入学式前
美月の母親、美香と校長の美那乃の話し合いは続く。
「まず男子トイレがない問題ですがそれは女子トイレの一つを臨時の男子トイレとして使えばおそらく大丈夫でしょう。盗撮対策としては女子の侵入禁止、さらに警備員が随時トイレの前で監視して三十分毎にトイレの検査をするようにすれば概ね大丈夫だと思います。ただしそれ以外の問題…つまり校内と通学時の問題については…」
「ええ、わかっています。美月に安全のためボディーガードを計二人付けようと思います。それと情報警護の方も一人付けようと思います」
「ほう…それは噂の政府が新たに男性警護部門に新設した情報の削除、撹乱を主とする部署ですか…」
美那乃は少し驚いたように美香を見つめた。美香は話を続ける。
「ええ、万が一がありますからね…それにもう美月の情報は出回っていると考えていますから。美月も変装もせずに外に出て、ましてや男性専用車両に乗る事を忘れるなんて…昔はこんな事無かったのですが」
「そうですね、美月くんの情報に関しては出回っていると考えて大丈夫でしょう。ただ情報警護を付けるにはまだ新設したばかりなので無償ではないですし、現段階ではかなり高額になるのでは?身辺警護の方を付けるだけなのならば申請すれば国が負担してくれますしね…」
すると美香は悲しそうに笑いながら言った。
「美月は中学校で男性にいじめられてから二年ほど外出を一切しなくなり、国から出されるお金も貯まっていく一方だったので問題はありません…」
「無粋な事を聞きました。すみません」
「いえいえ大丈夫です」
美那乃が軽く頭を下げると美香は慌てたように言った。
そこで丁度よくアナウンスが流れた。
『入学式が始まる三十分前になりました。新入生の方々は受付を済ませ指定された席に着席して下さい。保護者の方は自由席ですが、写真撮影をされる方は保護者席の後方でお願い致します』
「っと、入学式が始まりそうですね…美月くんを迎えに行きましょうか。そういえば美月くんは体調大丈夫なんでしょうか?、」
「そうですね行きましょうか。美月は大丈夫だと思います。仮に体調不良だと訴えていても仮病でしょうね…」
美香と美那乃は立ち上がり美月を迎えに行った。
□□□
僕は今、母さんと警備員の片岡さんと共に受付を済ませ係の人に連れられ体育館の裏口の方向に向かっている。ちなみに体調不良を訴え出たが片岡さんが『先程まで大丈夫そうでしたが?』と言ったおかげで帰宅は了承して貰えなかった。
体育館の裏口から入ると係の人に「ここに座ってお待ちください」言われたので母さんとは別れ今は片岡さんと二人きりだ。片岡さんは目をつぶっている。
「あの、なにをしているんですか?」
思わず聞いてしまう。
「え?ああ…不審者が居ないか探っていました」
片岡さんは目を開けて少し微笑みながら言った。
当たり前のように言うけどそんな事できるの?この世界の人間は前の世界で言う超人ばかりなのだろうか?
「そ、そんな事できるんですか?」
「ええ、訓練すれば誰でも出来るようになりますよ?ちなみに杙凪もできます」
え?
ちなみに中学校に男性からいじめられていたという情報は現在の美月は知りません。そして現在の美月が不登校になったのはいじめられたからではないです。
短い話が続いているのと話の質が悪いので二日一回の投稿になるかも知れません。
読んで下さりありがとうございます!




