急襲
さて、ここで話が一気に進みます。
帝国の動きは。旗艦ワリャーグはどうなるのか。
色々、想像しながら読んでください!
新しい登場人物も出てきます。お楽しみに!
第5話 帝国の攻撃
旗艦ワリャーグ艦橋内
「艦長、異常事態発生です!不明船団が本艦側面に突撃してきております!」
「何っ⁉︎急ぎ護衛艦を回せ!」
「ダメです!間に合いません」
「クソっ!観測員は何をしていたんだ。演習中の各艦艇に”本艦、奇襲受けり”と連絡!総員に迎撃体制を取らせろ。ネリ大臣を安全な区画へ避難させろ。万が一の為、救難艇のロックを外しておけ!」
「了解しました艦長!」
旗艦ワリャーグ内に緊急事態のサイレンが鳴り響く。
『ウゥー!ウゥー!総員、戦闘配置に付け。繰り返す。総員、戦闘配置に付け。これは訓練にあらず。』
『所属不明船団が我が艦を急襲せり。砲撃手は配置に着き、迎撃体制を整えよ。艦載機搭乗員は発艦準備を急げ!』
放送が鳴ると、艦内の乗組員たちが慌ただしく配置に付き始めた。
旗艦ワリャーグ艦載機格納庫内
「お前たち急げ!整備員、照準をしっかりと合わせとけよ。おい、トマス。誰が一番多く撃破できるか勝負するぞ!」
「ツヴァイ、これは訓練じゃないんだ。はしゃぐなよ。でも、その勝負乗った!で、何を賭ける?」
「そうこなくっちゃ!そうだな…ヴィンテージ物のウイスキーでどうだ?」
「あの100年物か⁉︎よし、それで行こう!負けねぇからな」
「望むところだ!」
そこへ艦橋から艦載機出撃の命令が出された。
『艦載機全機発艦せよ!』
「よしきた!さぁ出撃だ!野郎ども、やってやるぞ」
「ツヴァイの奴、賭けるとなると一段と気合い入ってやがる…」
「トマス、この勝負俺が勝つかも知れんな。しっかり金の用意しとけよ!」
「なにを!俺が勝つに決まってるさ。お前こそ金の用意しとけ!お金持ってませんでしたでは済まされないからな」
「へっ言っとけ。さて出撃しますか」
旗艦ワリャーグ艦橋内
「船団、尚も接近中。そろそろ我が艦主砲の射程圏内に入ります」
「わかった。射程圏内に入り次第、弾幕を張れ!ありったけのエネルギーを使え」
そこへ艦載機全機出撃完了の連絡が入ってくる。
「艦長、我が艦の艦載機全機、発艦いたしました」
「よし、艦載機各機に連絡。”あと5分で当該宙域から全機退去せよ。我が艦の砲、全門発射する”と」
「了解しました艦長!」
帝国特殊部隊偽装輸送船団艦橋内
「閣下。『反物質生成照射装置Mk.239』搭載の偽装船2隻が、予定通り目標に向かって全速で進んでおります」
「そうか。それで敵の動きは?」
「はっ!旗艦ワリャーグの艦載機全機が発艦し、突撃しています2隻に向かって迎撃をしております。また、旗艦ワリャーグの方も搭載している全砲門を2隻に向かって攻撃体制をとっております」
「無意味なことを。敵も悪あがきをするもんだな。2隻に搭載している兵器は、敵の主砲射程を優に超えている。奴等の攻撃がこちらに届く前に、敵は消えて無くなるだろう。まぁ、苦しまずに死ねるのが唯一の救いだがな」
「おっしゃる通りでございます。閣下。我が帝国の英知を集めた特別な兵器です。奴等の攻撃など意にも返さぬでしょう。苦しまずに死ねることを皇帝陛下に感謝すべきですね」
「まったくその通りだな」
シュトルフは前線の2隻に対して攻撃するよう命令を下した。
「シュナイダー、前線にいる2隻に通信をしろ。”敵を消しされ”と」
「かしこまりました閣下」
旗艦ワリャーグ艦載機コクピット内
(ん?対象が妙な動きをしているな。嫌な予感がする。)
「全機、離散せよ!艦橋に連絡、こちら、ツヴァイ軍曹。対象に不穏な動きあり。対象の動きに注意されたし」
「トマス、一旦離脱するぞ!」
「ツヴァイ、了解。俺も同じ考えだ」
「「全機、離散!」」
艦載機全機が離散すると同時に、機の後方にあった旗艦ワリャーグが音も無く、眩い光を僅かに発しながら消え去った。元からそこに無かったかのように、暗い宇宙空間のみが広がっていた。
「嘘だろ…旗艦ワリャーグが…あの辺境星系一の巨艦が消え去っただと…」
「ツヴァイ、こいつはヤバイぞ。演習中の艦艇へ緊急通信を入れよう」
「あっあぁ…そうだな」
ツヴァイは演習参加中の全艦艇に向けて、緊急回線を使い救援を求めた。
『演習参加の各艦艇に報告。こちら旗艦ワリャーグ艦載機パイロットのツヴァイ軍曹。敵の攻撃によって旗艦ワリャーグが消滅した。冗談じゃないぞ。言葉通り消滅した。現在、我々旗艦ワリャーグ所属航空隊は孤立している。救援を求む』
特型駆逐艦ヨーク艦橋内
「艦長、旗艦ワリャーグ所属航空隊より入電!旗艦ワリャーグが敵の攻撃により、跡形もなく消え去ったとのことです!」
「なっ…⁉︎冗談を言うな…。あの艦は辺境星系一の巨艦だぞ。そんな簡単に消え去るわけがない」
「誤報ではありません!我が艦のレーダーからも消失を確認しました。パイロットの報告によると生存者はいない模様。航空隊より救援要請が出ております」
「そうか…。クソっ!どこのどいつか知らないが連邦に手を出したことを後悔させてやる。クロイツ少尉!」
「……」
「クロイツ!!」
「…⁉︎は、はい!何でしょう艦長」
「何をぼけっとしてるか!各員に連絡、第1種戦闘配置に付かせ、第一戦速で現場に急行する」
「はっ!」
艦長の指示が出されたあと、すぐにヨーク内に緊急放送が流れた。
特型駆逐艦ヨーク艦内放送
『総員、第1種戦闘配置に付け!これは訓練ではない。救護班は万全の体制を整えよ』
帝国の奇襲により、司令塔である旗艦ワリャーグを失った辺境星系防衛艦隊は、各々の艦長による独断で現場に急行する。敵の攻撃手段を把握してない味方艦艇は、一隻また一隻と消失していった。
クロイツの乗る特型駆逐艦ヨークが到着した頃には、艦隊の3分の1を失っていた。
遂に動いた帝国。
旗艦を失った艦隊の運命はいかに。
現場に駆けつけたクロイツ達はどう対抗するのか。
To be continue.
次回は水曜日更新します。
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