31. 旅路
フィアとゼロノが、事が終わったのを見計らって、馬車と一緒に駆けつけてきた。
「オリバー・・すごかった・・。」
「オリバーさん、本当に6歳ですかい??」
どうやらゼロノさんは、俺の決闘大会の試合を見ていないようで、フィアは一度経験しているからか納得しているご様子だ。
「なんだよ、バケモノ扱いじゃん!笑」
「6歳とは、とても思えませんぜ...。」
結構手を抜いてるつもりだったのだが、周りの人からはバケモノに見えるんだなぁ...。
静かに頷いたオリバーは、猫耳の少女たちへと目を向けた。
幼い方は盗賊はすべて倒されて、今は安全なはずなのだが、相当怖かったのか未だに俺の体に強くしがみついている
「それで、君たちはこれからどうするの?」
俺はこれから、アジトの探索に行くので、二人の獣人の少女たちはついてくるか、家に自力で帰るかの二択になる。
ただ、アジトはとてつもなく危険だと想定するほか無い為、ついてくると言っても近くの村にフィアと一緒にいてもらうしかない。
「まずは、自己紹介からさせてください!」
「それもそうですね」
「それでは私から・・」
白い猫耳がピンっと立っている15、6歳にみえる方の女の子が話し始めた。
「私の名前は、リナ=ハードウェル。この子の姉で、霊泉の街トゥルンに一緒に住んでいます」
「霊泉の街??」
「はい!最近造られた温泉が有名になって栄えている街です!」
「お、温泉!?...温泉があるのかい??!!」
「とっても気持ちいいんですよ〜、効能がすごくて...よかったら来ますか??」
「行きたい!!」
温泉がこの世界にも存在しているとは思ってもみなかった!
地球の創造神だった時、人間たちが温泉で癒されている姿を何世紀もみてきた。
地球にいる時世紀ごとにまとめた、ワシが地上で行きたいリストでも常にトップ3には入っていたことを思い出した。
「これは行くしかないでしょ...」
「...すごい顔してる...なんか怖い...」
フィアが俺の顔を見て引いてしまっている。
俺今そんなひどい顔してたのか...気をつけよう...
「お兄ちゃん!私はね、テラっていうんだにゃ」
「お兄ちゃんって...俺今まだ6歳だよ??」
黒い猫耳がヒョコっと跳ねた。どうやらびっくりしているようだ。
「え、でも6歳には見えないにゃ??」
「...まだ6歳なんですか??」
「...うん」
確かに6歳にしては背が高い方ではある。でも未だ子供の範疇に過ぎないレベルの背丈だ。
「でも、テラはまだ5歳だから"お兄ちゃん"で大丈夫にゃ!」
目をキラキラさせながら、尻尾をヒュンヒュンと遊ばせている。
もうお兄ちゃんでいいか...笑
その後、俺たち3人の自己紹介も済ませ、気になっていることを聞いた。
「ふと思ったんですが、テラは語尾がすごく猫らしいんですけど、リナさんは普通ですよね?」
「ああ、それはですね、仕事をしている間に普通になって行ったんです」
「へえ...仕事で方言が治るようなものですね」
「そうかもしれません笑」
リナは右手の甲をさすりながらそう言った。
「話は戻るんですけど、これから俺たちは用事があってニッケル村に向かうところなんですけど、この後二人はどうしますか?」
「えっと...私たちここまで逃げてきて、帰り道がわからないんです...」
「そうですか...」
オリバーは右手を顎に寄せて深く考えた。
このままニッケル村に連れて行ってもいいんだけど、早くトゥルンに帰してあげないと、周りの人が心配するし、仕事もあるだろうからなぁ...
「...!?」
オリバーは名案を思いついた様子で、パッと目を見開いた。
「オリバーさんどうかしましたか...?」
「...んと、ゼロノさんここからトゥルンまでの道はわかりますか?」
「はい、多分ここから北東に進むとトゥルンまでの大通りに出ると思いますよ...」
ゼロノは、なんでそんなことを聞くのかと疑問に思いながらも、そう答えた。
「...ここからニッケル村へは道なりでいいですか?」
「...はい」
「ゼロノさん...このまま二人とフィアを乗せてトゥルンまで乗せて行ってくれませんか??」
「え...でも...」
オリバーはこの前作成したばかりの黄色の玉を無限魔法袋から取り出した。
「えーと、フィアは魔法使えるよね?」
「......当たり前。」
「じゃあ、この玉に魔力通してもらえるかな?」
「...わかった。」
フィアは手渡された黄色の玉にスゥ...っと魔力を通した。
......パッ...。
光に包まれた何かは、姿を現していく...。
そこには、黄金に輝いた毛皮で、鋭い眼光を持った虎が佇んでいた。
遅くなって申し訳ありません...。
書き方も変えて行きますので、徐々に前の投稿も直していきます!
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