44. 首刎ね
「お父上!!」
「…カ、カーラなのか?…」
「はい…。お父上、ごめんなさい…こんな姿になってしまって…」
光輝燦爛とした、大きな門の前で待ち構えていた、エルフの父親が、先ほどまで鬼の形相でこちらを睨んでいたのだが、娘の姿を確認し一瞬顔がほぐれ、その後またすぐ、険しい表情へと戻った。
やっぱり怒るよなぁ…。信用していた人や国に裏切られ、最愛の娘にまで手を出されたら、俺だったらわれを忘れるかもなぁ…。
ん…。姫様のお父さん。つまり、エルフ聖王が、ゆっくりと近づいてくる。怖い…。恐れとはこう言う感情なのか…。
「小僧…。お前は、娘を助けてくれたようだな。それに関しては礼を言う」
「…」
「だが、今すぐここから立ち去った方がいい。俺の怒りがお前にも、及ぶかもしれぬ」
「…いえ、俺はオリビア王国から要請を受けて、救助に向かった者です。件の事件を、謝罪しに参りました」
俺は、何か失言をしてしまったようだ。彼の顔がさらに、さらに暗く怒った表情になった。
「ふむ、オリビア王国は我々を、相当舐めているようだな。こんな小僧を寄越すなど、愚の骨頂ではないか」
「…」
しまった、この作戦はあくまでも極秘任務。そう取られても仕方がない。
「お前、ここに来たと言うことは、死ぬ覚悟は出来ているよな?」
「お父上!この人は…」
「カーラ、お前は黙っていろ。これは、国と国の問題。お前にはまだ荷が重い話題だ」
「でも…」
「大丈夫です、姫様。覚悟はもちろんしていました。」
エルフの姫、カーラは不安げな顔を始終浮かべている。
仕方がない、これはオリビア王国の失態だ。誰かが被る他あり得ない。
「ふん、子供にしては立派な考えを持っているではないか。だが、許すわけにはいかぬ」
「はい…。ひとつ」
「ひとつ、なんだ…?」
「ひとつ、姫様の身に起きていることの、情報だけはお伝えさせてください」
「…。また我々を騙そうとしておるのではないな」
「いえ、そんなことは決してありません。決してです」
「ふん、良かろう。おい、衛兵!」
「なんでしょうか!」
「こいつを奥まで連れて行け。小僧、そこで話を聞こうではないか」
そう言い残して、彼は颯爽と里の中へと歩いていった。
**********
エルフ聖王の住まいだ。王の家と言っても、小ぢんまりとしており、生活感にあふれている。
大体6LDKぐらいの広さだろうか、小高い丘に建っており、周囲に比べたら高貴な印象を受ける程度だ。
「それで、情報とはなんだ」
長方形の机のはじとはじに、お互い面と向かうように座らされた。
未だ、聖王は鬼のような表情だ。
「はい…。まず、オリビア王国の者が今回の事件を引き起こしてしまい、大変申し訳ありませんでした」
「よい、それよりもお前、時間を引き延ばそうとしているのではないな?」
「いえ、そんなことはありません。」
「話を続けろ」
それから俺は、トール=デストリウスのことや、アジトでのこと、国王陛下に命じられた内容などを話していった。
「そこで、姫様が黒く染まってしまった原因を見つけました」
「ほう…。その原因はなんだ」
「青く巨大な宝石、名前はルーン=クリスタルというものが、原因だと思われます」
「なっ…なんだと!」
聖王の表情が急に一変した。
なんだ?まるで知っているかのような反応だな。
気になるけど、何か心当たりが有るのだろう。明らかに動揺している顔つきだ。
「続けろ…」
「はい、ルーン=クリスタルを私のスキル『解析』で調べてみたところ、このようにわかりました」
そう言って、魔法袋から小型の黒板とチョークを取り出した。
「なんだ…それは…」
「ああ、これはですね。この黒板という板に、チョークという道具を使って、何度も文字書けるようにした道具です」
「はぁ…。よく分からんが、ルーン=クリスタルとやらの情報を書くんだな?」
「はい。ただいま、お見せ致します…」
先ほど、エルフの姫、カーラに見せた内容をそのまま書いて、聖王の元へ渡して見せた。
「…」
「この『闇属性付与』という効果が、姫様に影響していると思われます」
「ほう、その根拠はなんだ」
「はい。失礼ながら救出の際、姫様を『解析』させていただきました」
聖王から黒板を一度受け取り、文字を消した後、エルフの姫のステータス状態を記した。
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名前: カーラ=レイブン
種族: エルフ族
レベル: 40
職業: 王姫
HP: 314 / 314
MP: 812 / 812
腕力: 20
魔力: 1,024
防御: 104
魔防: 479
幸運: B
スキル: 草茅姫
状態: 闇堕ちの呪い
=============
草茅姫 : 草木と心を通わせ、自在に操ることができる。また、草木から魔力を回復することができる。
「…カーラのステータスがどうしたというのだ」
「この『闇堕ちの呪い』を見て欲しいのですが、"呪い"と表示されてありました」
「…"呪い"、つまり解呪が可能と言いたいのか?」
「はい…。これを見たとき、姫様に解呪の魔法をかけました」
「…それで?」
「一瞬ですが、解呪ができました…」
聖王が、勢いよく「バッ」と椅子から立ち上がった。
「小僧、戯けたことを抜かすなよ!我々も試したが、そんなことはなかった!」
「本当です。姫様にお聞きしても分かりますが、一度お見せした方が早いでしょう。
姫様をお連れして頂けたら、目の前で実演致します」
「ふざけるな!お前、さっきから…」
取り乱すのも不思議ではない。次から次へと本当かも分からない情報を、7歳にも満たない子供が、べちゃくちゃと喋るのだ。
信用しろと言われても、無理があるよな…。
そして、話し方を見て分かったが、これを認めてしまったら、何か支障をきたす物があるらしい。
「もうよい…。お前の言うことは聞き飽きた」
「待ってください!本当なんです!」
「ええい!これ以上は話無駄だ、衛兵!」
「はい、お呼びでしょうか!」
「今すぐ、こいつを打ち首にして、オリビア王国に送れ!」
「…子供ですが、よろしいのですか…?」
「口答えするな!さっさとやれ、ここでだ!」
「…仰せのままに…」
やばいやばい、いざとなれば逃げることは出来るが、五体満足で帰れる予感がしない。
それほど、この聖王からは強者のオーラを感じる。もしかしたら、俺よりも強いかもしれない。
そう考えている間にも、命令を聞いた衛兵が、一歩。また一歩近づいてきた。
「コツ、コツ」と歩きながら、腰に下げた細長い、エストック型の剣をシャッと引き抜いた。
本当に、まずい。どうすればいい。逃げるにしても、退路がわからない。
俺もあの『ダークワープ』とやらが使えたら、どんなに楽か…。混乱して、体に全く力が入らず、動けなくなってしまった。
「打ち首御免…」
「…」
そう言って、俺の首へ剣を添えた。
死ぬ、と思った。
その時…。
『シャン…。シャン…。』
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