世界の始まり編 新たなる世界へ−①
俺は今、真夏の日差しの下ある目的のために長蛇の列に並んでいる。
今回、こんなに暑い日に長蛇の列に並ばないといけなくなったわけなんだが、以前からあらゆるメディアにて注目されていた新作VRMMORPGのゲーム『ファンタジア』を購入するためだ。
ゲームタイトルこそ、よくあるタイトルで冴えない感じがすごいのだが、このゲームの最大の特徴はAIが自動で物語の進行をしていくことである。
ストーリーを進めるためのキークエストはなく、時間軽経過にて進行していく。さらに、ログアウト中も常にゲーム内時間は進行しているのでログインをするたびに状況が変化しているので常にワクワクを感じることができる。
そのシステムに賛否両論はあるが既存のクエストクリアをしてストーリーを進めていくタイプのMMORPGに飽きてしまっているゲーマーからの受けはよい。
俺自身もその一人である。
普段、買い物などはネット通販で済ましてしまうのだが、今回はそうもいかなかった。
まぁ、原因は俺にあるのだが…
俺ともあろうものが、今回の新作ゲームに関しては某通販サイトにて予約をするのを完全に忘れていた。
この俺、葵 光輝は普段は大学生をしている。
新発売のゲーム『ファンタジア』を集中してプレイするために発売日まで夏休みの課題をすべて終わらせるために悪戦苦闘していたのだ。
そのかいもあり、発売日前日には課題を終わらせることができた。
しかしその代償は大きかった。
俺ともあろうものが課題を終わらせることに集中しすぎていて某通販サイトにて注文していなかったことに課題が終わってから気がついた。俺は必死になってあらゆる通販サイトを探し回った。
だが、話題の新作ということも相まってどのサイトも売り切れ状態だった。
俺は仕方なく、地元のゲームショップに朝一で向かうことにした。
ゲームショップの開店が10時。
開店ギリギリに行って購入することができなければ課題を早く終わらせた意味がなくなってしまうので、万全を期すために、開店よりも2時間早い8時には着くことができるように6時30分に目覚ましをセットしてその日は寝ることにした。
そして翌朝、俺はけたたましく鳴り響く目覚ましで目を覚ました。
時計を確認すると、6時30分。
前日まで、課題を終わらせることに必死になって睡眠時間を削っていたので寝坊するのではないかと不安だったがしっかりと起きることができたので安堵している。
俺は身支度を手短に済ませて家をでた。
ゲームショップの店頭についたのが8時少し前、予定より若干早い到着だ。
しかし、すでに店頭には『ファンタジア』を求めているであろう人たちで列ができていた。
俺はすぐに列に並びショップの開店を待った。
そして今に至る。
時間が進む連れて気温は上がっていき、じっとしていても汗ばむような暑さになっていた。
自分のミスで招いたとはいえ楽しみにしていたゲームを購入するために暑い日差しの下、開店を待つ人達の列に並ぶのも悪くないと思い始めていた。