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【週刊】目が覚めるとそこは…異世界だった!【第6章、連載中。長編にも拘わらず読んでくれてありがとう】】  作者: 鷹茄子おうぎ
第2章 エステルマギの埋蔵金

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舞い戻る準備

そうと決まれば思い立ったが吉日だ。俺はアマユキと一緒にチーフズクレア砦へ行き、明日の朝一にクランドールと面会する手筈を整えた。カレンにはリアルナさんへの定時連絡で、色々と準備してほしいものを伝えてもらった。急な案件だが、リアルナさんなら何とかしてくれるだろう。


翌日、俺達はクランドールを訪ね、今後の打ち合わせをしてからアリューシャの家へ向かった。ユリーシャがライトニングカレンを収納し、結界を解くと俺達は家の中に入った。


アリューシャの家も、向かいの家も特に変わったことはない…それならゲオルク達が来るのを待つことにしよう。たいして待つまでもなくゲオルク達はやって来た。


「お、お待たせしました…」

ゲオルクは恐縮しているが、そんなに待ってないから気にしなくていいぞ。


アリューシャの家のリビングはそれほど広くないので、ゲオルクだけに入ってもらった。どのみち伝えることがそんなにある訳でもない。それなら俺達もみんなが入る必要はないのだが、俺だけが入るというのもおかしな話だし…成り行き上ってヤツだね。


「急な話で悪いんだが…実はこれからライラリッジへ帰ることになった。だから、後のことはゲオルクに頼みたい。アリューシャの護衛と…それからシャーラレイの遺品の整理だ。1人だと大変だからな」

本当のことは言えない…内通者がいるかもしれないからな。


「わ、分かりました…後のことは、任せてください」

ここまでよくやってくれたゲオルク達を騙すような形になるのは…仕方がないとは言え気が引ける。だが、これが最適手のはずだ。


引き継ぎを済ませると、俺達は馬車センターへ向かった。アインラスクとは一時のお別れである。来た時と同じようにアマユキが御者を務め、残りの5人は馬車の中だ。アマユキの人間レーダーは頼りになるが、情報の共有には向いていない。なので、俺も不可視の錫杖を飛ばしておくことにしよう。


馬車に揺られること1時間、カルケーストに到着だ。ここまでつけられている感じはしないが…専門家の意見も聞いておくか。


「どうだった?何か変わったことは?」

「特にないわね」

伸びをしながらアマユキに聞くと、不可視の錫杖で見ていた俺と同じ答えが返ってきた。馬車を尾行するというのは難しいだろうし、この状況は妥当だろう。


「もうちょっとだから…我慢してね」

「分かってるよ…」

いつかと同じように3人が一緒に座るので狭いのだが、言われなくても我慢するさ。


15分程度の休憩を取ると、ライラリッジを目指して出発だ。再び馬車に揺られること1時間、久しぶりのライラリッジ、久しぶりのユリーシャ邸に到着である。アインラスクの拠点には随分と長い間いたから、我が家のような居心地のよさを感じていたが、やはりここは違うね。


だが、感傷に浸っている暇はない。俺達は準備を済ませたらすぐに戻らなければならない。そのために4階へ上がると、そこではリアルナさんが俺達を待ちわびていた。


「おかえりなさいませ。ご無事でなによりです」

リアルナさん、久しぶりの再会に感情が高ぶってますね。


「留守を守ってくれてありがとうございます。でも、準備が整えばまた出かけることになるのですが…」

ユリーシャは少し申し訳なさそうだ。


「承知しています。…準備はしておいたけど、前のと同じでいいの?」

リアルナさんはユリーシャと話したり俺と話したり…忙しいことだね。


「ああ、それで構わないよ。全員をあれと同じような感じでコーディネートしてくれ」

前、とは収穫祭のことである。これにはれっきとした訳がある。


俺達の面はヤツらに割れている…だから、アインラスクへ舞い戻る際に、変装は必要不可欠だ。そこで参考にしたいのが収穫祭の時の変装である。季節が進んでいるので多少の厚着は必要だが、ユリーシャをあの時と同じような素朴な女の子に変装させるのだ。


同様に他の5人も変装させる…イメージとしては田舎から街に出てきたおのぼりさんだな。リアルナさんの腕は確かで、みんな見事におのぼりさんに変身できた。


「見事なもんだな…」

5人の田舎娘を眺めていると、この娘達は本当に純粋な女の子に見えてしまう。


「当たり前でしょ。そんなことより初めての任務なんだから…頑張ってきなさいよね」

リアルナさんにお尻をバシッと叩かれ、激励されてしまった。そこに心配している感じはあまりない。ヤツらのことがある程度は分かっているからだ。そう、俺がアリューシャに言ったこと…アレは半分嘘だ。


確かにヤツらの実力には未知数の部分がある。だが、クランドールの情報によると、アルカザーマの魔法戦士が内通していたゴロツキによって、その当時の盗賊団の内情ははっきりと分かっている。


あの時と今では、メンバーに若干の違いはあるかもしれない…それでも、ゴロツキが主であることに変わりはないだろう。人数はあの時で18人。今回は何人で来ているのかは分からないが、大きく増やすというのは考えにくい。増やせば目立つからな…。


それに対してこちらは魔法戦士が4人と優秀な魔法使い、それからドルイドだ。数的には不利だが、それで後れを取るとはまったく思えない。唯一の不安要素は、アリューシャなんだよな。今、ユリーシャが何やら魔法具を作っている。それを信じるしかないが、さてどうなるか…。

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