黒沢家の家族
家に帰った俺とハルは、すぐに親父に会った。
「帰ったよ。んで、連れてきた」
「ん、イズミその頬はどうした?」
「100人ほどの奴らと喧嘩した。5人ほどヤクザらしきやつらも加わっていたよ」
「そうか、もちろん倒したろうな?」
「65人は・・・後はハルが倒した。」
いや、実際もっと多かったかも知れんが、いちいち数え切れん。
「ハル?遥さんのことか?」
「そうだよ」
「そうか、やはりあいつの娘か。どうかな遥さん、この家は?」
「とっても大きくて気に入りました。」
親父はそうか、そうかといって奥に行こうとした。
「そうそう、お前を襲ったやつらがわかり次第つぶしておく」
そういって、親父は奥に行った。
挨拶などの導入部がないところを見ると、どうやら親父とハルは俺が学校行ったあとに、会っていたらしい。
しまった。
『許婚』のこと聞くの忘れた。
「ハル、そういえばお前の親父さんは?」
「さぁ?黒崎家探索とか?」
といっていたら、兄貴と男の人が歩いてきた。
「おおっイズミ。帰ってたのか?ってお前その頬どうした?」
親父と全く一緒
「それ親父にも聞かれたよ。もう親父から聞いて。でそちらの方は?」
俺の質問には、ハルが答えた。
「あたしのお兄ちゃんだよ」
何だ、こいつも兄貴がいたのかよ。娘しか聞いてなかったがな。
「はじめまして、君がイズミ君だね。僕は、黒沢 隼人だよ」
クロサワ ハヤトね。
「隼人は俺と同じ大学で同じサークルなんだ。」
なるほど、それでか
この人からも、強いという気配?みたいなのが伝わってくる。
ってハルが強いんだから強くて当たり前か
兄貴2人と話したあと俺は、ハルの部屋(予定)に行ってみた。
ハルの部屋(予定)はまだ、ダンボールが多かった。
それから、夕食になるまで俺は、家具なんかを組み立てたりしてやった。
今日の夕食はいつもより豪華だった。
長テーブルの端と端に黒崎家現当主と黒沢家現当主が座った。
夕食の前にハルの父親に挨拶をしておいた。
ハルの父親は、親父よりも若い感じがした。
頬のところに傷があり背も俺よりちょっと高いくらいだった。
「はじめまして、かな?君が小さいときに3回ほどあったんだけどな」
すみません。覚えてないです。
「私の名前は 黒沢 龍之介、よろしくね」
「はい、こちらこそ、よろしくお願いします」
クロサワ リュウノスケの頬をよくみるとその傷は刀傷だった。
いくつか席が空いていたところをみると、まだ家族がいそうだな。
まぁこっちも、行方不明の方がいらっしゃいますけどね。
夕食が終わり酒が入った親父たちに質問してみた。
(龍之介さんは駄目だ。酒でもうべろんべろんだよ)
「なぁ、親父」
「ん、何だ?」
「ハルから聞いたんだけど、『許婚』って何だ?」
親父は、驚いたように
「はは、さてとお前たちを襲ったヤクザどもをつぶすかぁー」
とかいって逃げた。
こりゃなんかあるな。
まぁいい。保留だ。
コンコンとハルの部屋をノックする。
はーいどうぞとハルの声が中から聞こえた。
ハルの部屋に失礼するとまだ荷物の整理の途中だった。
「あっ、イズミちょうどよかった。手伝って」
そういってまた、俺は風呂の時間までハル部屋作りを手伝ってやった。
終わるころには何とか部屋の体裁になっていたから上出来だろう。
風呂は大きいのだが、1つしかないので
まず、母とハルとハルの母親が、入ったようだ。
次に親父が1人で入ったようだ。
その次に兄貴とハルの兄貴、隼人さんと希澄が入ったようだった。
上がった母に、
「龍之介さんと入ってきて」
と言われたので、すっかり酔っ払った龍之介さんに肩を貸して風呂場へと向かった。
俺は、自分の浴衣があるが、龍之介さんの着替えは?と思ったら新品の浴衣がおいてあった。
風呂に入った、龍之介さんは酔いがさめたようで、眼が元に戻っていた。
龍之介さんの体は、傷だらけだった。そのほとんどが武器によって傷つけられたとわかる。
「あ〜やっぱり傷気になる?」
俺の眼が体に向けられていたのに気づいたのだろか
「それだけ傷があれば・・・」
俺は、正直に言った。
「ハハッ、君は、親父さんに似てるね。」
「そうですかね。」
「時澄に聞いたぞ〜、不良100人を倒したんだってね」
驚いた。
親父のやつそんなことまで話してやがったのか
「いや、俺はちょっとですよ。あとはハルが」
「ハル?遥のこと?」
「ええ、そう呼ぶように言われてますけど・・・」
「そーか、そーか。遥にも春が来たかなっー?」
突然笑い出したよ。
今の会話に笑うとこ会った?
「いやいや、なんでもないよ。さっ僕は先に上がるからね。ゆっくりね」
そういって龍之介さんは上がっていった。
俺は、明日のことや宿題のことを考えながら風呂に使った。
きっと、明日は腫れ物扱いされんだろーな。
仕方ないよな。
親父の命令だったんだからさ。
俺は風呂を上がり、自室へと向かった。
部屋に入ると、クーラーをつけて机に1時間向かっていた。
宿題が片付いたので、トレーニングをしているとコンコンと誰かがノックした。
俺はドアを開けると・・・
ノック主はハルだった。
もうこの家の部屋の構造を覚えたのか?
ハルは俺の部屋に入ってきた。
この家では、寝るときに浴衣をたいてい着る。したがってハルも浴衣姿だった。
ほぅ、なかなか似合ってるじゃないか。
「でもいいよねぇ。旅館じゃなくても浴衣が着られるなんて」
「黒崎家の習慣みたいなもんだ。」
「ねぇ、イズミちょっとベランダに出よーよ。寒すぎない?ここ」
しょうがない。
俺はベランダへと続く窓を開けた。
ベランダは俺の部屋からしか入れないので、俺しか入らない。
少し小さいが、二人入るには十分すぎるほどだった。
外はわりと涼しい風が俺たちに吹いた。
「ねぇ、今日たった1日だったのに、たくさんのことがあったね。」
「そーだな、おかげで俺は、すげぇ疲れた」
「フフッあたしは、結構楽しかったけどな。」
そりゃよかったな。まぁ確かに俺も少しは楽しかったがな。
「じゃ、明日も学校だからもう寝るね。」
「ああ、早く寝・・・ん」
またハルに口をふさがれていた。
あいつも眼を閉じたいたので、俺も眼を閉じてやった。
しばらくしてあいつが唇を離した。
「今度はイズミからしてね。」
それだけ言うとハルは、帰っていった。
独りになったベランダで絶対にしねーよと思いながら部屋に入って寝た。
疲れてたのかすぐに寝ることができた。