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罵倒と無言

「とりあえずアンタ、仕事教えるからこっちに来なさい」


「え?あ、はい」


金髪の人が腕組みをしながら少しキツく話しかけてきた。


どうやら仕事を教えてくれるらしけど、目の前で繰り広げられているトップ二人の取っ組み合いはほっといても大丈夫なんだろうか?


いや、取っ組み合いと言っても涙を副会長の制服に擦りつけている生徒会長を、副会長が頭をファイルでバンバン叩いて引き剥がそうとしているので取っ組み合いというか、傍から見たら虐めに見えるのでなんとも言えないが。


すると僕の視線の先の光景を見て察したのか呆れた目を二人に向けながら教えてくれた。


どうやらあれは日常茶飯事らしく、駄々っ子生徒会長がいつも問題事を生徒会に持ってきて副会長に泣きついているそうだ。


実際入学式の時に僕の事について言及した時、色んな人から指摘されたそうで、その時も副会長に泣きついて助けを乞うたらしい。


もうそれ会長としてダメじゃんと思うが、なんか上手くいっており生徒からも評判は良いため大丈夫だそうだ。

まぁ、生徒からの評判が良いのもひとえに副会長のお陰だそうだけど。


それでいいのか生徒会……


□□□


そんなわけで金髪の人からさっさと慣れた方が良いと会話を締め括られ、今は金髪と銀髪に挟まれながらようやく落ち着いてきたトップ二人をバックに仕事を教えて貰っている。


仕事内容は生徒に実施するアンケートの作成とか、会議の時に使用する資料の作成等、色々あるらしいがとりあえず今は基本の資料の作り方を二人から御教授して頂いてる。


……が如何いかんせんこの二人は人に教える事が苦手というかダメな人だ。


どうやら二人は案の定双子のようだが、まず姉の金髪の先輩。

さっき有村ありむら みおと自己紹介してくれたけど、当たりが強い。

さっきから何か間違えると対処法を教えてくれる前に

「なんでそんなのもわかんないの?」

「それぐらいできるでしょう……」

「しっかり考えなさいよ!」とか何か一つ、罵倒がもれなく付いてくる。

別に僕は罵倒されて喜ぶ人間じゃないし、新たな扉を開くつもりもない。


そしてもう一人の妹の銀髪の先輩、有村ありむら なぎと澪先輩が教えてくれたが、マジで喋らない。

音夢よりも全然喋らない。

凪先輩が問題点を指摘する時は基本指で示してくれるのだが、示すだけでどうすればいいかは教えてくれない。

なんとか自分で解決できても、これで合ってますか?と確認をする時、僅かに動く首の動きで判断しなければならない。


人に教える事がここまで向かない双子も珍しいと思う。


さて、先輩なのでいくらか遠慮して我慢していたけどこのままだと今夜にも自室で立て篭りの準備をしなければならなくなるので、この異端な生徒会中で一番マシであろう副会長に教えてもらおう。


さすがに憤りを感じたのか生徒会長を叱る片岡さんの横にいる副会長を呼ぶ。


「あの、すみません副会長……資料の作り方を教えて欲しいのですが」


「は?今私たちがわざわざ教えてんじゃないの。なに?文句でもあんの?」


逆に文句がないとでも思ってるのだろうか、この金髪は?

あと痛いです凪先輩。じっと無表情で僕を見つめながら手の甲をつねらないで下さい。


しかしそんな事を先輩に言えないので青筋を立てながら『なんで?』という感じで僕を見つめている副会長に理由を述べる。


「あの……やっぱり僕を教える事に二人も必要ないと思いますし、その……あれです」


「別に私達仕事終わってるから心配しなくても大丈夫よ?それで……あれって何かしら?」


一つ目の言い訳は潰れた。あとは彼女に察して貰わないと、罵倒は酷くなり手の甲に一生物の傷がつくかもしれない。


副会長様……どうか、どうか……






読んでくださりありがとうございます!

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