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再びの来客


―――ヴィルお兄さまの電撃訪問から4日後


あぁ、相変わらず寝相の悪さによるベッドからの落下防止のため、レオンさまにわふ太共々後ろからぎゅーされながら眠る私。


そして、相変わらず太ももにわふっと触れるレオンさまのわふわふしっぽ。あぁ、このレオンさまからのわふわふしっぽがあれば、他に転がりゆくところなどない。

寝相が悪くなることもない。


いや、そもそも寝相についてはレオンさまわふわふ計画の失敗を誤魔化すためについた苦肉の策である!私、本当は寝相いいですよ!ベッドからおちたことないですよ!!


―――しかし、このわふわふしっぽの感触にはあらがえぬ。あぁ、早くわふわふしっぽを思う存分ふわもふしたい。


『ロナ~~~』


何だろう。幻聴かな。


『ロナ~~~っ!ヴィルお兄さまだよ~~~っ!』


遠くから、何かフラグ的なものを感じるのは気のせい?


『よし、もう寝室に乗り込むか~っ』

『おやめください~~~っ!!!』

いや、ひとりで騒ぐだけならまだしもひとさまに確実に迷惑かけてるしっ!しょうがない、と目を開ければ。太ももの上に乗っていたわふわふしっぽが私の元からするりと去って行ってしまう。それと同時にレオンさまが起き上がったようだ。


「何の騒ぎだ」

寝覚めは低血圧なのか、レオンさまの声がいつも以上に渋くてステキ。あぁ、でもせっかくのわふわふしっぽが。もう少し堪能したかったのに。


「主君、レーゲン“公爵”がお見えです。朝食のダイニングルームにてお待ちです」

あれ、レオンさまの向こうから青年の声がする。ベッドの脇にひざまずくその青年は。黒ずくめだけれどもわかる。わふたんお耳にしっぽの獣人族の青年である。んなんとっ、わふわふっ!!彼は何者なのだろうか。多分、影的なひとなのだけれど。


「仕度をしたら行く。すこし大人しくさせておけ」

「あ、上手に待てができたらご褒美を与えるとお伝えください」


「承知いたしました。主君、奥方さま」

そう答えるとすっと青年が姿を消す。何あれすごい!忍者みたいっ!!


「ロロナ」

「レオンさま。朝からウチの兄がすみません」


「―――いや」

レオンさまが3拍くらいおいて答えてくれた。そして。


「ロナ」


「はい」


「一番のわふわふは、俺か?」

んなっ!?


「も、もちろんですっ!!」


「ん、ならいい」


>何だかよくわからないが、目覚めのわふわふイベントはクリアしたようだ!!


***


早速レオンさまと一緒に朝の仕度を整えてダイニングルームへ向かえば。


「あぁ、ロナ!会いたかった!お兄ちゃん正式に公爵になったよ!!」

案の定ヴィルお兄さまがいたとです。しかも先に食事始めてるし。

しかしながら、せっかくの朝食が冷めても困るので、私たちも隣同士に椅子に腰かける。


「何故お兄ちゃんの隣に座ってくれないんだ、ロナ!!」


「え、いや夫婦ですしね」


「ぐはっ」

やはり予定通り乗り込んできたとはいえ、現実を突きつければダメージを受けるらしい。因みにこれが妹のエミリアだった場合、全くダメージを受けない。ダメージを無効化してしまうのだ。


おっと、話が脱線してしまった。


「てゆーか、ヴィルお兄さま。正式に公爵になるには竜王陛下に謁見しなければいけないのでは?今、朝の7時ですよ。一体何時に行ってきたんですか。てか、取り合ってもらえたんですか?」


「お兄ちゃんの知らぬ間に妹の結婚を承認したことを、王太子に付きつけ、昔王女殿下にもらったかわいらしいラブレターの内容をちらつかせて陛下への謁見に便宜を図ってもらった」

いや、なんつーもの物質ものぢちにしてんだ、ヴィルお兄さま。そう言えば王太子殿下もシスコンなのだっけ。さすがはシスコン同士。相手のどこを突けば着実に仕留められるかを、しっかりとわかっているというわけだ。


「ついさっき、正式に公爵位を賜ってきたところだ」

わぁ、王城から直訪問かよ。


「そう言うわけで、ボーデン公爵」


「何だ、レーゲン公爵」

ヴィルお兄さまの挑発的な態度に、レオンさまは眉ひとつ動かさず応じる。


「―――妹を、返してほしい」


いや、まぁ。言うと思ったけども、無理だろ。公爵になったところで無理だろ。


「帰れ」

レオンさま容赦ねぇっ!!気持ちはわからんでもないけども。


「まぁ、それは金輪際無理なので。現実的な話に移りますけど」


「えぇー」

えぇー言わないの!もう公爵になったんだからしっかりして!


「お父さまはどうなったのですか?」

臨時で署名だけするお仕事を任されていたお父さまは、ヴィルお兄さまが正式に公爵になったことで職や権限を全て失ったはずである。


「あぁ、父上は朝一番で我がレーゲン公爵家が治める領地に送った。そちらにこじんまりとした住まいを用意したから、そちらで穏やかな隠居生活を送ってもらう予定だ。ロナを勝手に嫁がせる書類に署名をしたとは言え、母上への愛は一途だったからな」

まぁ、確かにそこだけは尊敬できるかもしれない。例えお父さまの靴下が臭くても、そこだけは尊敬してあげてもいいかもしれない。


「無論、父上の母上コレクションも一緒にな。これで父上も満足しながら領地で隠居生活を送れるはずだ」

いや、ヴィルお兄さま。さらっと流しましたけどお母さまコレクションってなんすか。あの父、そんなものコレクションしてたんすか?


「ついでに、エミリアが自分のものにしていたロナが母上からもらった形見も人知れず強奪して父上に持たせてある。これで安心だ」

いや、安心できるかい。何で勝手に強奪してお父さまに渡してんだよ。横流ししてんじゃねぇよシスコン。いや、本当に必要なものはこちらに持ってきたし大丈夫だけど。

お父さまなら一生大切にするだろうからいいけどね。まぁ、エミリアの元に置いておくよりはましか。そう言えば、だけど。


「エミリアはどうするのですか?」


「そう、それなんだ。問題は」

ですよねー。





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― 新着の感想 ―
[一言] エミリアはもう何処かに出荷するしか…(笑)
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