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創造神の異世界転生  作者: G/I/N
第3章 仲間とともに
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41. アジト@5

 

 オリバーは今、中にいた憔悴しきった人質のエルフたちを、倉庫の方に連れていっていた。


 そんな時。


「あ…あの…」


 先ほど、倉庫に隠れてもらっていたエルフが、体力が少し回復したのか、ヨチヨチとこちらへ歩いてきて、話しかけてきた。


「ん?どうしました?」

「あ…あの。姫さまが…見当たらないのですが…」

「ん…姫さま…?」

「はい…、私より先に奥へと連れて行かれたのですが…」

「えっ!?」


 なんだと!エルフの姫をも連れ去っていたのか!これはもう、向こう側が知らないで済むという線は無くなったな…。


 そんなことよりも、一刻も早く助けに行かないと!


 どんどん露わになってくるハプニングに、オリバーの頭は悩みの種だらけになってしまった。


 これ以上のハプニングが起こっても、慣れてしまっているため驚きはしないだろう。


 オリバーはそれから、例の隠された通路の先へと急いだ。



 **********



 全速力で助けに向かっているオリバーは、現在、壁に偽装された場所を見つめている。


 再び足元には、微量の魔力を含んだ、霧が漂っている。


 その霧を使って、この壁はできている。技術に関しては、いつ見ても関心に値すると思う。



「ここから先に、エルフのお姫様がいるはすだ…」


 助け出したエルフの言葉を信じると、他にも人質がいるようだ。


 しかも、未だトール=デストリウスという名の敵と出会っていない。


 敵を土の檻へ入れている際、一人ずつ"解析"のスキルで調べていったが、このアジト『髑髏の蛆』の頭である、トール=デストリウスの名前は見つからなかった。


 情報によると、彼はとても頭が良いらしい。彼が何を考えているのか、そして今から何が待ち受けているのか。


 おそらく、この先で待ち構えていることであろう。少し慎重に行く必要があるみたいだ。


「フォン…」と音を立てながら、オリバーはゆっくりと先へ進んだ。



 しばらく暗く長い廊下を進んだ。その際だんだんと異様な雰囲気に飲まれていく。


 何が異様なのかと問われるならば、先へ先へ進むにつれて、二日酔いのような頭痛と、前が強く歪んで見えてくる。


 浮遊感もあるだろうか、兎に角、本能的に「ヤバイ」と感じるのだ。



「この先へ行った敵が言っていた、"ルーンクリスタル"とやらが関係しているのかな…」


 軽く冷や汗を垂らしながら、オリバーは頭痛によるものか、しかめっ面でそう呟いた。


 そんな事ををボヤきながら、またしばらく頭痛やめまいと共に、早足で進む。



 すると、黒い巨大な鋼鉄でできた、両開きの扉の前へとたどり着いた。


「この扉もきっと重いだろうなあ…」


 そう思いながら、この先へ進む前に、心身共に整え、軽く押してみたら…。


「ギィイイ…」とすんなりと動いた。確かに、重そうな荷物を持っていたら、重厚な扉なんて開けることは困難だろう。


 この場所へ、倉庫から重そうな荷物を運んでいた事を思い出した。




 そして…。扉を開けた先…。



 そこには…。





 そこには、黒く染まった…エルフがいた…。





 〜=〜=〜=〜=〜=〜




「こ…ここは…どこじゃ…?」


 目を開けると、白と黒が反転しているかのような錯覚に陥った。


「ウッ」と激しい頭痛に襲われて、頭を抱えようとするが、手足が壁に縛られており身動きが取れない。


 自慢だった髪はくしゃくしゃにされ、着ぐるみはズタズタである。




 それから数分間の時間が流れ、だんだんと頭痛が止み、やっとの事で冷静に考えることができるようになった。


 まず初めに違和感を感じた。白かったはずの肌や髪が黒く染められており、体がやけに軽く感じた。


 それから、前は体が小さかったのだが、今はやけに大きく感じ不思議に思った。


 これは、子供の頃お父上に読んでもらった絵本の内容に似ている、と思った。



「…あの子も、こんな気持ちじゃったか…」


 故郷では有名な、あの物語。子供ながらに聞かされたその話は、ハッピーエンドだとばかり思っていたが…。


 悪役が今ならあんなことをしでかしたのも、理解することができた。


 ただの物語でも、二つの側面から見ると、違ったストーリーになり得る。



 そんな事を考えていた時…。




「ギィイイ…。ギギギィイイイ!!」


 大きな鋼鉄の扉から、小さな子供がひょっこりと顔を出したのだ。


 彼は、キョロキョロと辺りを確認し、私を見つけた。


 すると、目の色が白くなったかのように、驚いた表情を浮かべ、あんぐりと大きな口を開け、唖然としたのだった。



(父上も、ひいお爺様も、彼とおんなじ顔をするのであろうな…)


 そう思うと、さらに心にくるものがあった。誰よりも可愛がってくれた、そんな人達を悲しませる。それがどんなに悲しい事だろうか。




「…やはりお前か」


 ハッと声がした方を向いた。この場には縛られ残された、私しかいないとばかり思っていた。が、違った。


 身の毛もよだつ、()()声が聞こえた。目の前にあった、中で何かが渦巻いている、大きな青黒いクリスタルの影から姿を確認した瞬間、無意識にブルブルと小刻みに震えだす。



「君が頭、トール=デストリウスかい?」

「ああそうだ。ファンデルの息子、オリバー=アウグス、お前の言う通りだ。」

「…」



「イヒヒッ」と不気味な笑い声が聞こえる。奴の後ろにいた、ひょろ長い男が笑い出したのだった。


 少年は、名前を言われた瞬間、体がキュッとしまったように感じた。想定外だったのだろうか。



「オリバーくん。君のことはよーく見させてもらったよ。君の試合もね?…イヒッ」

「…っ!」

「おっとー。ダメだよオリバーくん。君が少しでも動いたら、彼女死んじゃうよ?」


 ひょろ長い男は、私の方を指差しそう言い放った。



「おい、時間がないんだ。その実験体はどうせもいい、早くゆくぞ」

「はい…。お頭…イヒッ」

「簡単に行かせると思うの?…逃げ場はないよ?」


 自信満々に少年はそう言った。



「イヒヒッ…おバカさんだねぇ。裏口に細工をしたのだろうけど、誰が地上をノコノコ逃げる奴がいるんだい?」

「おい、遊ぶのも大概にしろ。時間がないと言っている。」

「すみません、お頭…ついつい、イヒヒッ」

「…」



 そう言われ、ひょろ長い男が、呪文を唱え始めた。


「#$%&…。闇属性魔法『ダークワープ』」


 呪文を唱え終わり、彼の前に全身鏡ほどの闇が生まれた。魔法には詳しいと自負していた私だったが、そんな魔法など、聞いたことがない。


 奴は何も言わず、ただ通り抜けていった。私の方や少年に見向きもせずに。



「じゃあオリバーくん、そのうち会うことになるだろうね。イヒヒッ」

「…させるか!!」


 少年が走り出した。目では追えない速度で。


 …だが、もう少し。手の届きそうな、もう少しのところで、「スゥ…」と言う風に、二人は闇と共に消えていった。


 少年は喪失感とも、倦怠感とも取れるような表情で、膝をついた。


 その時の私の方は、奴がいなくなった安堵感と、身に起こったことに対する、悲愁に襲われた表情を浮かべていたことであろう。









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