外04. エリアと祭
熱湯に浸かっているような暑さ。
水を得た魚のように活気を得て、いつもは静かな雰囲気の人でも今日は羽目を外している。
そう、今日は年に一度の大きな祭の日。
俺は、4歳になって初めての "緑祈祭" だ。
「お父様、あれなんですか??」
「ん、あれは糸を引いて商品を当てるってやつだ。やるか?」
「はい!やりたいです!」
『糸引屋』に着くと、見知った顔の少女がいた。エリアだ。
「あっ!エリア、来てたんだ!」
「こんにちは、オリバー様!お久しぶりですね。」
「そうだね!俺のことは呼び捨てでいいよ。俺の方が地位低いんだし。笑」
「・・・恥ずかしいです・・///。」
エリアはまだ、恥ずかしがり屋な性格は直っていないようだ。
「はいはい、坊や達!次は君たちの番だよ!」
この糸引屋は、たくさんの色の、たくさんの糸が垂れ下がっており、二人ずつ引いていくようだ。
商品も豪華らしいと後ろの人が言っており、現にこの店は特に繁盛している。
「よし、これに決めた!」
「私も決めましたわ!」
「「 せーの! 」」
二人とも勢いよく糸を引いた。すると・・・。
「・・・?!」
「えっ・・・!?」
赤い糸が、お互い繋がっていた。
「おおおお!これは初めて見たよ!」
「どういうことですか?」
「それはね坊や、君の商品はこの嬢ちゃんで、嬢ちゃんの商品はこの坊やってことになるねぇ。」
「!?っ」
「・・・///」
ニヤケ顔で店主が言ってきた。周りの人もニコニコしている。
「そんな二人に私からのプレゼントだよ。」
ほれっ。と渡してきたのは二つのペアリングだった。
「それは、指の太さによって大きさが変わる、一生物の指輪さ。大切にしなよー。」
「ありがとうございます。」
「ありがとう・・・///」
エリアはまだ恥かしがっているようだ。かわいい。
俺はニコッと笑い、行こうか。と声をかけながら、エリアの手を握った。
コクっと頷いて、とっとっと。と後ろをついてくる。
エリアの付き添いの人もニヤニヤしながら後ろをついてきた。
「おお、オリバーおかえり。」
「ただいま!」
「ん?エリア姫も一緒にいたのか。こんにちは、エリア姫。」
「こんにちは、ファンデル様。」
「で、商品は良いのがもらえたのか??」
「はい、お父様。一生物を手に入れました!ね?エリア。」
「・・・はい・///。」
何か察したのか、父はニヤッとした顔をした。
「そうか、それは良かったな、オリバーもエリア姫も!」
エリアの頬が 生きた宝石" と呼ばれる錦鯉のように、さらに赤く染まった。
「二人でデートでもしてきたらどうだ?」
「いざとなれば、私達が後ろから手助けしますので、安心してください。」
付き添いの人も乗り気のようだ。
それから、俺たちはデートすることになった。
色々な屋台を回ったり、椅子に座って、今までの話をしたりして楽しく過ごした。
そうして、ファンデルと待ち合わせしていた所へ戻ろうとした時、いかにも悪者という感じの厳つい人達が目の前に現れた。
「坊や達、こっちきて俺たちと遊ぼうぜ。お菓子もあるぞ??ニヒッ」
「嫌です。」
「ああ?お前達は売り飛ばされるんだから、拒否権はねーっつうの。」
「・・ふぅ」
キレそな感情に『ストップ』と頭の中で呟き、冷静さを取り戻した。
怒った時や、冷静さを欠けていると感じた時は、頭の中や、口に出して『ストップ』と大声で言うと良い。
不思議と冷静さを取り戻す。
「クソガキこっちへ来いっ。」
そう言って俺の右手の二の腕を握ろうとした時。
・・?!っ
俺は反射的に、相手の手首を返し、左手で相手の肘を抑え込み、足をかけ倒し、厳ついお兄さんの右手を捻りあげた。
他の人が襲って来そうだったので、そのまま腕を折り、襲って来た方と対峙した。
2、3分もかからずに全員綺麗に倒しきり、事は終結した。
「エリア、怖い思いをさせてしまったね。」
「いいえ!オリバー・・///・・なら勝てると思っていました!」
優しく頭を撫でてあげると、安心したのか元の笑顔が戻って来た。
二人はその後、手を繋いで帰路へついた。
エリアも可愛いですね!ようやくハーレムの用意が整ったようです!
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