本物
お前にはプライドがないのか、という言葉をよく耳にする。
そんなものが一体何の役に立つというのだ。
プライドとは我慢すること、プライドとは自分に嘘を付くこと。
それの一体どこに自分があるというのだろうか。
簡単に我が東田浩樹宅の部屋を紹介しよう。
小さいアパートの一階、ワンルームで生活に必要な物以外何も無い、以上。
人と交流を嫌う自分の家に尋ねてくる人間がいるとすれば新聞の勧誘くらいだろう。
なのに…。
なのに先ほどから何度もチャイムを鳴らしている馬鹿がいる。
ピピピピピピーンポピピ…
―――――連打しすぎてピンポーンと最後まで鳴れてねぇじゃねーか。
寝ていた自分は頭上に置いてある携帯を取り、時刻を確かめると午前8時と表示されている。
バイト休みの日ぐらいは寝ていたい、がしつこいにもほどがある。
ゾンビのように起き上がりフラフラと歩きながら玄関に向かう。
新聞等の勧誘ならはっきりと言ってやらなくては。
浩樹「…はい」
遥「おはよー」
浩樹「間に合ってます」
用も聞かずに閉める、これぞ諦めさせる必勝法。
遥「んぐぐ、何で閉めようとするのかなぁっ」
浩樹「た…高そうなブーツが痛みますよっ」
本気で閉めようとする自分、本気で足で阻止する女。
最近ずっと付きまとってくる鈴野遥が何故か教えてもいない我が家に訪問してきた。
遥「はい、缶コーヒー」
浩樹「…どうも」
結局こうして自分が折れて、気が付けば彼女はベッドに腰を下ろしてくつろいでいる。
浩樹「朝早くになんですか、という質問の前に」
遥「ん~?」
浩樹「何でウチ知ってるんですか…」
遥「大志君に聞いた」
浩樹「あんの…ボケ」
自分の唯一の友人、坂上大志は最近本当に余計なことをしてくれる。
遥「ねね」
浩樹「…はい?」
遥「合鍵ってまだ早いかな?」
浩樹「付き合ってもいませんよね!俺達!」
実はストーカーの気があるのではないかと思うほど彼女はいろいろとぶっ飛んでいる。
さらさらの黒髪ロングに整いすぎている顔、間違いなく女性誌の表紙に飾れるだろうオシャレな格好。
大学生の彼女はどっかのご令嬢の大金持ち、こっちは家賃三万の喫茶店で働くバイト。
浩樹「で、今日は何の用ですか…?」
遥「え?デートしよ?」
え?アンタ何言ってんの?みたいな表情するな。
人と交流が苦手で基本引きこもり、それがつらいと思ったことなどない、むしろそんな生活が幸せといっても過言ではない。
毎日毎日こうも自分の生活を崩されたまま黙っているわけにもいかない。
浩樹「あのですね、今日は休みなんですよ俺」
遥「…」
浩樹「そして引きこもりで外なんて当然出たくなくて」
遥「…」
浩樹「ま、まだ寝ていたいなーって…」
遥「行くよっ」
浩樹「あ、はいっ!」
たった三文字で敗北した引きこもりだった。
鬱陶しいくらいの人ごみ。
さすがは休日のショッピングモール、目的もなしに歩いている若者達が多い。
――――酔いそうだ。
「やべぇあの子超カワイイ」
「え、モデル?」
「足ながっ」
自分がマスターしているステルス能力は隣で嬉しそうに歩く女のせいで全く効果を発揮できていない。
最初に遥を見て驚いて、その後に横でダルそうに歩く自分に視線を向け、
え?みたいな表情される、コメントすらできないくらいミスマッチらしい。
遥「あ、浩樹、ちょっと服見ていい?」
浩樹「…どうぞ」
早足で中に入る遥、さすがは金持ちのお嬢様、服の選び方が尋常じゃないくらい早い。
入店して2,3分で一式手にとって試着室に入る。
遥に目を付けた男女問わずの両方が彼女の試着完了を待っていた。
なにこれ、パリコレでも始まるの?状態だ。
遥「浩樹ーいるー?」
浩樹「…いますよ」
遥「よっしゃ」
そう言ってカーテンを開く。
肩を露出させた上に短すぎるスカート、この容姿にスタイル、そら周囲も騒ぐのも当然だろう。
遥「どー?」
浩樹「…んん」
遥「だめ?」
浩樹「はぁ、すごい似合ってますよ、驚きました」
遥「あ…ぁ、ぇ?」
手に持っていた携帯を落としそうになる遥。
慌てて持ち直して震えながらスマホを触りだす。
遥「ももも、もっかい言って、ぼぼ…ボ、ボインレコーダーで録音しるっ」
――――胸の大きさでも測るのだろうか。
ただ彼女は服が買いたいわけじゃない。
おいしい物を食べたいわけじゃない。
それはこの楽しそうな表情を見ればわかるのだ。
まともに喋れない、まともな反応もできない自分といて何が楽しいのだろうか。
遥「ね、次はどこ行…」
「あれ、はるちゃんじゃん」
「本当だ」
自分達を見つけたのはどこかで見たことのある男二人組み。
遥「あ、コウ君にキノじゃん」
記憶に新しいのも当然だ、例の偽恋人作戦の時に一緒に遊園地に行った遥と同じ大学に通う二人だ。
確かチャラっぽいのが木下宗太、デカイのが幸田孝。
というか、男だけでショッピングってどうなんだろうか。
宗太「お、浩樹じゃん、おひさっ」
孝「あはは、デート中だったか」
やばい、実にやばい。
あの時は脳内に大量の台本を用意し、演技で爽やかな自分を演じていたが、今は完全に目つきの悪いただの人見知り。
浩樹「ど…どうも…です」
――――全開で人見知り発動してんじゃねーか俺。
宗太「あっはっは、マジで人見知りなんだな!」
孝「あの時とは別人だなぁ」
浩樹「…え」
今の彼らの発言は間違いなく東田浩樹の本性を知っている口ぶりだった。
あんだけ頑張って、苦労したのに何故バレているのか。
遥「ごめんね、バラしちゃった」
浩樹「なんで…」
意味がわからない。
本当に意味がわからない。
孝「嘘は付きたくないから言う、私は浩樹と付き合ってない」
宗太「絶対に彼を振り向かせる、嘘を真実にするから」
浩樹「んが…」
恐らく大学で遥が言ったであろう台詞を吐く二人。
宗太「心配すんな、俺達以外には男がいるって思われてるぜ」
浩樹「でも、木下さん遥のこと…」
宗太「はっはっは、水臭いな、名前で呼んでくれて構わないぜ」
浩樹「でも、宗太・木下さんは遥のこと…」
孝「なんで外人風になった」
友達でもない人間のことを馴れ馴れしく呼ぶつもりはない。
孝はわからないが、宗太は間違いなくあの時見る限りでは遥に気が合った感じだった。
遥「キノ、彼女できたんだっけね」
宗太「そうなのよ!」
そう言って力強く肩を組んでくる宗太。
本当にやめてほしい、友達と思われるじゃないか。
宗太「聞いてくれよ浩樹」
浩樹「…はぁ」
宗太「俺の彼女な、ちょっと地味だけどよ」
浩樹「…はぁ」
宗太「すごいオタク女子なんだ」
――――どうでもよすぎてちょっと鼻水出た。
ここは地味だけど優しい、とか褒める場面じゃなかったのか。
孝「あーはいはい、宗太もうそろそろ行かないと時間やばいぞ」
宗太「おっとそうだった」
むさ苦しい状態から解放され、大きくため息を付く。
孝「じゃあなお二人さん」
宗太「また遊園地行こうぜっ」
浩樹「お断りします」
遥「またねー」
正直何も喋らなくても会話が成り立ってしまうのではないかと思うくらい騒がしい人間だった。
こんなことが起きるから都会は嫌なのだ。
一気に体力を奪われてもう限界がきていた。
浩樹「…さ、そろそろ帰」
遥「プリクラね、よしきた」
浩樹「…どうきた?」
無理矢理腕を組んできて、照れを必死で隠すためカメラに目線を合わせていない目つきの悪いパッとしない男と、心底嬉しそうに笑う人気者の美女とのツーショット写真。
たった一人の友人には決して見せられない一枚だった。
バイト以外でこんなにも活動したのは久しぶりなのではないか。
ただ引っ張られるだけのデート、いやこれをデートと言えるものなのかすら疑問だ。
時間はすでに夕方の五時を過ぎていた。
浩樹「…さ、そろそろ帰」
遥「あ、夏美から電話だ、浩樹ちょっと待ってね」
この女、人の話聞かないスキル高すぎる。
遥「え?うそっやばいじゃん!」
そう、自分の体力ももうそろそろやばい。
遥「浩樹?うん、いるよ、あ…わかったすぐ行く」
浩樹「何かありましたか」
遥「キノの…彼女がやばい」
本当に自分には関係なくて、どうでもいい話。
昼間に言っていた彼の彼女に何かあったらしい。
遥「ここから近いとこに皆いるみたい」
浩樹「俺に構わず行ってください」
遥「何言ってるの!行くよ!」
浩樹「…えぇぇぇ…」
こうして終わりの見えてこない今日がまた始まっていた。
ショッピングモールから10分ほど歩いた場所にあるファミレス。
店の扉の前ではなく、中の様子が伺えるほどの少し離れた小さな看板の後ろで一同身を潜めていた。
孝「おっす、今日二度目だな」
宗太「悪いな、呼び出して」
遥「で、どうなの?」
夏美「やばいってもんじゃないね」
メンバーは遥、夏美、大志、孝、宗太、そして自分、例の宗太の彼女はここにはいない。
彼女がいるのは目の前にあるファミレス内の窓側、よく見えるここを隠れ場所に選んだらしい。
女性が三人。
綾という名前の彼の彼女を一度も見たことはないが、すぐにどれかは理解できた。
明らかに二対一の座り方だ。
一人は俯いて、二人は偉そうに目の前の一人を睨みつけている。
遥「喧嘩?」
夏美「ただの喧嘩だったらよかったんだけどね」
大志「宗太の彼女の半端ないオタクが友達にバレたらしい」
視力がいい自分ならここからでも余裕で見える、ターゲット達の前に置かれてある品物はマニアックなものなのだろう。
人形やら箱っぽいものやら。
宗太「あいつ、友達の前でぶちまけてしまってな…」
孝「そりゃ…あんな明らかに私ギャルですって連中なら引くだろうな…」
オタクを隠し、ちょっと背伸びをしてああいった友人とつるんでいたのだろう。
彼女はやめれない自分の趣味を何とか今日まで隠してきたのだ。
窓際の一番偉そうな女が宗太の彼女に指をさして怒鳴ったり、テーブルを叩いたりしている。
夏美「どう思う?」
大志「そうだな、ああいったドSっぽい子もなかなかたまらん」
孝「そうか?俺はもう一人の子の方がタイプだな」
夏美「アンタ達ねぇ…」
宗太「そうだよ!お前らなぁ!」
それどころではない、と宗太は緊張感のない一同に渇を入れようと、
宗太「俺の彼女が一番カワイイだろ!」
するわけがなかった。
遥「…全く」
夏美「ね、ヒロ君どう思う?」
他の連中は置いといて先ほどから全く口を開かない自分に話を振ってくる。
浩樹「そうですね、ぶっちゃけ」
夏美「…」
浩樹「おウチに帰りたいッス」
夏美「ダメだこいつら」
自分の中でも一番まともなことを言ったつもりではあった。
宗太「やばいやばい、ヒートアップしてるっ、浩樹どうしたらいいと思う!?」
浩樹「…何で俺なんですか」
孝「いや、浩樹すごいらしいじゃん」
―――――え、何?ステルス能力のこと?
宗太「あのハルちゃんのハートを射止め」
――――それちょっと死後じゃないのか。
孝「美紀ちゃんの幽霊事件も解決した」
――――だって自分も死んでるもん。
簡単にいえばあれだ。
トラブルバスターとでも言いたいのだろう。
人見知りで、引きこもりがトラブルバスター?本当に笑えない。
宗太「頼む、何かないか…、これ以上見ているのはつらいんだ」
浩樹「…マジですか」
孝「浩樹」
遥「…浩樹」
夏美「ヒロ君」
大志「ヒロキーン」
浩樹「殺すぞ」
あれをどうにか解決させる方法。
どうにかしないと帰らせてもらえなさそうな雰囲気。
攻められているオタク、ギャル、秘密。
何か、ないか。
しゃがみ込んでいた自分はゆっくりと立ち上がる。
浩樹「彼女さんがあの二人と仲良くなったのはいつですか」
宗太「確か3ヶ月前って言ってたな」
つい最近友達になったということか。
自分は宗太の服装を眺め、ふと首から提げているネックレスに目がとまった。
それは前に遊園地に行ったときにも付けていたもの。
きっと彼のお気に入りなのだろう。
浩樹「ちょっとこれ、借りますよ」
彼の背後に回り、ネックレスを外す。
遥「浩樹、どうするつもり?」
浩樹「…そうですね」
どうするか。
そう、ここにいる連中にはどうすることもできないのだ。
あの場に乗り込んで彼女を庇ったところで何の解決にもならない。
庇ったところであの三人の関係が元に戻るわけがない。
話すら聞いてもらえないだろう。
それは一同理解しているのだ。
――――だったら。
浩樹「状況を悪化、させるまで」
そう言って宗太のネックレスを自分の首に付ける。
大志「お前、それどういう…」
浩樹「最後の彼氏の役目、ちゃんとしてくださいよ?」
宗太「え…?」
重い足を動かして繰り広げられている戦場へを歩みだした。
一歩一歩歩くごとに大量の台本を脳内に用意する。
きっとこれは彼らにではなく、自分にしかできないこと。
オタク?否定?喧嘩?
くだらなさすぎて反吐が出る。
オタクの何が悪い。
引きこもりのぼっちのどこが悪い。
何故否定をされなきゃいけないのだ。
そんなちっぽけなことで喧嘩するような仲なら、
――――破壊してしまえ。
店員がこちらに来る前に彼女達の前に立つ。
それはもう目つきの悪い男が睨みつけているのだ、それに気づいた三人は驚いて言葉を失っている。
目には目を、
キモオタにはキモオタを、だ。
浩樹「お前こんなとこにいたのか!」
綾「…え?ぇ?」
浩樹「こんなとこで何やってんだよ!」
見たこともない男がいきなり自分に怒鳴りつけてくるのだ、そりゃビビるのもしかたない。
当然注目の的になっていた。
浩樹「ちゃんと返品してこいって言ったろうが」
テーブルに置かれてあるマニアックグッズを指差す。
浩樹「お前は俺の言ったものも買って来れないのかよ!」
綾「え、ちょっと何言っ…」
そう言おうとした綾の目に留まったものは、大好きな人がいつもしているネックレス。
このタイミングでこのネックレス、少し考えれば察しが付くだろう。
「…ちょ、ちょっと綾、これ誰よ?」
綾「えっと…」
浩樹「俺が買って来いっつったのはなぁ」
大きく深呼吸、と同時に覚悟を決める。
浩樹「愛たんのフィギュアじゃなく、舞たんのフィギュアを買って来いって言ったんだよ!」
周囲が凍りついた。
浩樹「欲しかったのは限定物の学生姿の舞たんフィギュアだったんだよ!」
置かれてある人形を一度持ち上げて、テーブルに叩きつける。
どうだ、キモすぎて言葉も出まい。
「…」
「…」
浩樹「…」
想像以上のキモさのようだった。
浩樹「ご、ごほん」
ちょっと挫けそうな心を落ち着かせて仕切りなおす。
浩樹「偽物ばかり見つけやがってよ」
綾「…っ」
浩樹「ちゃんと欲しいもん見つけて来い!」
この言葉の意味。
じっとこのネックレスを見つめる今の彼女の表情ならちゃんと理解できているだろう。
綾「…くっ」
<かつての友人達>に別れを告げることもなく彼女はこの場を飛び出して行った。
自分はそれを確認し、身を潜めている一同に視線を向けた。
あとはアンタの仕事だ、と。
「ちょ、ちょっと、アンタ一体何な…」
浩樹「うるせぇビッチ、鼻の穴に割り箸突っ込まれたいか」
「…ひぃっ」
彼女達の顔が引きつるくらいとんでもない表情を自分はしているのだろう。
きっと彼女達の関係は終わりだ。
もともと浅い時間で作り上げてきたものも無いに等しい仲だ、簡単に崩れてしまう。
確かに自分がしたのは彼女達の関係の破壊だ。
しかし唯一最小限にできたこと。
自分は彼女がキモオタなのではなく、キモオタの彼氏がいたというレッテルに変換したのだ。
言葉を失った二人組みに背を向けて歩き出す。
店員が気持ち悪いものでも見つけたかのように自分をすぐさま避ける。
白い目、冷たい視線、悪口陰口。
普通なら耐えられない状況。
だから、これは、
――――何も持たない俺にしかできないことだ。
一同が集まる場所へとたどり着く。
予定通り宗太は彼女を追いかけていったようだ。
夏美「あ、帰ってきた」
孝「ここまで声聞こえてきだぜ、やっぱすげえわ」
大志「よくもまぁあそこまでキモく演じれたな」
浩樹「言うな……さすがに自分でも引いてる」
しゃがみ込んで自己嫌悪に陥る。
辛くないと言えば嘘にはなるが、少しスッキリした思いもあった。
自分のことを大声で叫んだ気持ちに少しなれたのだ。
お前らには理解できないだろう、と。
遥「浩樹」
浩樹「…?」
隣に座り込んで自分の背中にそっと手を当てる遥。
遥「本当にお疲れ様」
浩樹「…いえ」
遥のいろいろな意味を含めたお疲れ様が少し救いになった気がした。
浩樹「それじゃ帰ります、これ返しといてください」
孝「ああ了解」
宗太のお気に入りを孝に渡し馴れ合うことが嫌う自分はさっさとこの場を後にした。
最後に見た時刻から二時間も過ぎていた。
まだまだこの街は騒がしいことをやめそうにない、さっさと帰ってしまうが吉。
切符を買い改札をくぐる。
遥「いろいろあったけど楽しかったねー」
浩樹「……何でいるんですか」
遥「え?家に帰るんでしょ?」
だから、え?アンタ何言ってんの?みたいな表情するな。
遥「何か買って浩樹の家で食べよー」
浩樹「ちょ…遅くなったら電車とか…危険でしょ」
一日に何回もナンパされる彼女が夜一人で歩くのは危険、間違ったことは言っていない。
遥「タクシーで帰るよ?」
浩樹「いや、半端なく高いでしょ」
遥「カードだし」
――――何それ、俺図書カードしか持ってねぇよ。
お金持ちのお嬢様のやることは本当に底知れなかった。
遥「ね、浩樹」
浩樹「…何ですか」
遥「積み上げて行こうね」
浩樹「え?何か言いましたか?」
電車が来るアナウンスと同時だった為、遥の言葉は聞こえなかった。
――――嘘だ。
馴れ合いを嫌う自分は聞こえなかったとそう思い込んだのだった。