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急速なイメージダウン

夕日に照らされ、オレンジ色に光る生徒会室で僕の事をじっと見つめながら、目の前で佇んでいる生徒会長は口を開いた。


「中野くん、君にはこれから毎日放課後に生徒会の活動をしてもらう事になる」


……以前交わした約束と全然違う。約束では月一の会議に出席すればいい筈だ。


しばらく呆然としていると、生徒会長の隣に座っている副会長がゆっくりと立ち上がった。


そして鋭い目で僕を見つめながら簡単に

「副会長の山下やました りんです。よろしく」

と挨拶すると、下を向き手元にあるファイルを見ながら説明し始める。


「ここからは私が説明します。先程の会議で中野さんが生徒会に入る事は問題ないとされましたが、男性だからといって特別扱いは容認できない、と生徒会長を除いた全員で一致しました」


ここまで噛むことなく一呼吸で言い切り、最後に大きく息を吸い、そして顔を上げてじっと僕を見つめながらゆっくりと締めくくった。


「よって中野さんも私達と同じ仕事をする事を義務付けられました……何か質問はありますか?」


いや、質問も何も貴方の横にいる生徒会長と交わした約束と

対をなすレベルで違うんですが……


そう言うと副会長は目を薄め、彼女よりも低い位置にある生徒会長の頭を横目で睨みつけながら言った。


「まぁそれは……このクソッタレバカの生徒会長の責任ですね。煮るなり焼くなり好きになさってください」


「いや、ちょ、ちょっと待ってよ凛……そこまで言わなくても良くない?」


思いっきり突き放した副会長に涙目で何とか縋りつこうとする生徒会長。

だが副会長は冷徹な目を向け無慈悲な言葉を生徒会長に投げかける。


「うるさいですね。反感を買うことぐらい容易に想像出来たはずでは?なにも考えず独断専行した貴方の責任です。私は知りません」


「りーーんーー!!」


「あぁ、もう離しなさい!そんな泣いても私は知りません!」


涙ぐんでいる生徒会長は副会長を逃がさないように抱きつき叫んだ。だが副会長はなんとかひっぺ剥がそうとしている。


そんな生徒会長に数分前まであった凛々しい生徒会長というイメージは木っ端微塵に砕け散り、今の僕の中での生徒会長はアホな駄々っ子に成り下がった。

ここまで酷いイメージダウンは生まれて初めてかもしれない。


というか生徒会長の独断で僕を誘ったのか……何を考えているんだあの人は。


呆れてため息が出そうになった時、完全に気配を絶っていた片岡さんが後ろから声をかけてきた。


「どうします?」


「うーん……」


どうしようかな……でも放課後の時間が取られるのは嫌だし入ってすぐだけど辞めようかな……


すると生徒会長の顔を抑えながら副会長が声をかけてきた。


「ちなみに中野さん生徒会に入ってしまってます。生徒会から抜ける……という事は基本できません。まぁ、退学するとかなら別ですけどね……だぁぁ制服が汚れるから離しなさいって!」


え?詰んでるじゃん。



こうして僕は生徒会長に騙されて強制的に生徒会に入る事になった。



読んでくださりありがとうございます!

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