音夢
「私が居たらダメ?」
なんで音夢の声が聞こえるんだ?
「…質問を変えよう。なぜ私達がここに逃げ込んでいるとわかった?」
どうやら音夢は後から追いついて来たみたいだ。夏や優奈はどうしたんだろう?
「貴方の交友関係からしてここぐらいしか、逃げ込める所は無い。貴方が此処によく来ることは結構有名」
片岡さんも、もしかして人見知り?だとしたら少し嬉しいな。共感してくれる相手が居ることはとても心強い。
「私は断じて友人が居ないなんて事はない。」
片岡さんが少しキツく返答する。そうだよな…
「変な所で子どもっぽくなるんだから…」
杙凪先生の呟きがたまたま聞こえてきた。…今度ゆっくり話してみたいな。
「…そんな事より君はどうして私達は交友関係がある事を知っている?しかも入学したての君が」
「…入学式の時に先輩達が話していたのが聞こえてきたから。」
「ほう?さっきから好き勝手言ってくれるようだが、私達がここに赴任したのは数ヶ月前。さらに言えば此処にくるのも今回を合わせても三回程だ。」
「…」
片岡さんの声が少し上擦っている。どうやら音夢を問い詰めて、少し楽しくなってきたようだ。片岡さんはSなのだろうか?いや少なくとも逆は考えられない。
「わかるな?つまり私達についての噂があるのはおかしいのだ。」
「さらに言うならその情報があるとするならば私達がここに赴任される前に居た政府直轄の大学のみ。しかもそこはあらゆる情報が秘匿されている。個人情報はもちろん交友関係までだ。さて、問おう。」
「お前は一体何者だ?」
片岡さんは音夢を追い詰めるために矢継ぎ早に言った。
「…やらかした。もう少し考えるべきだった」
「なんて言った?」
音夢は本当に小さく呟いた。何を言っているのか僕もわからない。
「何も。それより概ね貴方の予想通り。私は貴方達の居た大学に特別枠で在籍していた。そこで貴方達の噂を知った。」
え?音夢さん大学いたの?なんで高校にいるの?
「そうか…それならば君は何故この高校に通うことになっている?」
片岡さんが聞きたかった事を質問してくれた。まだ僕は寝たフリをしているからな…起きるに起きれない状況になってしまった。
「私がここに通学する事になったのは私が情報統制部に所属することになったから。私が中学をすっ飛ばしたからせめて高校生の心理を実体験してほしいからだって。」
「なるほどな…」
「それでお願いがある。この事を秘密にして欲しい。」
「それはどうしてだ?」
「上から言われたとはいえ私も少し楽しみにしていたから。変なわだかまりを作りたくない」
「それは私達の情報を流さないなら了承しよう。」
「それでいい。ありがとう。」
よかった。対立したらどうしようかとヒヤヒヤしていた。これでようやく自然な形で起きることができる。
「ちなみにだが夏さんや優奈さんにはなんと言っているんだ?」
そうそう、そうなのだ。夏さんや優奈さんには事実を伝えているのだろうか?
「夏と優奈には言っていない。」
「?それならどうやって…」
「彼女達の中では私は中学校に通学していた事になっている。」
「君は大学に居たんだろう?ならどうやって…」
「音夢って呼んで。…特別に言うけど私は問題があって保健室登校をしている事になっている。だから彼女達は授業中も私に会えないし会えなくてもそれほど違和感を覚えない。ただたまに一緒に遊んでいたけど。」
…僕は今の話を平然と話す音夢と普通に聞いている片岡さんと杙凪先生に恐怖した。
もうちょっと入学式編が伸びるかもしれません…
読んで下さりありがとうございます。




