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創造神の異世界転生  作者: G/I/N
第4章 レイブンの森
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45. トール=デストリウス

 

「かつては、王族だったのだ」


 生前、父上にはこう言い聞かされて育った。この洞窟の中で。


 元々私は、父上と二人で必死に生活をしていた。街に行く事さえ、禁じられた生活だ。


 幼いながらも、父上に少しでも喜んで欲しくて、狩をしたり、武術を鍛えたり、日常生活のありとあらゆる事をしたりした。


 しかし、言っても子供。時折、とても惨めに感じたり、母上に会いたくて、遠出を試したりすることもあった。



「父上、何故なのですか?」


 何故惨めな思いをしないといけないのか、何故母上とは会えないのか。そう尋ねたこともある。


 その時、父は何度となく口を噤んだ。


 結局、その謎だけは父上の口から、話されることはなかった。



 ヒントはあったのだと思う。未だ、真実にはたどり着けてはいないが、確かにそれはあったのだと、確信を覚えている。



「ディト。昔話をしようか、おとぎの世界の話だ。」


 父上から愛称として、「ディト」と呼ばれていた事を思い出す。


 どのように、この愛称が生まれたかは定かではないが、私は妙にその呼び名に、愛着を覚えていた。


 寝るときは父上が隣に座って、昔話を毎晩聞かされてたものだ。話はどうだったか、曖昧ではっきりとは記憶にないが、二人のエルフの話だったような気もする。


 曖昧なのは、半分あたりで、毎回寝てしまっていたからだ。



「妹のエルフは、逃げるように森から居なくなりました。彼女の行方を知ることになったのは…」


 だいたいこの辺りだろう。話を覚えているのは…。



 父上はとても優しい人だった。少なくとも、私からはそう見えた。


 ただ、時折見え隠れする。黒い部分。怒りや憎しみの部分。そのときは、私も身震いするほどだった。



 私が15の時。


「父上…。何故なのですか?」


 何故怒りや憎しみを現されるのですか?


 そう聞いたことがある。父上は、再び口を噤んだ。



 きっと、父上が王族だったことに関係している。子供ながらに、そう直感した。


 きっと、寝る前に聞かされた、物語に関係している。妙に現実的だった、あの物語が。




 私が17の時。




 父上は死んだ。





 私は、父上の手をぎゅっと握りしめ、泣くまい。泣くまいと堪えていた。


「ディト、すまない」


 そうはっきりと、父上は口にした。


 父上がしてきたことは、風の噂で耳に入っていた。だが、


 だが、父上はそんな事をするような男ではない。あり得ない、きっと何かがあったのだ。


 衝撃的な事実や、裏切り、理不尽な仕打ちが。きっと、何かがあったのだ。



 父上の死に逝く顔を見ていると、ふらりふらりと黒い妖気が立ち昇るのが見えた。


 その妖気が、気づいたら狒々のような姿を、形作っていた。


『童、理由を知りたいか?』

「お前は誰だ…」

『俺か、俺はお前だ』

「…幻覚か」


『すこし違う、俺は悪魔であり妖怪でもある、邪神とも呼ばれる存在だ』

「悪魔…、お前が父上を殺したのか?」

『それも違う、お前の親父が俺を呼んだのだ』

「父上が…」



 黒く漂う狒々は、ニヤリ...と嫌な笑みを浮かべた。


 まるで、良い餌が喰いついたと言わんばかりのにやけ顔、そしてジュルリと聞こえんばかりの口をしている。



『童、答えに俺が導いてやろう』

「…」

『お前の謎は、必ず解き明かされるだろう』

「悪魔を信用するなど、私にはできない」


『親父は俺のことを信用していたぞ』

「…」

『親父の無念を、お前は晴らさなくてよいのか?』

「わかった、だが裏切ったら承知しないぞ」



 此奴は、私の怒りから生まれた幻術なのか。それとも、私の悲しみからか。


『キキキッ』と甲高い、猿の笑い声を鳴いている、此奴は信用に足るのか。


 いや、父上も居なくなった私には、此奴に頼る他無い。


 謎は私が見つけるのだ。何故、父上が口を噤んだのか。


 必ず、必ず見つけなければならない。



 亡骸と、狒々と、私…。










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