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【週刊】目が覚めるとそこは…異世界だった!【第6章、連載中。長編にも拘わらず読んでくれてありがとう】】  作者: 鷹茄子おうぎ
第2章 エステルマギの埋蔵金

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準備完了

「お待たせしました」

ユリーシャが作業に取り掛かってから1時間程が経っただろうか…奥の部屋から出てきた。作っていたのは体にぴったりフィットするタートルネックTシャツとタイツのようだ。俺がいつも着ているヤツとたいして変わらない気がするが…大丈夫なのか?これ。


「この魔法具は着用者の肌の色に完全に馴染みます。よく見ても、何か着ているのかどうかは分からないと思いますよ」

たいしたもんだ。でも、どこかで聞いたことがある機能なんだけど…。


『ショウ様が常に肌身離さず身に付けているチョーカーと同種のものです』

そう、チョーカーだ。痒い所に手が届くね、魔剣は。あのチョーカーはいつもお世話になっている魔法が使えるようになっているが、このTシャツとタイツはどうなんだろう?


「着ているかどうかが分からないだけでは、芸がなくないか?」

そこはちゃんと確認しておかないと駄目だろう。


「もちろんです。この服は任意のタイミングで着用者の周囲に強力な結界を張ることができます。不可視の盾をずっと強力にした魔法です」

アリューシャの家に張っていたあの結界か…それなら申し分ないね。


「ただし、結界が発動すると中と外は完全に遮断されてしまいます。ですから中の人は自力で動くことはできなくなります」

不便な点もあるんだな…。


「結界を張って…その後はどうする?」

できれば安全な場所に移動させたいところだ。


「それならば何とかなると思いますよ」

俺の懸念に対して、フェリシアさんが穏やかに答えてくれた。


「これを使います」

見せてくれたのは何かの植物の種。


「これは?」

種だけ見せられたって、何のことやら分からんぞ。


「これはクズの種です。ドルイドの能力を使ってこの種からクズを生やし、そのつるを使ってアリューシャちゃんをこちらへ引き寄せます」

クズのつるか…アレを何本も束ねると、切るのは容易ではないはずだ。ドルイドの能力というヤツを計りかねているが、ここはフェリシアさんを信じるしかないだろう。


「そ、そして…ザカリヤさんの、し、子孫の…アリューシャちゃんと、私が…」

また始まっちゃったよ。アマユキなんか間違いなくフェリシアさんをヤツらの一味認定しているぞ。不安要素はアリューシャだけじゃなかったな…。


「アマユキ、コレが暴走しないように気をつけておいてくれ」

「分かってるわ。コレの扱いは慣れてるから」

コレ扱いされていることとは露知らず、フェリシアさんは今日も幸せそうである。本当にフェリシアさんに任せて大丈夫なのかどうかは分からないが、本人がやると言っている以上は仕方がない。頼んだぞ、フェリシアさん…それからアマユキも。


完成したタートルネックTシャツとタイツは、王国郵便に届けてもらうことになっている。もちろん、届けるのは変装した軍の魔法戦士である。


「別に心配している訳ではないが…大丈夫なんだよな?」

ここにきて肝心の魔法具が届きませんでした…となれば目も当てられない。


「大丈夫よ、私の弟に頼んでおいたから」

リアルナさん、弟がいたのか…。


「どんな人なんだ?」

リアルナさんが頼むぐらいだから問題はないと思うが、一応聞いておこう。


「行く先々で彼女を作っちゃうのが玉に瑕なんだけど、実力は確かよ。今日は監視を付けて行かせるから…心配いらないわ」

それなら別のヤツに行かせろよ…と言いたいところだが、もう遅い。それに考えようによっては、2人で行くような形になるから、その方が確実に荷物が届いていいかもしれない。


これでここでやるべき作業はすべて終わった。俺達もアインラスクへ戻るべきだろう。ライラリッジとアインラスクの間には馬車の定期便が走っている。ただし今回はユリーシャが乗るので定期便に見せかけた臨時便である。


15時前にライラリッジを発ち、17時過ぎにアインラスクに到着した。思ったよりも遅くなってしまったな…アリューシャが心配だ。まずは新しく用意してもらった拠点へ向かうことにしよう。


リアルナさんに動いてもらい、用意してもらった民家はアリューシャの家の割と近くだ。直線距離でおよそ50mといったところか。だが、ここからだとアリューシャの家は通りを一つ挟んだ所にある。普通に歩いて行くと、まったく近くはない。ヤツらもこんな所に俺達がいるとは思わないだろう。


カレンがコンコンと真鍮のドアノッカーを叩いた。すると中の人もコンコンと返してきた。それを受けてカレンが1回叩くと、中からは1回の返し。再びカレンが2回叩くと、中からは2回の返しがあった。そして、ガチャリとドアが開いたが、ドアチェーンは外されていない。中からこちらを窺う人物が口を開いた。


「去年の夏は暑かったですね。そうは思いませんか?」

聞き覚えのある声だ。この娘に俺達が何者なのか…チェックをさせるようだね。


「そうでもないさ。一昨年の夏の方がずっと暑かった」

カレンがいつものようにクールに答えた。それで確認が取れたのだろう…応対した女の子はドアチェーンを外し、俺達を中へ入れてくれた。


「規則とは言え長々とお待たせしてしまい、申し訳ありません…」

応対してくれた女の子はミリッサ。ユリーシャ邸で働いているメイドトリオの1人である。ミリッサなら俺達が何者なのか…変装していても見抜けるだろう。それから、奥に初めて見るヤツが2人いる。誰だ?

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