0.プロローグ
はじめまして。
僕はごく平凡な高校生。
今日も今日とて朝の気だるい思考を働かせながら学校へ自転車を走らせています。
趣味は読書(ラノベ)と漫画、あとはアニメもちょっと観ます。まあよくいるちょっとオタクよりの一般人です。
特技は死なないことです。
……いや、ほんと自分でも何言ってるかわからなくなることもあるけど死なないらしいです。
道端で転んで擦りむいたりとかの小さな怪我から超高層ビルから飛び降りてホットケーキみたいにぺちゃんこになるぐらいの重体まで、僕の体はそれら全てを一瞬で完治させる力が備わってるらしい。
ちなみに不老不死とはちょっと違うらしいです。ほかの人たちと同じように歳はとるのだとか。
まあこれぐらいが今のところの僕の自己紹介といったとこでしょうか。
「おっと」
赤信号だ。
危うく車に轢かれて死ぬところだった。
『ちょっと! 今のはいい感じに事故ってあなたの不死性を明らかにすべきでしょう!』
「いや、事故とか痛いし。怪我しないからってわざわざ無駄に車と勝負する気ないですし」
それに事故とかしたら怪我以外も面倒でしょ。警察読んだりその他諸々。
『そこで当たり屋的な感じで慰謝料と治療費ふんだくるのが不死の有効な使い道というものでしょ』
とかなんとか言ってるのが天子。自称天使らしい。自称天使が当たり屋という職業を推薦してくるのはどうかと思うが……。
そんな天子は美しいブロンドヘアーに透き通るような青い眼。ゆったりとした純白の天使衣装に身を包み、そこから延びる手足は触れるのも躊躇うぐらいの輝きを保っている。見た目の年齢は自分より少し年下、中学生ぐらいかと思える背丈と顔立ちで、その服の形状からはっきりとはわからないものの胸部のふくらみとか腰回りとか、僕の予想では他の同世代の子より発育はいい方ではないかと思う。
というのが僕の予想する天子象だ。
実際はただの声でしかない。
耳から聞こえるわけじゃなくてなんか両耳ちょうど中間で音が勝手に発生してる感じ。骨電動みたいな。
『神聖な天からの声を骨電動とか安っぽく比喩しないでくれる』
呆れ声で語りかけてくる天子。
なかなか僕の理想通りに人間味あふれてきた。当時は猫かぶってたのかなかなかとっつきにくかったというのに。
『おかげさまでね』
さて、そろそろ僕の不死についてはどうでもよくなって声だけの天子象をそれぞれ妄想してくれてる人もいるかと思います。
ではこの辺で僕の物語は終わることとしましょう。
そしていつも通り僕は学校に……
『それは1か月前のことだった』