香奈さ·····香奈
『ピンポーン…お兄ちゃ〜ん、香奈だよ!』
来た!すごい可愛い声だな…
モニターを見る。黒髪を長く伸ばしている美少女だ。
…誰だよ?
『お兄ちゃん、一番開けて〜』
一番?モニターから視線を下ろすと一〜三まで番号が振ってあるボタンがあった。これを押せばいいのか?
ポチッと
『お兄ちゃんありがと〜』
可愛いな。まともに話せるかわからない。よく考えてみれば初対面の人と話すのは四ヶ月ぶりくらいかもしれない。
インターホンが鳴ってから一分後…
『お兄ちゃん、二番開けて〜』
二番をポチッと
また一分後
『お兄ちゃん、三番お願い〜』
三番をポチッと。最後のボタンだ。
するとすぐにノックする音が聞こえた。
『お兄ちゃん、お兄ちゃん』
玄関に向かう。このドアの向こうに香奈さんがいるのか…すごい緊張してきた…お腹いたい。
『お兄ちゃん?早く開けてよ』
開けよう。それで体調不良を言い訳に早く帰ってもらおう!仮病じゃないからな。本当にお腹いたいんだ。
覚悟を決めて開ける…
「あ、やっと開いた!お兄ちゃんひさしぶ…えっ!すごい汗!顔がすごい真っ青だよ!大丈夫!?」
「あ、すみません!香奈さんですか?」
「香奈さんって何お兄ちゃん。いつもみたいに香奈って読んでよ。というか大丈夫!?ちょっとベッドで寝てて!」
香奈さんは僕の背中を押してベッドに寝かせた。恥ずかしい…
「様子を見に来てよかった…お兄ちゃん?しっかり体調管理しないと!まったく…ちょっと買い物に行ってくるから!鍵を貸りるよ!」
香奈さんは僕の財布の中から鍵を取る。
「ゆっくり寝ててねお兄ちゃん。おやすみなさい。」
香奈さんは電気を消して買い物に出かけた。
香奈さんが出かけると次第に体調も治ってきた。
良かった…いきなり美少女は辛すぎる。眠くなってきた…疲れたのかな?ふぅ…
□□□
「お兄ちゃん…お兄ちゃん…お粥できたよ、食べて?」
体が揺すられる…まだ眠い。目を薄ら開ける。美少女だ…誰?ん?香…奈さん…?香奈さん?
「うわぁぁぁぁぁ!」
「きゃっ、何お兄ちゃん急に叫んで!びっくりさせないでよ!」
「あ、す、すみません!」
「すみませんって…お兄ちゃん今日おかしいよ?まぁいいや!とりあえずお粥を冷めないうちに食べて!」
「あ、すみません。いただきます。」
「はい、どうぞ。ゆっくり食べてね?」
お粥なんて食べたの何年ぶりだろうか?子供の頃は美味しくなくて嫌いだったよな…
「美味しいです!」
香奈さんは微笑んで
「ありがとう、お兄ちゃん」
と、言った。可愛い!
□□□
お粥の味に慣れてくると視線を感じる。もちろん香奈さんからだ。
「あ、あの香奈さんあんまりこっちを「香奈さんって何お兄ちゃん?香奈って読んでって言ったよね?」あ、はいすみません。」
かなりの威圧が香奈さんから放たれる。怖い…
香奈さ…香奈からの視線から逃れるため急いで食べる。
「ゆっくり食べなきゃダメだよ?お兄ちゃん」
すみません…ゆっくり食べます。怖いな…バレないように早く食べよう。
□□□
「ごちそうさまでした。」
「お粗末さまです。」
香奈が食器を片付けてくれている。落ち着いたら勇気を出して彼女に質問しよう。
読んで下さりありがとうございます。