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ウサギに肉球はない

ウサギには肉球がない。

そのハズなのにここのウサギには肉球がある。


―どゆ事?


糞も大半がコロコロしてないらしく、井戸も壁から茶色く濁った雨水が染み出したから埋めたらしい。


ウサギとネズミの中間なのか、物を掴める前足には肉球があるが後ろ足には肉球なし。


そして、野菜に被害が少ない理由になるのだが、一般的に脂分の多いとされる雑草草を好んで食べる。


寒い地方に居た祖先が、冬の間の脂肪を溜め込む為に摂っていた食べ物と好みは変わっていない様子。


「基本的に鳴かないあたりはウサギらしいけど…」


ますますもって分からなくなる。


草は、油菜とか多肉植物を好んで食べてたが、他に油虫がついている雑草も食べていた。

バッターなんかの虫は追いかけてる様子がないから、偶然なのかも知れないが、油虫で動物性タンパク質摂ってるから草だけのウサギより味が一段落ちているのだろうか。


「…ウサギに似た野鼠の間違いじゃないか?」


爪も動きもウサギ、ネズミなみに器用なだけ?


やっぱりウサギ?


「ウサギか…」


でも、魔物以上に謎の進化を遂げた未知の生物の間違いないだろ。


「よく繁殖に手をだしたよ」


ウンチゆるいし、地下水なんか大丈夫なのか?



小川なんか、明らかに茶色い汁が流れ出てる場所もあるし、川の水を使うのは避けた方が良さそうだ。


いっそ、燃やすと煙が毒になる草を巣穴近くで炊いたしまった方が良くないか?


夾竹桃なんか、香木に混ざると最悪ですからね。


枝葉花全てが猛毒で、燃やしても煙の中に毒素が残る。

密閉空間でたいたらなら間違いなく死人がでるよ。


花が綺麗だから高貴な家の庭には植えられてるみたいだけど、あれは知識ある庭師が手入れしてるからな。


樹液が皮膚についたら皮膚炎起こすし、口内摂取は命に直結する。


魔物の群れや軍隊を撃退出来る危険な毒草だ。


扱うオレの身も危ないからやめよう。


大人しくチマチマ狩るしかない。


不味くても肉は肉。


予想通り魔法袋満タン。

三日目、月夜の草原を見渡し、“何しに来たんだっけ?”と、狩人としての意義を見失う。



「根本的に、地面がある限り無理なんじゃないすかね」


「毒か、劇薬しかないよね」


しかも、ウサギはナス科の植物の毒に耐性があるから、毒も慎重に選ばないとならない。


「劇薬だけなら研究会の誰かもってるでしょうけど、地下水への影響ありそうなのは論外らしいっすよ」


「…ダメですか」


キット氏と二人で、運んできてくれた罠籠を仕掛けながらの会話です。


「エルド君が、気疲れする前に色々作れたら良かったんすけどね」


樽を埋めた落とし穴も有効だとの事で、草刈りや野焼き、はたまた穴掘りをする兵士がチラホラ。


本格的に、オレは要らないんじゃないかと思われる。


「あの…」


「なんすか?」


「キットさんがちゃんと仕事してたらオレ呼ばれなくてすんだんじゃない?」


「…エルド君には、ロマンが足りないっすよ」


確信犯か貴様。


「罠いくら仕掛けた所で、追っ付かないのは目に見えてんすから、エルフくらいに頼らないなんないっすよ」


「え~、なんですかソレ」


「ガキん時からの話っすから、街の人間解ってますって」


そーなんだ…。


「…駆逐は無理ですか?」


「無理だね。皮なんかいくらもならないし、千人規模を数ヶ月単位で投入して、集めた死骸を完全に燃やしつくすには、山一つふたつは月ごとに丸裸になるんじゃないすかね」


「なるほど、それで一定数の駆除だけしてると…」


「ウサギのナニから精力剤つくれたら一儲け出来そうなんすけど、大したこたないっすからね」


後悔先に立たず。ウサギのくせに精力材料とか生意気な。



「それよか、研究会で土に漆喰混ぜて固める研究も始まってますから、周辺や街道もその内なんとかなるんじゃないすかね」


「そんなもんですか」


「…ジジババが、飯に困らないようにしたくて事すからね。実際、孤児でもくうにゃ困らないくらいっすから」


それなりに豊かではあるのか。

「そうゆうもんですか」


「伝説のエルフなら、共存とか程よい狩りの仕方教えてくれんじゃないかと思ったんすけどね」


…それこそ、数減らしてからの話なんじゃないかな。


ありのまま自然。それを愛するエルフなら、違う環境からウサギ連れてきた人間の迂闊な行動に怒るだろうね。


「そこらが、エルド君がエルフじゃないって話なるすけどね」


「…とりあえず黙っとけ」


「わざわざ、言いやしませんよ。」


―黙々と作業。


…とりあえずウサギを射るのは飽きました


飽きるほど中るのに、一匹毎に腕が落ちていく気がするのはなぜ?


いや、落ちてる訳じゃないんだけど。


吊して燻してるから無駄にはしてないから大丈夫。


食べるかどうかは別の話だけどね。

でも、猪とか鹿も近場からいなくなって、元々のここらの猟師が廃業に追い込まれちゃ意味がない。


魔物もウサ害の副作用でいないから、冒険者も護衛とかばかりだが、野党みたいのはウサギ発生からほとんどいないらしい。

こんな所でも、影響でるもんなんだね…。


まぁ、ウサギばっかし食べてる人は、肥満に悩まされてるみたいだけどさ。


肉が食えるならそれはそれで幸せだと思うよ?(すでに投げやり)


肉不味で小さいくせに繁殖力が強いって所だけなら似た生き物が居なくはない。


まだ、魔物のゴブリンじゃなかっただけマシだったと考えよう。


「そういや、キットさんってさ…」


「なんすか」


「エルフ研究者なのに、それ以外も詳しいですよね」


「今更じゃねぇすか?」


散々話して何かあった?みたいな顔やめて下さい。

キットさん、痩せこけて茶色い散切り頭に目が悪いから目つき悪いんだよ。


いや、髪の毛は何も悪かないけど、ヒルツさんとか年の離れた人にそうやって見られると、けっこう怖いんだぞ。


「研究するにゃまず勉強出来なきゃ話んなりませんからね。古い文献読み漁りながら今と比較してりゃそりゃ人より物も知るでしょうよ」


「そーなんですか」


「エルフを知りたくて、学者目指したんすけど、今じゃ読める本は読み尽くして、古文書の解読なんかの時間の方が長いんじゃないすかね~」


「…てか、なんで学者さんなのに言葉遣いが三下なんですか」

「…まぁ、普通にも出来ますが、学者ってだけで偉そうな態度するのも問題あると思いませんか」


「いや、人間性みたいで似合わないです」



「ショックだ…」


キットさんオーアールゼット。

着いた手足もクソまみれと、ツキのあるお方のようで?


幼少期にエルフの物語に出会い、どうせなら美人と結婚したと考えて、ならエルフと結婚したいと考えた、孤高の独身貴族に幸あれ。



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