旅立ち編 冒険の始まりー②
俺は目の前にいるそいつを食い入るように見ていた。
紫色の真ん丸でポヨポヨしているそいつの頭上にはスライムを表示されている。
レベルは1…
初めての戦闘には丁度いい相手だ。
俺は腰に差してある木の棒を抜き正面に構えた。
そのまま、スライムとの距離を詰め叩きつけるように上から振り下ろす。
当たった…。俺がそう確信したその時、スライムは飛び上がり俺の攻撃を避けた。
完全に隙だらけだったスライムに攻撃が避けられたのだ。
俺は今の一連の流れに違和感を感じ、その違和感の正体が何なのか考えた。
今の俺の動きにそのものにはおかしなところは無かった。
ただ、今思えば、スライムに接近する際のスピードや武器を振り下ろす際の動きが俺の思っていたよりぎこちなかったのだ。
VRMMO特有のシステム的なアシストがほぼ無く、自分自身の身体能力だけで戦っているような状態なのだ。
それによって一連の流れに、無駄な動作にぎこちなかったのだ。
その結果、スライムには俺の動きがゆっくりに感じたのだろう、いとも簡単に躱されてしまったのだ。
(このまま無闇に戦ってもこっちのスタミナが先に尽きちまう…どうにかしてあのスライムに攻撃をてないとジリ貧だな。)
そう考えた俺は近くに転がっていた石を拾いスライムに向かって投げた。
スライムは驚いたように飛び跳ねた。
俺はその隙に一気にスライムに近づき、着地際に思いっきり武器を叩きつける。
俺の攻撃はスライムにヒットした。
スライムは光の粒子となり消滅した。
俺は一息つき、スライムがいた場所を確認した。
すると、そこには1枚のコインが落ちていた。
落ちていたコインを手に取ると1マニーを入手したとのシステムウィンドウが表示された。
この世界でのお金なのだろう。1マニーがどの程度の価値があるは不明だが、金はいくらあっても困るものではないので今のうちからコツコツ集めることにした。
俺は再び探索を開始した。
しばらく探索をすると一つの部屋にたどり着いた。
その部屋には宝箱がぽつんとあった。
それは探索を開始して初めての収穫だった。
高鳴る胸の鼓動を抑えつつ、周囲に罠がないかを確認しながら慎重に宝箱に近づき、宝箱に手をかけたのだ。
宝箱の蓋は以外にも少し重かった。
ゆっくりと蓋を開けるとそこには一本の剣が収められていた。
俺はそれを手に取り、じっくりと眺める。
折れや刃こぼれは無い普通の剣だった。
どうやらこの剣はショートソードというらしい。
武器の説明欄を確認するとこのように記載してあった。
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名前:ショートソード
通常のソードよりも短い設計になっており、その取り回しの良さから初心者が好んで利用する。
また、攻撃力は通常のソードよりは劣る。
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説明欄を確認し終えた俺はこの世界での初めてのまともな武器に感動した。
何しろ、今までは木の棒を武器に戦闘を行っていたからなのだ。
俺は今まで腰に差していたものを捨てて、たった今入手したショートソードを新たに腰に差した。
そうして俺は一度、元いた地点に戻るために来た道を戻ることにした。
帰りの道中に何度かスライムに遭遇したが、戦闘を繰り返していくうちにユグドラシルでの戦闘にも慣れていき、スライム程度であれば難なく倒すことができるようになっていた。
分かれ道にも目印を置いていたため、迷うこと無く元いた地点に戻ることができた。
俺が最初に出現した部屋に戻り、今回の探索の成果を確認する。
今回の戦利品は
宝箱から入手したショートソード。
スライムを倒して入手したマニーが合計で5マニー。
そしてステータスウィンドウを確認するとレベルは1のままだったが、俺の総合値が100から110に上昇していた。おそらくはスライムとの戦闘でこの世界での戦闘に少し慣れたおかげて総合値が上昇したのだろう。未だ、どういう基準で総合値が上昇するのかは謎のままだったが、今は総合値が上がったことを素直に喜ぶことにしたのだ。
俺は次の探索に向けてベッドで一休みすることにしたのだった。
ゆっくりと更新していくつもりなので期待せずに待っていてもらえればと思います。
誤字脱字や文章がおかしなところは気軽に指摘してもらえればと思うので今後ともよろしくお願いします。