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創造神の異世界転生  作者: G/I/N
第2章 成長期
22/56

21. 獅子王

 

 ある神々のお話。


 あるところに一人のお美しい女神がおわせられた。その女神は明るく、恵みの神として生まれ、大地はもちろんのこと周りの神からも(した)われていた。

 彼女の名前はアルファ。


 あるところに一人の(みにく)い男の神がおわせられた。彼は冥界(めいかい)の下っ端として生まれ、毎日他の神から馬鹿にされていた。そんな彼も、一人の女神に恋をしていた。

 彼の名前はプサイ。


 あるところに一人の鍛えた体が綺麗な青年の神がおわせられた。彼は毎日まじめに仕事をし、それがどんなに嫌なことでも(まっと)うした。そして彼は、ある女神から恋をされていた。

 彼の名前はシータ。


 あるところに一人の豊満(ほうまん)な体を持った女神がおわせられた。彼女は綺麗なものに目がなく、どんな手を使ってでも手に入れる強欲な神だった。

 彼女の名前はウプシロン。




 アルファはある日いじめの現場に出会った。絶対的な力を持つ神オメガが、絶対的敗者のプサイを殴り蹴り罵倒(ばとう)を浴びせていた。


 心が痛んだアルファは、仲介に入りそれを止めた。傷だらけのプサイを見たアルファは、彼に優しく接するように決め、その日から友達になった。



 いじめの姿を片思いの人に見られ恥ずかしながらも、友達になれたことを嬉しがったプサイは、心の澄んだ彼女に、さらに恋を深めていった。


 しかしある日、彼は見てしまった。アルファがシータという好青年の働く姿を、遠目に眺めて頬を染めている姿を。彼は憤怒(ふんど)した。



 シータはいつものようにせっせと働いていた。そこに、鍛治がうまい友人のラムダが、シータの甘い噂を持ってきて、話してやった。


 前から話してみたいと思っていた相手に好意があると知った彼は、後日話しかけようと思い立った。そしてシータとアルファは繋がった。



 ウプシロンは冥界の大王ゼータのある物が、欲しくて欲しくて堪らなくなり、ゼータと一夜を過ごしていた。そしてその物を盗み逃げていた。


 その行動を見ていたプサイに口止めとして、魅了の限りを尽くしていた。ある夜プサイに恋方が居ると話を聞き、その話の中に出てきたシータという青年に、興味が湧いた。




 アルファは果報(かほう)な男と出会い幸せだった。家へ帰ると一通の(ふみ)が置いてあった。そこにはシータからある場所へ来いというものだった。


 彼女はそこへ行き洞窟を見つけた。そこにいると思い中へ入るが、彼の姿はない。突然、唯一の通り穴を大きな岩でふさがれていた。



 シータは彼女の家へ入ったが、彼女の姿はなく一通の(ふみ)がそこにあった。これは、何かあったと思い、用心(ようじん)のためラムダの元へ行った。


 話しを聞いたラムダは、最高の刀を彼に与えた。その刀を受け取ったシータは、すぐさま文に書かれてある場所へ向かった。



 プサイはウプシロンと計画を立てていた。まず、プサイが恋方のアルファをおびき寄せ閉じ込める。そしてウプシロンはシータを魅了し手に入れる。


 計画は完璧だと自負していた。冥界で過ごしてきた中で、今が彼にとっての絶頂期であり、これからもずっとそうだ、と自覚した。



 ウプシロンはプサイの計画を聞き、乗った。興味を持った物は必ず手に入れる。遺憾(いかん)とするならば、()()()()()()()物が悪いのだと。


 ウプシロンは冥界の者たちを魅了して配下につけた。大王さえも手に入れ、計画は完璧だと自負していた。これからもずっとそうだ、と自覚した。



 ----------------



 刀を手に入れたシータは、目的地のある冥界へ脚を踏み入れた。そこにあったのはただただ広がる苦痛。彼は思わず息を飲んだ。


 そのまま進むと敵が現れた。如何(いか)なる者も通さんとする相手に、何がなんでも辿り着きたいシータは、横薙ぎ一線し斬り伏せた。彼は初めて殺めたことに落胆した。


 その後も四、五人の敵が現れ、敵が振り下ろす剣を燕返(つばめがえ)しではたき落とし、胴を真っ二つにする。そのまま相手に突きを食らわせ、首を(つらぬ)いてはねた。


 ()()の如く突き進み、刀もそれに答えた。背を向けて逃げんとする敵をも、慈悲(じひ)を持たず背中から切り落とす。黒い血が舞い散り、彼の顔や体を染めていく。


 神の中でも、魔神の如く強い力と般若(はんにゃ)形相(ぎょうそう)を持った彼に、敵はいつしか訪れなくなる。そうして彼はようやく目的の場へ辿りついた。





 大きな岩をどかし中へと脚を踏み入れると、そこには、目の見開いたまま動かなくなったアルファがいた。


 彼は泣いた。怒りも哀しみも通り過ぎ、ただただ泣いた。


 動かなくなった最愛の人を胸に抱き、目を凝らす。と、そこには笑った顔の女が眺めていた。


 そいつは自慢の胸を見せつけ、その女よりも私を抱かないかとまで言ってきた。


 怒りのあまり首を絞めながら壁へ。そして問うた。これをやったのはお前かと。


 だが、そいつは怯えた目で、私ではない。プサイという男がやったのだと言った。


 そいつは犯人ではないと言ったが、嘲笑(あざわら)った罪で殺した。腹を一突き。二突き。三突きと死ぬまで貫いた。


 ようやく動かなくなった頃、当の本人がおいでました。洞窟の中へ涙目ながら入ってきたそいつに問うた。


 お前がやったのかと。そうしたら彼はこう言った。彼女が悪いのだと。


 これだけ思いを寄せているのに、俺のものにならない彼女がいけないのだと。


 もはや、なにも言わなかった。言えなかった。


 そのまま近づき、ウプシロンと同じように腹を貫いた。渾身の力を込めて。





 何千回。何万回と突いただろうか。とうに生き絶えた目の前にある宿敵をみて、気がついた。


 彼の姿は真っ黒に染まっていた。冥界の中でも格別の黒さだ。


 彼はその後、最愛のアルファを天界へ持ち帰り、埋めた。


 涙の枯れ果てた彼は、何も言わず刀を抜いた。



 そして腹を割いて、遂には生き絶えた。





 そこに残ったのは、持ち主を失った、


 ただ一つの刀。





 その()()のように、敵を斬り裂いた刀を、残った神はこう呼んだ。




 無銘、『獅子王(ししおう)』と。




悲しいストーリーを書いてみたくて、つい書いてみました。


『無銘』は、持ち主のいない、ひとりぼっちのって意味も込めて書きました。


どうでしたか?感想の方を解放していますのでよろしくお願いします!


そして、面白いと思った方はブックマークや評価、感想などもお待ちしております!

それがわたくし、G/I/Nの楽しみであり、投稿スピードも上がりますので、どうかよろしくお願いいたします!!


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