定期演習II
3話目です。
ここでようやく予定話数の100分の1になります。
気が遠い…。でも、頑張る!
まだまだ話が進んでないんですけどね〜
気長にやっていきましょう。
第3話 定期演習II
その頃、輸送船団もとい帝国軍特殊作戦軍属偽装輸送船団の船内では…
「いやぁ〜奴等も馬鹿でございますねぇ。本気で信じてんですから!旦那の演技っぷりも完璧でござんした」
「っ貴様!何という口の利き方だ!こちらに居られるのは、帝国軍諜報部大佐シュトルフ・フォン・ベシュタター子爵閣下に在らせられるぞ!口を慎めゲスが」
「これは悪うございました。平にご容赦を…ゲヘヘっ」
「き…貴様っ」
「まぁ、まてシュナイダー。そう憤慨するな、柄にもない」
「はっ!失礼いたしました閣下」
その行動にニヤリと汚い笑みを浮かべる三下野郎。
「へっ旦那は分かってらっしゃる。あっしの喋りは元々こういうものですんで治りはせんのですよ」
「…知っている。二度と口を開くなゴミが」
パン!
「うっ…」
…ドサッ
三下野郎の頭に風穴が空いた。シュトルフの持ってた銃が火を吹いたのである。男は即死。二度と口を開くことはなくなった。
「閣下御自ら手を下さらなくても、合図一つで私めが致しましたものを…」
「よい。気にするなシュナイダー。私もこの男がいけ好かなかった。ただそれだけだ」
「閣下がそえ仰られるのなら私は何も申しません」
「それより、シュナイダー。計画は無事達成出来そうか?」
「はっ!それでしたら問題ございません。標的は陣形後方にて少数の護衛艦とともに、演習を傍観しているそうです」
「そうか。計画がうまく終われば、家に帰って美味しいワインでも頂こう」
「御意に。ワインに合う食材も探して帰りましょうか」
この偽装輸送船団は進む。敵レーダーを避けるため、演習宙域を大きく迂回し、大臣が乗艦する旗艦ワリャーグの横っ腹を目掛けて…
そのころ連邦軍は演習に勤しんでいた。
複数の艦が前後し主砲による波状攻撃を、少数の小型艦艇が敵軌道上に機雷を設置する訓練を行っていた。
「特型駆逐艦ヨーク!貴艦は我が艦主砲の射線上に入っている。速やかに退去されよ」
「貴様ら、しっかり操舵せんか!彼方さんが撃たなかったから良いものを。戦場で同じ真似をしてたら死んでたぞ!副官しっかりまとめんか!!」
「艦長、あんまりカッカしたら血管切れますよ?もう少し落ち着いて…」
「貴様は落ち着きすぎじゃっ!気を引き締めんか!」
本日何度目かの艦長の怒鳴り声が艦橋内に響き渡る。今回もクロイツ君、通常運行です。
「CIC、艦橋。機雷散布準備整いました!」
「砲雷長、散布ポイントに入り次第、順次散布せよ」
「はっ!」
CICへ指示を出した艦長は、隣にいるクロイツへと目を向ける。
「副官!貴様も馴染みのイヴァンみたいにしっかり働かんか!」
「いやぁ、俺とアイツじゃ頭の作りが違うんですよ〜。それじゃ、ちょっとひと眠r…っ!」
ガンっ!
本日、2回目のゲンコツがクロイツの頭を捉えた。
彼の頭には、合計2つのタンコブ出来上がっていた。
「いっつぅ〜…艦長ぉ〜」
「バッカモーン!ふざけるなと何度言われりゃ分かる。演習中に寝る奴がどこにいる!今度こそ許しはせん。誰か居らんか!クロイツ少尉を収監室に閉じ込めておけ!」
「え⁉︎艦長…本気ですか?いや、さっきのは冗談で…」
「冗談もクソもあるか!演習が終わるまで出す気は無い。そこで反省しとれ!」
「CIC、艦橋。散布ポイントに到着いたしました。これより機雷の散布を開始します」
「わかった。砲雷長、これが貴官が任官して初めての仕事だ。しっかりと頼むぞ」
「はっ!お任せください。艦長のご期待に全力でお答えいたしましょう!」
「フッ頼もしい返事だ。それでは散布始め!」
特型駆逐艦ヨークCIC内
「砲雷長、機雷散布機ロック解除しました。いつでもどうぞ!」
「よし、これより機雷を散布する。底部ハッチ解放!散布開始!」
機雷散布より30分後
「砲雷長、機雷全弾散布完了しました。機雷位置データ、友軍艦に送信しました」
「ご苦労さん。それじゃ、艦長に報告しますか」
「CIC、艦橋。こちら砲雷長。機雷散布完了致しました」
「砲雷長ご苦労。これで一通りの仕事は終わったな。次の指令が来るまで休んでおけ」
「はっ!」
クロイツが見えないことに違和感を覚えたイヴァンは、恐る恐る艦長に聞いてみることにした。
「…艦長」
「ん?なんだ」
「その…聞きにくいお話なのですが、クロイツの奴はしっかりやってますでしょうか?」
「あぁ…そのことか。彼奴は今、収監室に閉じ込めて反省してもらってるところだ」
「えっ!何かしでかしましたか?」
「まぁ、しでかしたも何もロクに働きもしないからな…」
その言葉を聞いたイヴァンは、クロイツに対して呆れながらも艦長に具申した。
「艦長、お言葉ですが、収監室に閉じ込めたはマズイかと思います。アイツからしたら、それはご褒美です!!」
思いもよらないことを聞いた艦長は自らの常識を疑った。
「何っ⁉︎いや、収監室だぞ?何もする事の無い部屋だぞ?」
「アイツは、その様な環境でも生きていける程のやる気なし野郎です…」
「クソッ!してやられた。おい!そこのお前、クロイツを収監室から出してやれ!とことん働かせてやる」
イヴァンはクロイツの罠に落ちた艦長に同情するしかなかった。
(艦長の頭皮が心配だ。アイツのせいで禿げなければいいけど…)
イヴァンは艦長の頭髪も気にするとても優しい子でした。
イヴァン君、さしぶり!
いや〜君をいつ出そうか迷ってたんだけど、なかなかタイミングが掴めなくてね〜。許してちょんまげ♪
この後から一気に話が進んでいか予定です。
シュトルフ率いる特殊作戦軍偽装輸送船団とクロイツの乗る連邦特型駆逐艦ヨークはどの様に絡み合うのか、乞うご期待!!