47. 始聖
暗くなりゆくレイブンの森の中で、ポツポツと橙色の灯りが姿を現し、エルフの人達が家の中で生活を続けている様子が、いつになく美しいと。
そう感じた。
よく目を凝らせてみると、ワイワイと賑やかな場所もあったり、はたまた無音の所もあったり。
様々な種類の色が、色鮮やかに目の中に映った。
「コンコンっ…」
「どうした」
「ギギィ…。始聖さま、夜分遅くに申し訳ありません…。会わせたい者が居まして…」
「え?始聖さま…?」
始祖さまじゃなくて?どういうこと?
ところで話は変わるが、レイブンの森は”刻聖樹”を中心として、ただただ広い円の型をしている。
オリビア王国とフランディア神聖国と接している半円は、エルフ達が日々生活をしている区域だ。
そして、現在俺がこの人と会っているこの場所は、反対側の半円の部分で、小高い山になっていて、周りがよく見えるような所だ。
「ほう…。その可愛らしい坊やのことかい?」
始聖と呼ばれている青年が、俺を見てニンマリとした顔を向けた。
彼ともどこかで会った様な気がした。
その答えはすぐに理解できた、薄い黄色、鳥の子色と言ったっけ?。兎に角とても綺麗な金髪、それに…。
「瞳が似ている…」
始聖と呼ばれている美青年が、少し驚いたように見えた。
見開かれた目を再び観察してみたが、やはりエリアと同じ綺麗な瞳を持っているなぁ、とオリバーは感じていた。
紺青眼と言ったっけ?とても珍しい眼だったような気がする。
「坊や何か言ったかい?」
「あっ、いえ。綺麗な眼をお持ちだなぁと思いまして」
「そうかい、ありがとう」
にこりとした笑みもなおのこと美しい。
世界中の美少年を集めて、大会を行ったら満場一致で彼にグランプリが与えられるだろう。
「それで、何か用事があったのではないか?」
「はい、実は始祖さまにお話をお伺いしたかったのですが…。例の場所ですか…?」
「そうだね、例の場所にいるよ…。まだ、傷が完治していないからね…」
「そうですか…」
俺をここへ連れてきた衛兵は、困った様子を浮かべ、俺にどうするかという目を向けてきた。
「坊や。僕が答えられる事なら、なんでも聞いてごらん」
「いいんですか?…」
「子供に遠慮は似合わないよ。そこに座って!」
そういうと、木製の妖精の羽らしき装飾が施された、素晴らしい一品を指差してきた。
俺がこんな綺麗な椅子に座って壊してしまったら…。なんてことを考え、モジモジしている姿を見て、始聖は強引に俺をその綺麗な椅子へ座らせた。
「葉湯でいいかい?」と俺に聞くと、ハーブ茶らしき物を、これまた綺麗なカップに注がれた状態で手渡された。
「ほら…。それで、何が知りたいのさ」
「実は…」
俺は”闇堕ちの呪い”に関する、”髑髏の蛆”の件も含め、事細かに始聖にあった事を説明をした。
始聖は俺の話を淡々と聞いてくれ、所々説明を求められるところもあったが、話を最後まで一通り話し終えた。
「なるほど…。それでここへ来たんだね。
確かに、この件に関しては僕じゃ頼りないかもしれない…」
「何か特別な理由があるのですか?」
聖王は”闇堕ちの呪い”の話をした時、必死に何かを隠そうとしていた。
「僕が知る限りでは、今の聖王のお母さんの妹さん。
つまり彼のおばさんが、”闇堕ちの呪い”にかかってしまったことぐらいかな…」
「…なるほど、だから彼は”我々も試したが”、と言ったんですね?」
「そうだろうね、そしてこの解呪に携わったのが、始祖さま、つまり僕のお母さんの方になるんだ」
そう言うことか、だからこの衛兵は始祖さまに、話を聞こうとしたわけだな。
「あの…、話は変わるんですが、『始祖』と『始聖』って何が違うんですか?」
「そうだねーうーんと、まず『始聖』つまり、僕はこのエルフの里の、一番初めの聖王っていう意味さ!
君らのオリビア王国の、初代国王と同じ意味かな!」
「え?!、でも…」
「うんうんっ。分かるよ〜その反応!その顔を見るのが、僕は好きなんだぁ〜」
「俺も初めて始聖さまと会った時はそんな反応してたな笑」
衛兵さんも俺と同じ反応をしたのか!そりゃそうだ、余りにも若すぎる!
長寿で知られているエルフ族で、そのエルフの中でも最初の聖王と言うことは、何千年と月日が経っているはずだ!
なのに、見た目が20歳ぐらいにしか見えない…。
『解析』!!
「おっ!坊やは、解析持ちなのか!」
「え、あっはい…」
「それでどうだった!!」
始聖は食い気味に俺に聞いてきた。身を乗り出して。
そんなに気になる事か?ステータスボードがあれば、解析を持っていなくても自分で見れるはずだ。
「それなんですが…”#$%”みたいな文字列が並んでて、うまく読めませんでした…」
彼は明らかに落胆したのがわかった。
「あの…すみません…」
「いや、いいんだ…。
実は、誰も僕のステータスを見た人は居ないんだ。この僕でさえね…。
”闇堕ちの呪い”を解呪できたと言う、君なら見れると思ったんだけどね…」
そう言うと、少しばかりその場に沈黙が漂った。
細かい設定を見返すのが、大変になってきたこの辺り…。
色々、変わってしまった可能性もあるので、見つけた方はご指摘いただけると嬉しいです…。
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