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【週刊】目が覚めるとそこは…異世界だった!【第6章、連載中。長編にも拘わらず読んでくれてありがとう】】  作者: 鷹茄子おうぎ
第2章 エステルマギの埋蔵金

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動き出す時

不可視の錫杖で監視されていることも知らずに、あのどす黒の家からアリューシャの家を探っているヤツがいる。間違いなく盗賊団の一味だろう。遂にやってきたな…さすがに気持ちが高ぶるぜ。


すぐに俺はみんなをスペアルームに集めた。ここならば不可視の錫杖で観察している光景を、ユリーシャの杖を使って誰もが見れるようにできるだろう。


「上からだとよく分かるでし!」

確かにな…本人は石垣と植え込みを利用して、上手く隠れているつもりなんだろうが、上から見ると丸わかりである。


「あの家にいるのはこの男だけか?」

普段はクールなカレンからも、静かな熱を感じる…燃えているね。


「今のところはな」

俺は努めて冷静に返した。百戦錬磨の先輩方と違って、俺はこれが初めての事件だ…アツくなるとアツくなりすぎるかもしれない。


「ってことは…今日じっくりと探って襲撃は明日ってことになりそうね」

アマユキの見立ては…たぶん正しいだろう。


「わ、私の…アリューシャちゃんに、手を出すなんて…」

いや、お前のアリューシャちゃんじゃないし。早くも暴走気味なんだが…大丈夫なのか?コレ。


「そ、それでは今日はゆっくり休んで、明日に備えましょう」

ほら見ろ…ユリーシャですら引いてるじゃねえか。


まあ、フェリシアさんも俺達の策をぶち壊すほどバカではないだろう。いざとなれば、アマユキがしっかりと抑えてくれるだろうし。ここはユリーシャの言う通り、今日はゆっくり休んで明日…だな。


魔剣によると、俺達がゆっくりと休んでいる間に、ヤツらはあのどす黒の家の人員を増やしていたようだ。今、あの家には6人の怪しげなヤツらがいる。おそらく、そいつらがアリューシャを拉致する実行部隊だろう。この期に及んでも、ヤツらは裏の敷地を通ってどす黒の家へ入っていったようだ…プロは違うね。


どす黒の家の6人は、息を潜めてアリューシャを連れ去るタイミングを計っているはずだ。シャーラレイの遺品の整理もほとんど終わったのか…ゲオルク達もアリューシャの家には来ていない。


それでもヤツらが動くのは夜になってからだろう…昼間は人目に付くからな。さすがにそこで裏をかくというのは考えづらい。となれば、もう変装をする必要もない。いつもの格好で、俺達はその時がやって来るのを静かに待つだけだ。


とは言え、今は手持ち無沙汰で何となく落ち着かない。ストレッチでもしておくか…いざという時に体が動かなければ話にならないからね。リビングで適度に体を動かしていると、カレンがおにぎりと卵焼きを持ってきてくれた。


「食べれるうちに食べておけ。事態が急変したら何時間も食べれないということもあるぞ」

そういうものなのか…確かに俺は昼ご飯を食べてから何も口にしていない。その昼ご飯もいつもより早めだったので、ここらで少し食べておいてもいいだろう。他のみんなも食べているみたいだし。


「そうだな…」

カレンからおにぎりプレートを受け取り、ちょっと甘めの卵焼きをおかずに少し塩味の効いたおにぎりを食べた。こうなってくると汁物も欲しいね…キッチンへ行ってみよう。


「はい、どうぞ」

ユリーシャが具だくさんの味噌汁を注いでくれた。


「ありがとな」

暖かな味噌汁は体に染みてくるような…ホッとする味だ。


「17時過ぎに最後の食事を取る…その後はいつ動きがあってもおかしくないからな」

ピリッとした緊張感を漂わせるカレンは、それでも余裕があるように見える…逆にカレンから見ると、今日の俺はややもすると危うく見えるのかもしれない。足を引っ張らないように気をつけよう。


言われた通りに17時過ぎに食事を取り、いつでも出られるように準備を整えて全員がリビングに集合した。あとはヤツらが動くのを待つだけだ。


「ミリッサ、戸締りはしたか?」

気配りカレンさんはミリッサにも注意を促している。万が一ということもあるからな…。


「大丈夫です」

一人残されるミリッサも不安だろうが、そんなことは微塵も感じさせない。


「私達が出た後は玄関に鍵をかけ、戻ってくるまでは開けなくていい。いざという時にはこれを使うんだ」

カレンはミリッサに呼び笛を渡した。俺も一応ここには不可視の錫杖を飛ばしておくつもりだが、何かあってもすぐに戻れるかどうかは分からない。ならば、呼び笛を持たせておく方がいいだろう。


これで万全を期したはずだ。さあ、いつ動いてくれてもいいぜ!皆が今か今かと待ち受ける中、ヤツらが動いたのは19時をやや過ぎた頃だった。

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