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極度の人見知りが男女比1:20の世界に転生した  作者: ウルセ
暑い夏休み
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謎の双子


「なにしてんの?」


廊下の先に金色に輝く髪を揺らす、澪先輩がいた。

あきらかに雰囲気は友好的に接するつもりのものではない。


目を吊り上げながらずんずんと僕達に近付いてくる。

これはヤバい。


実はしばらく二人に世話になってきて分かったことがあるのだが、澪先輩は言わばシスコンである。

それも重度のシスコンで凪先輩にプレゼントをしたり、度々甘やかし世話をする光景が見られた。


シスコンであり、過保護の一面がある。


音夢を悪役と決めつけて話を進めないか心配だ。


澪先輩は二人に近付き、凪先輩に手を離させると音夢をじっと見上げ話しかける。


「ねぇアンタなにかした? 私の妹がこんなに怒ってるなんて見たことないんだけど 」


「…… たぶんなにか気に触った事を言ってしまったんだと思う」


「ふーん…… 凪、いきなりこの娘に掴みかかったの?」


凪先輩は居心地が悪くなったのか視線を逸らす。

だが、澪先輩はそれだけである程度分かったようで。


「凪…… ちゃんと頭下げて謝りなさい」


すると凪先輩は渋る様子もなく自然と頭を下げる。


「妹がごめんなさい」


それに合わせて澪先輩も頭を下げた。

初対面の人間に馬鹿だのなんだの罵ってきたので少し苦手だったけど、根はいいお姉さんだった。


「……こちらも気に触った事を言ってしまって申し訳ない」


音夢も頭を下げた。

すると澪先輩がパチンと手を叩く。


「はい! じゃあこの件は終わり! 美月、副会長に頼まれたものがあるんでしょ? 早くしないと怒られるけど?」


あっ…… 頭に浮かぶのは幾度と繰り返された、ただ冷静に淡々と正論をぶつけてくる副会長の姿。

怒鳴られるよりかはマシかもしれないけど、しばらく打ちひしがれる事になる。


「…… 忘れてました。急いで行ってきます!」


「急ぎなさい。 そろそろ怒りの連絡が来るから」


それはヤバい。


副会長の怒りは三段階に分けられるのだが、二段階目になった合図は怒りの連絡である。


一段階目は先程言った通り冷静淡々と正論をぶつけてくる。

だが二段階目に入ると悲壮感を表し、時折涙を見せる仕草をしながら正論を言われる。


こうなるとなぜ自分は生きているのか自問自答し始めることになる。

三段階目は幸い遭遇したこともないが、生徒会長によると学校に行きたくなくなるらしい。


澪先輩に急かされ走って件の場所に向かおうとすると、「生徒会が廊下を走るな!」

と怒鳴られた。


だが未知の三段階目を体験するよりは勝手に謳われる『生徒会は全生徒の規律である』を破ったほうがましだ。


だから「すみません!」と謝りながら走る。


走ったおかげか暫く『生きている意味』を周りに問うだけで済んだ。


□□□


「ふぁ〜今日も疲れたわね〜! 」


美月の部屋で一緒に晩御飯を食べたその後。

ボディーガード三人組は音夢の部屋に集合していた。

三人とも風呂に入った後に集まっており、それぞれ部屋着を着ている。


杙凪は最初はしっかりとパジャマを着ていたものの、暑くなってきたのか今は下着だけになっている。


「そうだな杙凪…… 私もお前みたいにずっと保健室に居たいよ…… 」


片岡 秋奈は無地の橙色のパジャマで、着崩す事もなくきっちりと着ている。

だがその大きい胸はそれでも存在感を表す。


「どうしたの秋奈? 病んでるの?」


「いや、毎日ずっと仕事があるっていうのはしんどいな…… 体力には自信があったから大丈夫だと思ったんだが」


「そんな事言わないの!ほらじゃんじゃん飲みなさい!」


杙凪は自分の部屋から持ってきた常駐してある缶ビールを開ける。

プシュと気持ちのいい音が部屋に響き渡る。

だがその音が部屋に響き渡ったのは十回を超えていた。


「あ゛〜…… 美味いな」


決して美月の前では出さない声で秋奈はしみじみと言う。


「美味しいといえば香奈ちゃんの料理も最近は上手になってきたわよね〜! もう最初はどうしてやろうかと思ったわ…… 」


「そうだな。将来的にはプロレベルになるんじゃないか?」


「どうかしら? プロレベルは異次元だからね〜…… 音夢はなにしてるの?」


音夢は二人が缶ビール片手に談笑しているなか、一人馬鹿でかいパソコンの前で幾つもあるモニターの一つと睨めっこしていた。


「調べ物」


音夢は無地の白Tシャツに短パンというラフな格好だ。


「なに調べてるの? 」


「凪先輩」


「……? 凪先輩って誰?」


「生徒会の一人だ」


「なるほどね〜…… それでなんで凪先輩とやらを調べてるの?」


「昔テレビで見た事がある気がするから…… あった」


「なになに?」


秋奈と杙凪は近付き画面を覗き込む。


「千年に一人の歌姫、白波 渚……」


「あぁ〜…… この娘、昔テレビに引っ張りだこだったわよね。いつからか見なくなったけど」


音夢は開いているページを下げさらに情報がないか調べる。

くどい程ある生い立ちやら経歴やらのさらに下。

最後の文にそれは記載されていた。


「喉に病気を患ったため活動休止…… 」


ページの最後には純白のドレスを着て凪の顔を幼くした女の子が楽しそうに歌っている写真が載せられている。


ただ一つ、良しとできない事があった。


「…… どういうことだ?」


秋奈は眉を潜め呟く。

音夢もいつもは眠そうな目を見開いていた。


その写真で銀髪であるはずの髪は、金色に輝いていた。


読んでくださりありがとうございます。


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