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【週刊】目が覚めるとそこは…異世界だった!【第6章、連載中。長編にも拘わらず読んでくれてありがとう】】  作者: 鷹茄子おうぎ
第2章 エステルマギの埋蔵金

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偽物は伊達じゃない

どす黒の家から、軍の魔法戦士の格好をしたヤツらが出てくる。その格好が好きなのかどうかは分からないが、こんな時間にうろつく場合に最も怪しまれない格好であることは間違いない。


俺達にとってはいい迷惑だ。このままヤツらの企みが成功すると、悪い噂が流れまくりである。それを防ぐためにも今日でケリをつけてやるぜ。


ほとんど足音をたてることなく、ヤツらはアリューシャの家まで移動した。さすがは盗賊、やりよる。そして、先頭の男が真鍮のドアノッカーを叩いた。


コン、コン…


どこか頼りなさそうな音が響く。この音は…いや、まさかな。


「ア、アリューシャさん…夜分遅くに、申し訳ありません…。で、ですが…至急の要件が、ありまして…」

この声は、この吃り方は…ゲオルク!お前が何でそこにいる?アイツが内通者なのか?俺は頭が真っ白になるかのような衝撃に襲われた。


『着用しているPMDは軍の魔法戦士が使うものではありません』

ここで魔剣が冷静な指摘をしてくれた。それで俺はハッと我に返った。


そ、そうだよな…アイツが内通者のはずがない。しかし、見れば見るほどそっくりだぜ…本当に偽者なのか?今日だけPMDを変えたって可能性もあるぞ…。魔剣もはっきりと偽者と断定している訳ではない。ただ、今そこにいるゲオルクが率いているヤツらは、間違いなく偽者ということだ。


アレが本人なのか偽者なのか…それは分からないが、たとえ内通していたとしても、それはゲオルクだけということだろう。だが、アリューシャにそんなことが見破れる訳がない。


「は~い」

少し天然が入った可愛らしい返事をしながら、何の疑いもなくアリューシャはドアを開けてしまった。そりゃ、開けるわな。それと同時にゲオルク(?)が眠りの魔法をかける。


この眠りの魔法というヤツは欠点の多い魔法だ。そもそもが不眠症対策で生み出された魔法なので、普通は横になった状態でかけるもの。では、今のように立っているアリューシャにかけるとどうなるのか?立ったまま寝落ちした感じになるのだ。


普通ならガクッとなって目が覚めるところだが、ゲオルク(?)はアリューシャの倒れ方を読み、その体をそっと抱き留めた。


上手いな…一連の流れるような動きはまさに手練れだ。アリューシャが眠っている間に、ヤツらは手際よく目隠しと猿ぐつわを噛ませた。そして、その体を揺さぶり目を覚まさせた。


「う…」

思わず呻き声を上げたアリューシャに、ゲオルク(?)が顔を近付け、鋭利な刃物のような冷たい声で凄んだ。


「声を出すな…殺すぞ」

この声は!ゲオルクとは似ても似つかぬ声、もちろん吃ってもいない。変声術か!あそこまで似せるとはな…いや、それだけじゃない。ノックの仕方まで完璧に似せてきやがった。この1週間でそこまで仕上げてきたのか…とんでもないヤツだな!


一味の中で最も大柄な男が軽々とアリューシャを担ぎ上げ、ヤツらは音もなくこの場からの撤収を始めた。感心している場合じゃない…俺達も行動開始だ。


「アリューシャの身柄はヤツらの手に落ちた…追うぞ」

こちらも負けじとあまり音を立てずに外に出ると、四人の魔法戦士は不可視の盾を足場にして、ユリーシャとフェリシアさんは飛空の魔法で屋根の上へ飛び上がった。


「一定の距離を保って追いかけるのよ」

アマユキから追跡する際の心得を教えてもらい、俺は一つ頷いた。


月のない夜、星明かりを頼りに歩を進める一味の上空には、不可視の錫杖が飛んでいる。俺がみんなを導き、屋根から屋根へとヤツらを追っていく。ヤツらとの距離…というよりかは不可視の錫杖との距離は、魔剣が正確に測定中だ。それを見ながら十分な距離をとって追跡する。


影から影へ、用心深く先を急いでいたヤツらが急に足を止めた。もちろん、俺達も止まる。まさか…気付かれたのか?いや、違う…通りの向こうから1人の男が歩いてくる。間が悪いヤツだな。ヤツらは今、通りの角に身を隠している。どうするつもりだ?


6人の内の3人が、まるで巡回をしている魔法戦士のように堂々と角を曲がり、男の方に歩いて行く。まさか…やってしまうつもりか?軍の魔法戦士の評判を落とすようなことはやめてほしいのだが、今の俺達には何の手出しもできない。


「お疲れ様です」

こっちに来るなよ…引き返せよ。そんな秘かな願いも空しく、男と3人の偽魔法戦士が近付いていき、すれ違う少し前にあの偽ゲオルクが男に声をかけた。


「あぁ…見回り、ご苦労様でぇ…」

応えようとした男の体が突然、前のめりに倒れそうになる。眠りの魔法をかけられたのだ。偽ゲオルクはアリューシャの時と同じように、その体をそっと抱き留めた。


「いい夢みろよ?」

眠りこけた男をそのまま通りに横たえ、どこぞの柳沢慎吾のような決めゼリフを残し、6人の偽魔法戦士はその場を立ち去った。


眠る男は風邪を引くかもしれないが、ここはそのままにして俺達もヤツらを追跡しよう。その後は誰にも会うことなく、もちろんあの決めゼリフが出ることもなく、偽者達はこの近辺では大きな洋館の中へ入っていった。

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