香奈凸
音夢と色々あってから二時間程経った。
時計は九時を示している。
あれから音夢からメッセージが来た。
『あーちゃんとくーちゃん、十時くらいになりそうだから安全を取って今日は休んで。ただ、明日は普通に登校できるはず』
との事なので今日は休日。つまりは現在ヒマということだ。
音夢と一緒にゲームでもして遊ぼうかな?って考えたけど、誘う勇気がない。
情けない……そんな訳で現在ネットサーフィンをしている。
……本来なら服を洗濯したり、食器を洗ったりしなきゃダメだけどダルい。
まぁ、別に二日くらい溜め込んでも大丈夫でしょ。そんな事よりゲームの最高レア排出率二倍イベントの方が重要だ!
早く周回しないと……そんな時、インターホンが鳴った。
ドアホンを見ると切羽詰まった表情をしている香奈が表示されている。
何してるんだ?というか何で香奈がここに居るの?
『お兄ちゃん、早く開けて!』
その焦った声に驚き、急いでロックを解除していく。
そして全てのロックを解除し終えて香奈が玄関を叩く。
「お、お兄ちゃん、は、早く開けて……」
どうやら息が上がっているようだ。
「ど、どうしたの香奈!」
玄関ドアを開けるとそこには、してやったり顔の香奈が居た。
そんな香奈は大きなキャリーバッグを持っている。
……そのキャリーバッグで大体は察したけど、間違っている事を願い一応質問してみよう。
「か、香奈?そのキャリーバッグはどうしたの?」
「んー?それはね、お兄ちゃん。私がこの家に住むことになったから!だから邪魔しないで!」
「いやいや、いくら香奈でもさすがにそれは……ちょ、ちょっと考えさせて!」
「ダメ!お兄ちゃん不摂生な生活してるでしょ!」
「……そ、そうだけど一日だけ考えさせて!それじゃ!今日はごめん!」
香奈を何とか押しのけて玄関ドアを閉めた。
さすがに異性と同棲はしんどい。しんどすぎる。
正直、香奈を妹だと思うのは中々無理がある。この世界につい最近来たばっかりだし。
というか香奈に話したじゃん。それなのに何故だ!
「お兄ちゃん、開けて!」
「む、無理無理。香奈ごめん、今日は一旦家に帰って!」
「……何してる?」
こ、この声は……音夢!な、何でよりによってこんなタイミングで……!
「あ、音夢さんですか?私、中野 美月の妹の香奈って言います。よろしくお願いします!」
「美月の妹?あぁ……とりあえず身分証だして?」
身分証って……音夢、凄い警戒してるな。
「はい、どうぞ!」
「……ん、とりあえず確認した。ありがとう。それで、美月の部屋の前でどうしたの?」
「えっと、私今日からお兄ちゃんのお世話する事にしたんですけど、お兄ちゃんがグズって閉じこもっちゃって」
あれ?香奈ってコミュ力高くない?僕と真逆じゃん。僕のコミュ力、全部香奈に持ってかれた?
「なるほど。貴方に美月を見ていてもらえると私達としても助かる。……美月お願い。私達の為になると思って」
め、迷惑かけまくってる音夢に言われると……
いや、ダメだ!さすがに音夢からのお願いでも、無理なものは無理だ!
「あ、そうだ音夢さん!後で連絡先交換してください!」
「ん、わかった。事が終わったら教える」
……何でそんなにあっさりと。これ本当にコミュ力が全部香奈に流れた説あるな。
「とりあえず美月。ここを開けて」
「い、いくら音夢のお願いだからって無理なものは無理!」
「実の妹でしょ?何でそんなに嫌がる?」
また答えにくい質問を……
「あ、大丈夫ですよ音夢さん。大体把握してますから!」
把握って何?何を把握してるの?恐怖でしかないんだけど。
「あ!そうだ、お兄ちゃん。勝負しようよ!」
「勝負?」
香奈は突然何を言ってるんだろう?
「この勝負に私が負けたら、大人しく帰るよ。けど私が勝ったら家に入れて?」
「あ、明日も来たりしない?」
「大丈夫!二度とこんな事しない、約束する!」
「わ、わかった」
ここで何とか帰らせても明日も明後日も来そうだから、勝負を受ける事にした。
大丈夫。ここで勝てばいいんだよ。
「それで勝負内容は?」
「お兄ちゃんが決めてもいいよ?ただ、お兄ちゃんも答えられる問題だけね?それで審判は音夢さん」
「わかった」
さて、どうしよう。少なくとも数学とか、なぞなぞとか、そういうのは止めといた方がいい。香奈が答えられるかもしれない。
そうだな……僕の家の現状とかはどうだろうか?例えばテレビのリモコンはどこにある?とか。
これなら頭をひねっても何も出てこないから勘で答えるしかない。
よし!これでいこう!
文章が読みにくかったりしませんか?大丈夫ですか?
自分では読みにくいかわからないので……
ここが読みにくい!とか何かご指摘ありましたら感想欄で教えて頂けると嬉しいです!
読んで下さりありがとうございます!




