必中クリティカル
「うーん、微熱ですね…とりあえず体調が悪くて入学式に出られそうにないならお母様に連絡しましょうか…」
マジか!これは帰られるんじゃないか!?罪悪感があるが『すみません、出られそうにないです…』って言って帰ろう!そうだよ、そうしよう!このままだと冗談じゃなくて死にそうだ…
「あっ、少し顔色良くなりましたね!大丈夫そうかな?」
「ゴッホ、ゴホゴホ…あー辛いなー」
危なかった…このチャンス、絶対逃しはしない!
「…あのお名前ってなんて言うんですか?」
「え、あ、美月って言います…」
「美月君って言うんですね!あ、私は江上 杙凪って言います!ロシア人のお母さんを持ちます!」
「あ、杙凪先生ですね…これからよろしくお願いします…お母さんがロシアの方だからお…きれ…?いやなんでもないです」
ついとっさにお綺麗ですねって言おうとしてしまった。そんなこと言う勇気はない。だが聞こえてしまったようだ。
「えぇ〜なんで言ったんですか〜?よく〜聞こえなかったな〜もう一回言って欲しいな〜」
イラッ。ニヤニヤした顔で言ってきた。それならこっちにも作戦がある。
「さぁさぁもう一回言って見て「あ、すみません、体調が悪いので少し寝ます。」くださ…い?」
杙凪先生は保健医の先生だ。体調が悪い生徒に自分と話をすることを強要できないはずだ。
「えっ、ちょっと待ってくださいよ!ひどくないですか!?」
おやすみなさい。
□□□
「…!…!」
「…!?…!」
うう…ん。うるさいな…。仕方ないので起きようか。ただ体調不良を装ってだが。
「あ、あの?どうし…」
思わずもう一度寝たフリをした。起き上がったその先には戦場が広がっていた。
「だからここにあんたの警備はいらないって言ってんでしょうが!他の警備の人に変わってもらってよ!」
「そんなこと言われても仕事だから仕方ないとさっきからいっているだろうが!」
杙凪先生と警備服を着た身長が僕よりも高い美人な人が居た。そして何より目を引くのがそのとても大きな女神の祝福だ。その大きさは警備服が裂けそうなほどだ。髪型はセミロングと言われる長さではないのだろうか?詳しくは知らない。
ちなみに杙凪先生はそれはそこそこで金髪ロングの美女だ。
そういえばあの人、校門で警備をしていて僕と母さんを助けてくれた人じゃないか?
そんなことを考えている間にも口喧嘩はヒートアップしていく。
「ようやく巡り会えた男の子にあんたみたいな美人を会わせたくないのよ!」
「お前は私とは比べ物にならん程美人ではないか!だから大丈夫だ!というか仕事なんだ!頼むから退いてくれよ!」
なんだあれ?喧嘩なのか?ただ二人が出している雰囲気は恐ろしい。見ているだけで震えてくる。
「嫌よ!一人でもライバルを増やしたくないのよ!この筋肉駄肉!」
「なんだと!?なんでお前はお前のお母様の純粋さとは打って変わって口が悪いのだ!それにさっきから…あ」
ヒッ!筋肉駄肉と呼ばれていた人がこちらを見た!薄目で見たのがバレたのか!?いや、そんなわけないか…
「あっ、コラ!入っちゃダメ!」
しかしそんな杙凪先生の静止も虚しく呆気なく拘束を振りほどきこちらに向かって来ている。
威圧感が半端ではない…
そして筋肉駄肉さんは僕の寝ているベッドの前に立って言った。
「あの…起きてますよね?」
「ぐ、ぐー…ぐー…」
「いや、そんなに顔が真っ青になっていったらさすがにわかりますよ?」
僕は寝ています。ちゃんと寝ています。バレていないはずです。
「いい加減にしたらどうですか?」
「ヒイッ!す、すみませんでした…」
そんなドスの効いた声は人見知りにはクリティカルヒットします…早く帰らせて…
短いですね…頑張ってまた長くします。
そろそろ登場人物紹介をしようかな?
読んで下さりありがとうございます。
九月十二日
少し修正しました。ストーリーに影響はありません。




