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世界が始まる二日前
同時進行で書こうと考えています。宜しくお願いいたします。
「何故人は本を大切にしないのだろうか」
一人の老人は今日もため息混じりに呟いた。老人は椅子に腰掛けながら辺りを見回す。
この部屋は老人にとって世界で一番価値のある部屋だった。
私は貴族と言う世界で一番くだらない肩書きを背負って生まれてきた。
父や母を見ていると吐き気がしてくる。何故私を産んだのか、貴族として生きているのか
くだらないしきたり、興味のない宝石の話。そして金や権力、領地の話。
全てがくだらない、民を見下し下賤と貶しながら己らは汚い欲望を隠そうともせず綺麗な言葉で誤魔化している。
もっと他のことに気を向けれないのか、もっと本を読め、清く正しく生きよ。
今もこうして自室で100年前に出版された一人の青年と一人の少女の悲しき恋物語を読んでいる。
私には別に友人がいない訳ではない。
友人をたくさん作らないだけだ。そんな何十人もいらない。
自分の歩んでいた道が世界から否定されたあの瞬間から私は世界の敵となった。