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12/30

ようやっと来た、旦那さまターン


「レーゲン公爵子息殿」


「何だ。妹を誘惑した不埒なボーデン公爵閣下め」

いや、待て。ヴィルお兄さま。それはさすがに侮辱になるぞオイ。仲良さげに名前で呼び合っていた仲が無ければ侮辱になっているぞオイ。あと、レオンさまはわっふわふなだけで不埒じゃないから!!


あれ、でもレオンさまは一度もヴィルお兄さまの名前を呼んでいない気が。二人の間には何か隔たりが生じているのかな。いや、その原因なんてたかが知れてるけれど。確実にヴィルお兄さまのシスコンのせいであろう。


「そのような契約は交わした覚えはない。あと、こちらに自らやってきたのはロロナの方だ。俺はロロナを妻として迎えた。今更手放す気はない」

げほぁっ!ごほっげほっ。な、ななな、レオンさま!?何ですかその胸キュンゼリフは!ヴィルお兄さまのシスコンがウザイからっていくら何でもそんな胸キュンゼリフを吐かれたら、吐かれたら調子に乗ってわふわふに飛び掛かっちゃいますよ!?いいんですか、それでも!!

私はそんなレオンさまの横顔をまじまじと見つめる。そしてレオンさまが私の顔を見つめてくる。


「ん。こんなにもロロナは俺のことを愛している。俺も愛している」

えええぇぇぇぇっっ!!?今までの仏頂面無口キャラはどこに行ったんですかレオンさまぁ―――っ!!!そりゃぁ私とわふ太回が多すぎて、レオンさまとのラブコメのシーンが陰薄かげうすになってはいますけど!


―――ばっ、挽回する気なんですか?遂に!!


「そんな、そんなわけがあるかっ!」

ヴィルお兄さまが紅茶のカップをガチャリとおろし、そして立ち上がる。


「お行儀が悪いですよ。ヴィルお兄さま。“お座り”」


「くぅ~ん」

そんな甘えるような声を出してもダメです。


「お座り」


「わふっ」

うん、素直にお座りしたか。


「ほら、ご褒美のお菓子です」

私はテーブルに用意されていたクッキーをひとつつまんでヴィルお兄さまに差し出して渡すと、ヴィルお兄さまは泣きながらそのクッキーを食べ始めた。

そしてレオンさまもクッキーに手を伸ばす。

え、もしかしてレオンさまもヴィルお兄さまの餌付けに挑戦するおつもりですか?


「ロロナ、はい。あ~ん」

―――いや、私かよっ!!


ヴィルお兄さまが絶望の表情を浮かべているのが視界の端に映った。しかしながら。


ぱくっ。


レオンさまの初あ~ん。初あ~んである。そのわふたんお耳で迫られて私がそれを拒めるはずがない。


もぐもぐ。


「うまいか」


「はい、とっても」


「そうか」

何だか少し嬉しそうなレオンさま。ちょっと私もドキっときてしまった。そしてピクリと動いたレオンさまのしっぽを見てしまった。こ、これはまさか。一瞬嬉しくてしっぽをふりそうになって、慌てて抑えたということですか!?

―――やば。何このいきなりの胸キュンイベントはぁっ!!


そして私が固まっている間に、レオンさまはヴィルお兄さまの方へ向き直る。


「そう言うことだ。レーゲン公爵子息殿。妻とは仲睦まじく暮らしている。お引き取り願えるか」


「ぐぅっ!!」

悔しそうなヴィルお兄さま。これってざまぁに入るんだろうか。シスコンざまぁって感じ?


「あと、この件はレーゲン公爵家に直々に抗議させてもらう」

わぁ、マジでか。まぁ、そうなるか。ヴィルお兄さまは現在はしがない公爵令息なのだから。いくら何でもシスコンを暴走させ過ぎである。


「4日後、また来る」

そう言うとヴィルお兄さまがすっくと立ちあがり、応接間を後にした。え、また来るの?ヴィルお兄さま。しかし、日にちが半端だな。明日でも3日後でも1週間後でもない。いや、単にお仕事が入っている可能性もありるけれど。


はて、4日後、4日後は確か。


「あっ!」


「―――どうした?ロロナ」

レオンさまが私の顔を覗いてくる。


「あの、ヴィルお兄さまの18歳の誕生日です!」


「18。―――そうか、成人か」

ハッとしたようにレオンさまが呟く。


「はいっ!」

レオンさまは20歳。つまり既に爵位を継げる年齢である。レオンさまが公爵になったのは18歳の時。当主になったのはもっと前だったけれど、レオンさまが正式に公爵位をたまわる以前は代理人の方が公爵代理を務めていらっしゃったはず。


―――そして我が公爵家も同様である。

しかし、お父さまは公爵家の直系。何故?と思われるかと思う。そこら辺はまず我が父の幼少期の話から始めなくてはなるまい。


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― 新着の感想 ―
[一言] 次回、レーゲン公爵家の闇が!?(笑)
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