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衝突II

今回は偽装輸送船団目線で書きます。

時間軸は、クロイツ達が航空隊救助のため当宙域に到着した頃です。

飛ばさず見て頂ければ、全体的に楽しんでもらえると思います。


          第7話 余裕


 突然、旗艦ワリャーグの側面に現れた所属不明船団は、帝国の送り込んできた特殊作戦軍属の工作船だった。


帝国軍特殊作戦軍属偽装輸送船団 作戦実行部隊 艦橋内


「いとも簡単に消えちまったな…」


「これだけの威力があるなんて知らなかったぜ」


「お前たち、無駄口を叩くな。閣下への報告が先だ!」


「すいやせん。至急、報告してきます」




『こちら作戦実行部隊。船団母船応答願います』


『こちら母船。結果を報告せよ』


『了解。敵艦艇消滅を確認。本来の目的達成しました。』


『了解した。大佐へはそのまま報告する。他に伝えることはないか?』


『なら、近寄ってくるザコを消しても良いか、確認してくれ』


『了解。返答を待て』


『実行部隊へ連絡。大佐より攻撃許可が下りた。目標は各艦に任せるとのこと』


『了解。感謝しますとお伝えしてくれ』



「母船より許可が下りた。さぁ!野郎ども、狩りの時間だぁー!!思う存分、殺りまくるぞ」


「「おぉー!!!」」


「見た目はオンボロ船なのに、設備は一級品てのは不思議な感じがするな〜」


「そのことには触れるなよ。あくまで連邦の輸送船団に化けなきゃならんから仕方ないだろ」


「まぁそれはそうなんだがよ。レーダーでさえ一級品だから敵を探知しやすくて困る」


「いや、それは別に良いだろ。あたふたしないで済むんだから…」


「お前わかってねぇーな。いいか、ボロい設備で敵と戦うのがスリルがあって良いじゃねぇか!」



((うわぁ〜変態だよ。ここまでくると病気だ…))



 そんな他愛もない会話をしている最中に、工作船の1時方向より、連邦の巡洋艦が近づいてきた。


「1時方向より敵巡洋艦接近中」


「そらきた!回頭面舵30度!」


「面舵30よーそろー!」


「砲門照準合わせ。ってぇー!!!」



 工作船に近いた連邦巡洋艦は、旗艦ワリャーグと同じように眩い光を放ちながら消えていった。



「観測員、状況は!」


「正面敵、完全に消え去りました。レーダーが捉えている敵影、残り2隻」


「艦長、エネルギー充填まで残り3分」


「エネルギー充填完了後、発射準備急げ!」


「敵2隻尚も接近中!後続の工作船に援護求めます」



 工作船の搭載する『反物質生成照射装置Mk.239』は反物質を作るためと、それを発射するために莫大なエネルギーが必要となる。それに、この兵器自体の取り回しが悪く、艦首ごと敵に向けなければならないという、欠点を持っていた。


「艦長、エネルギー充填及び発射準備整いました。いつでもどうぞ」


「よし、敵に照準合わせ。ってぇー!!」


「敵駆逐艦の消滅を確認。当宙域より敵艦艇を一掃しました。」


「わかった。母船へ連絡を取る。通信員、繋げろ」


 工作船の通信員は母船へと通信を繋げる。


『こちら実行部隊。作戦宙域より敵艦艇を一掃しました。残すは、敵航空隊のみであります。指示を仰ぎます』


『こちら母船。了解した。大佐より命令、作戦宙域にいる者を生きて返すなとのこと』


『了解。引き続き敵殲滅を行います』



 これで、連邦の辺境星系防衛艦隊は3分の1を失い、事実上の壊滅状態になっていた。攻撃していた工作船はたったの2隻である。今のところ、当該宙域に残っていたのは、亡き旗艦ワリャーグ所属の航空隊のみであった。



「さて、野郎ども今度は宙を飛んでいるコバエを落とすぞ。気合い入れとけ」


 実行部隊の艦長が、工作員全員に向かって檄を飛ばす


「了解です!艦長」


「それと後方の工作船にも協力しろと連絡しておけ」


「はっ!」




特型駆逐艦ヨーク 艦橋内


「こりゃ、してやられたね。艦長、これでは生存者など絶望的です。何せ破片すら見当たらないんですから…」


「…予想以上に酷い有様だ。クロイツ、敵が如何なる方法でこの様な有様になったのか、依然わかっていない。迂闊な行動は取らないよう、気を引き締めてかかれ」


「了解しました艦長」




工作船 艦橋内

「艦長、敵影1レーダーで捉えました。駆逐艦の模様!」


「わかった。コバエの相手はそれを消してからだな。敵艦にレーダー照準を合わせろ」


「照準よし!発射準備完了しました」


「砲門発射!ってぇー!!!」


 敵の攻撃を受け消え去るデコイ。それを兵器照準レーダーのモニターで確認していた観測員は不思議なものを目の当たりにする。


「敵反応消滅しました。ん⁉︎本船2時方向に同じ周波数帯の艦が進んでいます!これは一体…」


「何を馬鹿なことを言ってるんだ。同じ周波数帯の艦が2隻も存在するはずが無いだろう。しっかり確認しろ!」


「いえ、確かに同じ周波数帯です。間違いありません!」


「なら、さっき消したのは敵の囮ってわけだ。…フッ面白い。敵も中々やるな」


 兵器レーダー観測員がアタフタしているうちに、別のところから報告が上がった。


「当宙域の敵航空隊がこちらへ向かって突っ込んできます!」


「なに?コバエが来やがっただと…。飛んで火に入る夏の虫ってのはこういう奴等の事かもな。叩き落としてやる。準備急げ!」


「艦長、敵機が分散しました。波状攻撃のようです。」


「どう来ようと構わんさ。消し去れば良いだけだろ」


 そこへ思わぬところから敵が出現した。


「っ⁉︎艦長、レーダー死角より敵機多数現れました!本船レーダーに対して攻撃を受けています」


「何だと!クソッたれめ。出せうる最大速度で、何としても振り払え!」


 工作船の艦長が指示を出すと同時に、船全体を大きな音と揺れが包みこんだ。


ズドォーン


「クッ……なんだこの揺れは!」


「か、艦長…本船機関部へ甚大な損傷。航行不能です。死傷者多数とのこと」


「ここにきてこれか!…クソッ!!後続の工作船はどうなっている!」


「後続船も同様とのこと。これ以上の作戦遂行は不可能です」



「……ついにここまでか。」


 消沈しきった工作船の艦長は、よろよろとフラつきながら艦長席へと腰掛けた。おもむろにホルスターから拳銃を取り出して、自分の顳顬(こめかみ)に銃口を向けた。そして…


「帝国万歳!皇帝陛下万歳!連邦に死を。帝国に栄を!」


パァーン!!!!!


 帝国への賛美の言葉と、拳銃から発せられた乾いた音が艦橋内に響いた。


 艦橋の床には側頭部が吹き飛んだ艦長の亡骸が転がっていた。


 工作船の動きは、これで完全に沈黙した。船体に巨大な兵器を載せたオンボロ船が虚しく宙に浮かんでいる。


 その微動だにしない船に向かって無数のミサイルが飛来してきた。

次回からクロイツ達の目線に戻ります。

僅かに遠回りしましたが、第6話と話が繋がっているのが次のやつになります。(要は第8話)


あと、「反物質なんだから搭載している船も影響あるだろ」って思うかもしれませんが、そこは未来の技術なのでどうにかなるものなんですよ。

僕は知りません。

深く考えないで下さい。お願いします(>人<;)

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