まだ何も決まっていないのに、気が早くないか?ユリーシャ。とは言え、ユリーシャも参加するワカメパーティー…になるのかどうかは分からないが、それをアリューシャが断るのは難しいだろう。


「何にせよ伝えるべきことを伝えてから…だな」

パーティーをやるにしてもその後だ。


アリューシャにとって、あの決着の日は色々なことがあった日だった。その時は随分と落ち込んでいたが、今日はいつも通りの快活そうな女の子に見える。


ただ、俺とアリューシャはそんなに親密な関係でもないからな…俺の見間違い、ただの空元気という可能性もあるが。何にせよ、元気になったのはいいことだ。


アリューシャもルアンザラーン商連合で働くこと自体は前向きに考えているようだ。もちろん、これまで続けてきた売り子の仕事をやっていきたいとのことだ。アリューシャにとっては天職みたいなもんだからな…やはりそこは譲れないのだろう。ナターリアさんにはちゃんと伝えておこう。


話すべきことをすべて話したら、俺達がライラリッジの魔法戦士であること、明日にはライラリッジに戻ること、アインラスクを発つ前にわかめパーティーをしたいことを伝えた。


アリューシャは嬉しそうに参加したいと答えてくれた。わかめパーティーには特に疑問を抱いていないようだ。アインラスクでは、この時期にわかめパーティーをする風習があるのかもしれない。何にせよ明日は楽しむことにしよう。

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