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すまぬ、わふ太。こんな不甲斐ない私を許してくれ。


レオンさまとの初、床を共にする。


「わふ太、これって初夜なの?」


先にわふ太と一緒に夫婦の寝室のベッドの上に寝転んだ私は、そっとわふ太に語り掛けた。


「でも、式はまだだし。きっと式の翌日だよね」


わふ太のそのもへーっとした表情がかわいい。


「その、レオンさまは最初別々に寝る予定だったのだし」


わふ太のつぶらな瞳がかわいすぎる。


「でも、貴族令嬢だもの。嫁いだ以上はその時は、気合よ!気合い!」


わふ太もわふーって言ってくれている気がする。


―――バタンッ


「ぎょえっ!!?」


「―――ぎょえ?」

あ、レオンさま!?今まさに、レオンさまが寝巻で寝室に入ってきたところだった。今の、聞かれた!!?


「わ、わふ太の鳴き声じゃないですかね!!」


―――わふ太、ゴメン。


「―――そうか」

そう言うと、レオンさまは無表情でベッドの上に乗ってくる。


えっと。今晩、やります??

―――と、言う視線を送ってみる。


「君も、今日は疲れただろう。早く寝なさい」


ごそっ、ぼふっ


そう言うと、レオンさまは布団の中に入って反対側を向いて寝てしまった。


やっぱり、式の後か―――。良かったね、わふ太。わふ太の頭をなでなでして、私も布団の中に入った。



***



―――しかし。


やっぱりこれってチャンスだよね?


ちらり。


そっぽを向いて寝入るレオンさまを見やる。正確には、そのわふたんお耳を。


―――わふ太、あれはGOってことでいいのかな?


―――ぎょえっ!!


よし、わふ太も賛成してくれたことだし。よし、覚悟を決めるのだぁっ、私!!


私はそろりと布団から身を起こし、そして。


レオンさまのそのわふたんお耳にそぉっと手を、伸ばす。その、時だった。


―――ガバッ!!


「―――何か、用か」


「ひょぇ―――っ!!?」

不意にレオンさまが振り返り、私はとっさにわふ太を抱きしめた。


「ひょぇ?」


「わ、わわ、わふ太ったら、甘えたい時にひょぇって鳴くんです!」


ほんと、ゴメン。わふ太。


「ほら、ひょぇ―――」

そう、わふ太のお手手をつまんでレオンさまに向けてみれば。レオンさまが布団から身をのそりと起こした。えぇと、何か威圧、感が。


すっとレオンさまの手が伸びる。


やばっ!怒られる!?やっぱり妻になってもお耳ふにふにはダメですかぁ―――っ!!?


ぽふっ


あれ?レオンさまの手が、わふ太の頭に?


「これで、いいか」


「は、はい」


「ん」

そう、短く頷くと。レオンさまは再び布団の中にもぞもぞとその身を納めた。


これって、その。うまくごまかせた?


―――ひょぇっ


うん、わふ太もそう言っている。私は再び布団の中に身を納めた。

お耳ふにふには、ダメか。そうだ!まだわふわふしっぽが残っている!わふわふしっぽだけなら、その、ちょっとだけ距離を縮めた隙に少~しだけ触れられる可能性がある。


よし、ここは必殺技を使うしか、ない!


私はすっかりレオンさまが寝静まったかと思われる頃、行動を起こした。うん。これはあくまでも寝返りだ。寝返り~。くるくるくる~。

私はわふ太と一緒に華麗な寝返りを決めた。すとっ。


あれ、何か硬くたくましそうなものにぶつかった?何となくあったかくて熱を帯びて。

もぞっと身をよじらせて後ろを見れば。


「?」

ひぇっ!!?ビクッ!!

レオンさまが首をこちらに向けてる―――っ!!あ、でも瞳が金色に光っている。獣人族の瞳は夜目で光ることがあるって聞いたけど本当なんだ!きれいっ!!って、そうじゃないそうじゃない。これはそのー。どうすれば!?そして私は気が付いた。目が泳いだ隙に見てしまったのだ。


レオンさまは、私にしっぽが触れさせないようにしていたのか。掛布団が盛り上がっていたのだ。そう、つまりレオンさまはしっぽをわざわざ脚の上に乗せて向こう側によけていたのである。


な、なななな何でぇっ!!やっぱり結婚しても、ふわもふはおあずけなんですか!?


「どうした」


「あの、すみません。ね、寝相が悪いんです。わふっ」


ビクビクしながらそう告げれば。何故かレオンさまが体をこちらにくるりと回してくる。


ふわさぁっ


その際に、少しだけ脚の上によっこしていたレオンさまのわふわふしっぽが私の太ももに触れる感触がして、歓喜した。


わ、わわわ、わふわふだああぁぁぁ―――っ!!!


そしてその感動に酔いしれていた私は、反応するのが忘れたのである。


がしっ


え、“がしっ”??


「―――ベッドから落ちない」


そう、レオンさまが告げた。うん、確かに。


だって私、レオンさまに後ろから抱きしめられているんだもの―――っ!!!


んなっ、なななっ!!?何でこんなことに!?いや、夫婦になったのだから覚悟していたはずでしょ私!!夜の行為に比べたら何のこれしきっ!!


で、でも、レオンさまの体温を直に感じるこの体勢。後ろから抱きしめられているこの体勢。これで寝られるはずもなく。


ど、どどど、どうしよう。しばらくしたらレオンさまの寝息が聞こえてくるし。


う、わ、私も覚悟を決めなきゃ!覚悟ならしてきたはずなのに。情けない。


はぁ、わふ太ぁ。


最後はわふ太に頼ってしまう私。やっぱりあの時、あの子に会ってから私は。


ふと、わふ太に目を向ければ。私を抱きしめているレオンさまの腕の先のてが、わふ太のわふわふしっぽに伸びていた。


レオンさまもわふ太のしっぽをふわもふしたかったの?何だか、ちょっと微笑ましく感じてほっとした。

うん、少しどきどきするものの、何だか色々あった疲れもあって私はいつの間にか私はその腕の中で寝入ってしまっていたのだった。




※続きは明日更新予定です。わふっ(`・ω・´)ゞ※

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