21. 獅子王
ある神々のお話。
あるところに一人のお美しい女神がおわせられた。その女神は明るく、恵みの神として生まれ、大地はもちろんのこと周りの神からも慕われていた。
彼女の名前はアルファ。
あるところに一人の醜い男の神がおわせられた。彼は冥界の下っ端として生まれ、毎日他の神から馬鹿にされていた。そんな彼も、一人の女神に恋をしていた。
彼の名前はプサイ。
あるところに一人の鍛えた体が綺麗な青年の神がおわせられた。彼は毎日まじめに仕事をし、それがどんなに嫌なことでも全うした。そして彼は、ある女神から恋をされていた。
彼の名前はシータ。
あるところに一人の豊満な体を持った女神がおわせられた。彼女は綺麗なものに目がなく、どんな手を使ってでも手に入れる強欲な神だった。
彼女の名前はウプシロン。
アルファはある日いじめの現場に出会った。絶対的な力を持つ神オメガが、絶対的敗者のプサイを殴り蹴り罵倒を浴びせていた。
心が痛んだアルファは、仲介に入りそれを止めた。傷だらけのプサイを見たアルファは、彼に優しく接するように決め、その日から友達になった。
いじめの姿を片思いの人に見られ恥ずかしながらも、友達になれたことを嬉しがったプサイは、心の澄んだ彼女に、さらに恋を深めていった。
しかしある日、彼は見てしまった。アルファがシータという好青年の働く姿を、遠目に眺めて頬を染めている姿を。彼は憤怒した。
シータはいつものようにせっせと働いていた。そこに、鍛治がうまい友人のラムダが、シータの甘い噂を持ってきて、話してやった。
前から話してみたいと思っていた相手に好意があると知った彼は、後日話しかけようと思い立った。そしてシータとアルファは繋がった。
ウプシロンは冥界の大王ゼータのある物が、欲しくて欲しくて堪らなくなり、ゼータと一夜を過ごしていた。そしてその物を盗み逃げていた。
その行動を見ていたプサイに口止めとして、魅了の限りを尽くしていた。ある夜プサイに恋方が居ると話を聞き、その話の中に出てきたシータという青年に、興味が湧いた。
アルファは果報な男と出会い幸せだった。家へ帰ると一通の文が置いてあった。そこにはシータからある場所へ来いというものだった。
彼女はそこへ行き洞窟を見つけた。そこにいると思い中へ入るが、彼の姿はない。突然、唯一の通り穴を大きな岩でふさがれていた。
シータは彼女の家へ入ったが、彼女の姿はなく一通の文がそこにあった。これは、何かあったと思い、用心のためラムダの元へ行った。
話しを聞いたラムダは、最高の刀を彼に与えた。その刀を受け取ったシータは、すぐさま文に書かれてある場所へ向かった。
プサイはウプシロンと計画を立てていた。まず、プサイが恋方のアルファをおびき寄せ閉じ込める。そしてウプシロンはシータを魅了し手に入れる。
計画は完璧だと自負していた。冥界で過ごしてきた中で、今が彼にとっての絶頂期であり、これからもずっとそうだ、と自覚した。
ウプシロンはプサイの計画を聞き、乗った。興味を持った物は必ず手に入れる。遺憾とするならば、興味を持たせた物が悪いのだと。
ウプシロンは冥界の者たちを魅了して配下につけた。大王さえも手に入れ、計画は完璧だと自負していた。これからもずっとそうだ、と自覚した。
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刀を手に入れたシータは、目的地のある冥界へ脚を踏み入れた。そこにあったのはただただ広がる苦痛。彼は思わず息を飲んだ。
そのまま進むと敵が現れた。如何なる者も通さんとする相手に、何がなんでも辿り着きたいシータは、横薙ぎ一線し斬り伏せた。彼は初めて殺めたことに落胆した。
その後も四、五人の敵が現れ、敵が振り下ろす剣を燕返しではたき落とし、胴を真っ二つにする。そのまま相手に突きを食らわせ、首を貫いてはねた。
獅子の如く突き進み、刀もそれに答えた。背を向けて逃げんとする敵をも、慈悲を持たず背中から切り落とす。黒い血が舞い散り、彼の顔や体を染めていく。
神の中でも、魔神の如く強い力と般若の形相を持った彼に、敵はいつしか訪れなくなる。そうして彼はようやく目的の場へ辿りついた。
大きな岩をどかし中へと脚を踏み入れると、そこには、目の見開いたまま動かなくなったアルファがいた。
彼は泣いた。怒りも哀しみも通り過ぎ、ただただ泣いた。
動かなくなった最愛の人を胸に抱き、目を凝らす。と、そこには笑った顔の女が眺めていた。
そいつは自慢の胸を見せつけ、その女よりも私を抱かないかとまで言ってきた。
怒りのあまり首を絞めながら壁へ。そして問うた。これをやったのはお前かと。
だが、そいつは怯えた目で、私ではない。プサイという男がやったのだと言った。
そいつは犯人ではないと言ったが、嘲笑った罪で殺した。腹を一突き。二突き。三突きと死ぬまで貫いた。
ようやく動かなくなった頃、当の本人がおいでました。洞窟の中へ涙目ながら入ってきたそいつに問うた。
お前がやったのかと。そうしたら彼はこう言った。彼女が悪いのだと。
これだけ思いを寄せているのに、俺のものにならない彼女がいけないのだと。
もはや、なにも言わなかった。言えなかった。
そのまま近づき、ウプシロンと同じように腹を貫いた。渾身の力を込めて。
何千回。何万回と突いただろうか。とうに生き絶えた目の前にある宿敵をみて、気がついた。
彼の姿は真っ黒に染まっていた。冥界の中でも格別の黒さだ。
彼はその後、最愛のアルファを天界へ持ち帰り、埋めた。
涙の枯れ果てた彼は、何も言わず刀を抜いた。
そして腹を割いて、遂には生き絶えた。
そこに残ったのは、持ち主を失った、
ただ一つの刀。
その獅子のように、敵を斬り裂いた刀を、残った神はこう呼んだ。
無銘、『獅子王』と。
悲しいストーリーを書いてみたくて、つい書いてみました。
『無銘』は、持ち主のいない、ひとりぼっちのって意味も込めて書きました。
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