この想いはきっと報われない
諦めるという決心がついたので、その子との過去を思い出しながら何かを発散するかのように執筆した限りです。
不定期なので投稿にだいぶムラがありますので、そこは本当に申し訳ありません。
伝えたい言葉が出ない。
前はもっと簡単に伝えられたはずなのに。
胸元につかえて取れないこの言葉には、きっと毒が塗ってある。
一言だけでいい、せめて最後だからと、この一言だけでも伝えたかった。
けれど毒は次第に、致命的なまでに、私のことを深く侵食していって、今ではもう身動きが取れない程に深く根を張っていた。
伝えたい。
伝える事が叶わないのなら、せめてあの頃に戻りたい。
どうして、こんな風になってしまったんだろうか。
好きだ。君が、君だけが好きだ。ずっと、あの時からずっと……君だけを愛してる。
その言葉が、想いが、自分の中に、静かに、深く、深く沈んでいった―――
朝、枕が濡れていることに気づいて些か不快に思いながら目が覚める。
「……?なんだ……なみ、だ……?」―
悲しい夢でも見たのだろうか、枕が濡れている原因が、瞬時に自分の目元にあったことに気がついた。
(どんな夢を見ていたんだ……全く思い出せないな……)
そんな事を考えていると、唐突に「遅刻するよー!」といった母の怒鳴り声が聞こえた。その声に反応して、凄まじい眠気に襲われながらも渋々時計を確認して慌てて支度を始めて朝食も食べずに家を出た。
綺麗な桜並木を、未だ眠気の収まらない目を擦りながら歩いた。
今日は4月の始業式だ。学校に着き、欠伸をしながら自分のクラスを確認して席に着き、それから程なくしてこのクラスの担当教師と思われる人物が教卓に立ち、話を始めた。
「進級してすぐで唐突だが、転校生がこのクラスに来る。不慣れな土地で不安になることが多いだろうから、みんな仲良くしてやってくれ。」
周りのクラスメイト達からは戸惑いや期待の声が聞こえてくる。
「じゃあ、教室に入って自己紹介してくれるかな。」
そうして扉が開き、その子が自分の視界に入った瞬間、今まで引きずっていた眠気や新しいクラスでの不安やその他諸々は、一瞬にして吹き飛んでいた。自分のなかで、今までに感じたことの無い感情が、己の心を一気に埋めつくした。
自分は一目でその人物に好意を抱き、挨拶の所作や、その物腰の柔らかさに惚れ込んでしまっていた。
つまり、一目惚れだ。