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創造神の異世界転生  作者: G/I/N
第4章 レイブンの森
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48. 霹靂神

 

 神々と精霊と魔物が交わるところ。


 ごろごろと鋭い石がそこらに広がる、どの山々よりも遥かに高い岩山の頂上。


 命という形を持って、一つの時間が始まった。姿は虎、しかし虎ではない。


 彼の者の周りには、止まった時間が百ほどあった。黒焦げになり、生き残りもおらず、彼らがどのような存在だったかは見当がつかなかった。



 天には数多の稲妻が、雲間に走り。地には数多の炎が、辺りを染めた。


 赤子の虎がひと鳴きするたび、光と轟音が鳴り響く。


 赤子がもうひと鳴きすると、地に這う命が終わった。



 その時、一人の神が赤子に辿り着いた。


 彼の名はオメガ、乱暴者で有名だが、近しい者の間では、どの神よりも優しい事で知られていた。


 オメガは虎をひょいと両手で掲げあげ、今日よりお前は我が息子であると囁いた。



 虎は戸惑い、何度も何度も鳴いた。その度に雷が巨体へ突き刺さった。


 だが、彼の時間だけは止まることはなかった。元より黒い肌が、さらに黒くなり、長く赤いヒゲが、少しばかり短くなった程度である。


 オメガは雷と農耕の神、右手にはミョルニルという柄の短い槌を持ち、左手には麻の大きな大きな布袋を引きずっていた。



 二万年の月日が経ち、虎はオメガのように大きく育った。それは、オメガの作った作物がとても優れていたからである。


 若しくは、注がれた大量の愛情からだろうか。長い年月をかけ二人の間には、形を成さぬ何かが生まれた。


 虎には未だ、名を与えられてはいなかったが、求めはしなかった。いずれその時が来るのだと、分かっていた。



 オメガはある日神々が遊地として集まる酒場で、プサイと名乗る醜男と出会った。


 初めは、このような醜い神もいるのかと驚いたが、蔑みはしなかった。反対に興味さえ沸いた。


 彼と話を交わす間に、大樽が十程空いた。彼らは傍目からも親友の如く思われた、の、だが…。



 ある星月夜、親の帰りを待つ虎は、ある醜男と出会った。彼は、父の持っていた、大きな布袋を渡しこう言った。


 貴方の主人は、巨人との戦へ向かった。先に行く、早く来い。と私に伝言を託し、急ぎ足で戦場へ向かわれた。この布袋を忘れて行ったので伝言と共に渡しに来たのだと。


 父が肌身離さず持っていた物を持ってきたこの男は、それ程近しい者なのだろうと思い、虎は布袋を受け取り、その戦場へ向かった。



 プサイは企んでいた。アルファと出会うためにはどうすれば良いのか。


 噂によると、オメガは()()を飼っていると聞いた。精霊は羽が生え、体が小さく、捕まえるのには最適であると。そして、アルファに贈り物としようとした。


 だが、オメガの棲家にはそんなものは居なかった。プサイは憤怒した、奴のところには大きな虎しか居なかったのだ。魔物である虎では怖がられる、使い物にならないとプサイは思った。




 こうして彼の企みは叶うことはなかった。




 オメガは早朝、棲家へ重い足取りで帰っていた。どうやら朝まで酒場で寝ていて、お気に入りの布袋は盗まれたらしかった。


 世界の底が抜けるような感覚のまま、ようやくたどり着いた。


 中へ入ると、机や椅子、棚の中身まですべてが荒らされ、何よりも大切な息子はどこにも居なかった。



 オメガはその光景を見た瞬間、酔いが覚め、理解に勤しんだ。


 確かに息子がそれはそれは小さな時、同じように物が散乱していたことはあった。しかし、大きくなった今、息子が暴れたのなら、これでは済まないはずだ。


 神の仕業に違いなかった。ふと、プサイの事が頭に過ぎったが、すぐに否定した。信じたくなかったのだ。



 しばらくして、彼は思い立ったが如く、腰をあげ棲家を離れるように足が動いた。


 友に話を聞き周り、すれ違った者がいないか、息子を連れ去った者を知らないか、情報を集めていった。


 すると、友人のタウから実に真実味のある情報を得た。昨夜一緒に飲んでいたプサイが、お前の布袋を持って酒場を出るのを見た、というのだ。


 力の弱いタウは、それでも必死に止めようとしたが、力押しされてしまったのだと言う。お前を起こそうともしたが、寝相の悪いお前は俺を殴り倒し、再び寝てしまったらしいのであった。


 タウの右頬には殴られ、腫れた痕があり、真実味がより一層増していた。




 オメガは道すがら、プサイの居場所を聞き出し、遂に彼を見つけた。


 プサイは木の陰に隠れ、思いを寄せているアルファを眺めていた。その姿が、オメガの逆鱗に触れた。


 プサイの背中に息子の毛が、大量に付いているのが見えたのだ。虎は雷の精霊、故に息子の毛には電気を帯びており、よく物にくっつくのが唯一の悩みだったのだが、逆に犯人を見つける手助けになってくれた。




 オメガは覇気を放ちながらゆっくりと近づくと、気配に気づき振り返ったプサイの右頬を渾身の力を込めてぶち抜いた。


 プサイが三転び半したところで、彼に問うた。


 息子をどこへやった。


 それからは正直、オメガ自身よく覚えていなかったのだと思う。


 オメガはプサイが事実を告白するまで、殴り蹴りを続けた。




オメガと虎の話は続きます。


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