35. 宴会
ガヤガヤと騒いでいる。この場所にとっては異常とも言える賑やかさだ。
ある者は大量の食事を作り、ある者は村の飾り付けをしている。
こんなに人が居たのかと思わせる色鮮やかさ。それは、ここぞとばかりに着込んだ主婦の洋服であったり、村で取れた様々な種類の木の実や草花であったり。
自分と同じくらいの子供たちは、飾り付けを手伝う子もいれば、走り回って駆けっこをする子と性格が一目でわかる。
俺はと言うと、持ってきたお土産、ブラックベアの解体をじっと眺めていた。
村の守り人で、狩人の職業を持っているブギンズが、せっせと解体を進めていた。
まずは、5、6mは越すだろう魔物の、大きな毛皮を剥ぎ取る。
次に、メインの肉を部位によって大胆に分けていく。
そして遂には骨だけになってしまった。
「それにしてもどうやったら、こんなに綺麗に血抜きできるんだ。
俺でさえ少し残るから、水で流しながらやるってんのに...」
「...んー。誰かが魔法で血抜きしてたって言ってた気がするよ。」
「んなわけ無いだろ。そんな魔法存在してたら、大革命だっての。」
「...そ、そうなんだ...。」
あれれ、ポスカトリ言ってること違くない?笑
そんなこと頭の中で思っていると、ゆらゆらと例の薄い、黄金色をした大きな羽が頭に覆いかぶさった。
頭に乗っかっているものを取り去り、例のごとく裏を見てみると...。
( テヘペロ。笑 (><”) )
いやいやいや、テヘペロじゃなくてさ!!!笑
そういうのは、早く言ってくれないと困るよ!!
「おい、坊主。この魔石ももらっていいのか?」
「ん?魔石?」
この星の能天気な創造神の軽いギャグ的なノリを、どうしてやろうかと考えていた時に、ちょうど話しかけられた。
よく覗いてみると、胸あたりの骨の半分辺りの所に、拳大の黒紅色をした魔石があった。
「へえ、すっごい大きいね!」
「俺もこんだけ大きいのは、初顔合わせだな。ほんとデケェよ」
「ブギンズさん、それも含めてお土産だから、みんなで話し合って何かに使ってよ!」
「いいのか、ほんとに」
「うん!独り占めしちゃダメだからね!笑」
「しねーよ!笑」
そんな会話をしている間に、メインのブラックベアの肉は、主婦たちが台所に持ち去って行ったのであった。
**********
「えー、それでは、準備が出来たところで、村長のワシが乾杯の音頭をとらせて貰うのじゃ。」
俺は、村の名物であるベリージュースを片手に、まだかまだかとそわそわしている。
周りを眺めてみると、大人のほとんどが特産のワインを持っている。メインが肉ということで、赤ワインを持っている人が多い。
「みんな、ええかの。」
遂に、宴会が始まる。
「じゃあ、グラスを高々とあげて!乾杯なのじゃ!!」
『かんぱーーーい!!』
村民が皆大声をあげて、その場が動いたような感覚に陥った。
しばらくの間、それぞれが、それぞれの楽しみ方で楽しんでいた。
「そういえば、坊主。今夜だけ泊まりたい、っつてたが明日からどこ行くつもりなんだ?」
「えっと、今遠出している仲間と一緒に、トゥルンへ向かおうかなって。」
まあ、実際にはもっとややこしいけどね。
「あの街か...」
「どうかした?」
「あそこはやめとけ、獣臭くて敵わん。」
獣臭い??
ああ...この世界でも、人種差別が横行しているのか...。
地球でも横行してたな、KKKとかあれはやばかったな。
人種差別は神からしてみれば、哀れでしかなかった。
アルファベットに例えよう、人族をa、獣人族をb、とする。
そしたら、人種差別はというと、
a(人族)「よう!b!お前は無能だな!」
b(獣人族)「なんだよa。」
a(人族)「だって、bって俺様aより全然使われないじゃ無いか!」
b(獣人族)「だからなんだ。なんなんだよお前は。」
a(人族)「俺様は一人でも十分力を持ってるんだぜ?"like a"みたいにな!」
a(人族)「それに比べてお前はどうなんだ?b、お前なんて消えて無くなっても変わんねーよ!」
こういうのと同じである。
他人を理解することが出来ない、哀れな者がすることである。
神であった時は、ちょうど創造のブレークタイム、使えない期間中であったために、人種差別が根源の戦争が起こっている間何も出来ず、悔しい思いをしていたことを覚えている。
人種の壁を取り払おうとした、シク教徒を迫害された時には、何も出来ない自分に怒りが湧いた。それがたとえ自分を崇めていなくとも。
「...ブギンズさん、ダメだよそれは。」
「あ?何がだよ」
(......トントン。)
「...!?」
あまりに声が大きかったのか、みんなこっちを見ている。そして、村長が優しく俺の肩を叩いてきた。
「ちょっとこっちにおいで。」と言われ、「俺なんか間違った事言ったかな?」と感じていた。
村長に連れられお茶の間に入った、俺はブギンズの過去について、悲しい話をされた。
その話を聞いた俺は、なんとも言えない気持ちになったのであった。
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