みんなどこへ?
1分後、やっと冷静に(ここでは落ち着いてしゃべることと定義)になったよ。
落ち着いたら馬鹿にしたような眼で
「あたし真顔でそんなこと言われたの初めてだよ。」
何だろうね?こう、哀れむような切ないような眼で見られると泣きたくなってくるね。
俺にはわかる!
同年代の男子にはつらいんだって絶対
「わかった。わかったからそんな眼で見ないでくれ。」
何かをかみ締めたね。俺は
イヒヒって笑顔で
「どうする?なんかみんな帰っちゃってるよ。」
は?
なに言っちゃってるんだこいつは?
こんなに人の話し声がするじゃないか。
ん?
んん?
しない?
俺たち以外の話し声がまったくしない。
恐る恐る扉を開けると・・・
ハイ、誰もいませんでしたー
「あはhrはln」
俺の意味不明な言葉が体育館に響く。むなしい。
「はいはい。日本語でしゃべろうね。」
うそだろ
いつ帰ったんだよ
みんなーーーーーーカムバックーーーーー
時計を見ると用具室に拉致られた時間から約45分過ぎていた。
しかし前向きに考えよ俺!
大丈夫!!
まだ太陽君絶好調
改めて時計を見ると
幸い、まだ1:55
Ok十分
さぁ家に帰ってクーラーつけて有意義に読書でもしよう。
この暑い中わざわざ行方不明になった友人たちを探す必要もないし何より俺には休息が必要なのだ。
うんうんと頷いていると・・・
「なにぶつぶつ言ってるの?」
こいつの存在忘れてた。
「今日のスケジュールを組みなおしてたんだ。うん、じゃあ俺今から帰るのでそーゆー事で
ハイさよーなら。」
回れ右をする俺をアイツが俺の髪を引っ張って止めました。
休息が一刻も早く必要な俺は
「何か御用ですか?」
アイツは笑顔で
「こんなところにレディーを1人にする男がどこにいるの?」
なんて言ってきやがった。
ふっ甘い。そいつぁチョコレート+クリームみたいに甘いな。
(もっとも俺はクリームは嫌いだが。全国のクリーム好きすまん。どうしても好きになれん)
「れでぃー?どこに?」
俺はあたりをキョロキョロ見回した。
どうだっ?参ったか?精神的攻撃、イズミ選手主導権を握ったぁぁ!!
だが・・・
アイツの行動は俺の想像を凌駕していた。
俺の頬を両手で挟んで自分の顔の目の前に持ってきて笑顔で
「ここにいるでしょ。」って言ったよ。
うはぁ負けた。
勝てる気がしねぇ
「じゃあ俺にどうしろと?」
するとアイツは俺の想像を斜め上をドギャンと行く答えを返しやがった。
「とりあえず、君の家に連れてってもらおうか。」
うん、ふざけるなと声を大にして言いたいね。
「なぜ、お前を俺の家に連れってってやらにゃならんのだ?俺にはそんな義務も必要性も否めんのだがな。そこんとこ是非教えても欲しいんですがね。」
するとアイツは
「ヒドイ。あたしの唇奪っといてそんなこと言うんだ」
「なに言ってやがる。そりゃこっちのセリフだぞ。」
なに言ってるかね。
この子は、いよいよ救急車が必要かね?
「とにかく、帰らせてもらう。」
そういって身を翻した。
すると後ろからアイツが抱き付いてきた。
いきなりでボーゼンとしてる俺に耳元でアイツがささやいた。
「連れてかなかったら、犯されたって言ってやる。」
うん、もうワケがわかんないよね。意味不明。なぜに?
あっそうか、脅迫されてるんだ俺。
うん、納得納得・・・じゃねぇぞおい
「なに言ってる。俺はそんなことはしてねぇぞ。」
よしよし
それでいいんだ黒崎 イズミ
よく言った。お前は勇者だ。
「じゃあ、つれてってよ〜」
ううむ、こいつもラスボス並みに強いな
だがっ俺は負けんッ...
しまった。こんなときにきたか・・・
「うぁっ・・・」
俺はうめいた。
そう、持病の頭痛だ。参ったねこりゃ
「ちょっ、大丈夫?」
何だ、心配してんのか?
かわいいところあるじゃねぇか。
「俺のカバンから薬とってくれ。白い袋だ。」
わかったとだけ言うとカバンのほうへすっ飛んでがさごそと探して持ってきた。
あいつはそのままどっかいったかと思うと、自分の水筒と思しきものに水を汲んできてくれた。うれしいじゃねぇかこのヤロォー
しばらくするとだいぶ楽になってきた。
ダメだ。こんな暑い中こんなとこにいると倒れる。
よく見りゃ二人とも汗かきまくってんじゃねぇか。
ちっ、しょうがねぇ。それにもし俺が倒れたときに周りに誰かいた方が生存確率も高くなるだろう。
それに助けられたら断れねぇじゃねぇか。
「しょうがねぇ。お前、家に来るか?」
これが、アイツがはじめて家に来た日だった・・・