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俺の日常に蠢く影を俺は知らない

 

 私には好きな人がいる。

 風に揺れる艶やかな黒髪に涼やかな瞳、女の子のような白くさらさらの肌、少し幼さの残る、お伽噺から飛び出してきたような整った顔立ち。おまけに成績も学年トップで、運動も出来る。抗いようもなく惹かれてしまうミステリアスな雰囲気を醸し出す、夜闇を照らす月の光のような人、桜緋 維月くんだ。

 彼の微笑みで一発で心臓を撃ち抜かれた私は、それ以来ずっと彼を視線で追い続けていた。彼は私の視線に一度も気付いてくれない。もう秘めたる想いを抑えきれなくなったので、今日こそ彼に告白しようと思う。


 放課後、鞄を持って教室を出た彼に声をかけようと後をつけると、なにか黒い影を視界の端に捉えた。


「……だ、誰」


 立ち止まって辺りを見回しても誰もいない。

 そうだ、そんなことにかまけている暇はなかった。

 私は彼を追うために視線を戻すと、そこにはよく知る女子生徒が立っていた。

 艶やかで美しい茶髪に、雪のような白い肌。泣きぼくろが大人びた印象を持たせる、神に愛された美少女。誰にでも分け隔てなく優しく、男子には女神のように扱われている。

 私のクラスメイトにして、学園三大美少女の一人、姫川 夕日。


 姫川さんはいつもの聖母のような微笑みを浮かべている。

 美しい。女の私でも思わず見惚れてしまう。


 私が横を通りすぎようとすると、姫川さんはその女神のような笑顔のまま横に移動して進路を塞いできた。

 私は驚いて姫川さんの顔を見上げると、微動だにしていない女神のような笑顔がそこにあった。私はその笑顔になんだか不気味さを感じた。


「わ、わたっ……私、これからとても大事な用事があるので!」


 恐怖を感じた私は精一杯の勇気を振り絞り、姫川さんの横を走り抜けた。

 桜緋くんの姿を見失った。探さなければ。


「そうですか」


 後ろから美しい慈愛の女神のような声が聞こえてきたが、それに恐怖を感じた私は意識して気にせずに桜緋くんの歩いていった方へ走る。


 桜緋くんを探して数分廊下を走っていると、蛍光灯が点滅しだした。

 不気味に思い、私の足が遅くなる。


 キィィィィ


 黒板を引っ掻いたような不協和音が響き渡った。

 流石に怖くなり、私の足が止まる。

 気配を感じて首と目だけで振り返るが、誰もいない。

 顔を戻すと、点滅する蛍光灯の下で最初からそこにいたように、白い仮面をつけた女がゆらりと立っていた。明るい茶髪がだらりと垂れている。

 その瞬間、私の視界が真っ黒になった。


「んなっ!なに!いやぁ!!」


 私はパニックになって暴れたが、その瞬間首に衝撃を感じ、意識を失った。


 意識が戻り目を開けても視界は真っ黒だった。

 なにかを被せられているようだ。

 見えてはないけどなにか、多分椅子に座っている。手も後ろで縛られてる。


「ふふふふふ」


「うふふ」


「ひひひ」


 いろんな方向から不気味な笑い声が聞こえてきた。

 私は恐ろしさのあまりカタカタ震えている。

 誰か、助けて……!


「震えてしまって可哀想に」


 変声機を使っているのか、不気味な声が聞こえていた。

 依然笑い声は続いており、そんな中での唯一意味のある日本語であるこの声が、なにも見えずに縛られてガタガタ震えている私の生命線だった。

 その声は告げる。


「真田 桜さん。あなたには2つの選択肢がある。我々の仲間になるか、我々を敵に回すか」


 私に選択肢なんてなかった。



 ★☆★☆



「最近思うんだよ、維月」


「なんだい?」


「彼女がほしい」


「同感だ」


 昼休み。

 珍しく田中と意見が合った。お互いモテないのは一緒だしな。

 田中というのは前の席に座っている男子だ。

 この席になってからはまあまあ話すようになった。


 俺の名前は桜緋 維月。

 これといって取り柄のない地味な陰キャだ。


「田中は好きな人はいないのか?」


「いるぜ。氷条様だ」


「……あの『ブリザードクイーン』か……望み0だな」


 氷条 琥珀。

 学園三大美少女の一人。

『ブリザードクイーン』の異名を持ち、かなりきつい性格らしい。


「氷条様こそ理想の彼女……。ああ、踏まれたい」


「お、おう」


 俺は目をそっと逸らした。

 付き合えるといいな、じゃがいもみたいな顔だしドMの変態だけど……。


「維月は好きな人……いたな」


「ああ。今日も可愛いなぁ、姫川さん」


 寝顔も最高だ、姫川さん。

 明るい茶髪が重力に従順に机から垂れている。


「むにゃむにゃ……いけませんおうひくん……みんなみてます……」


 姫川 夕日。

 その聖母のごとき微笑みに骨抜きにされた人は数知れず。

 明るい茶髪に色っぽい泣きぼくろがトレードマーク。

 学園三大美少女の一人。

 俺のクラスメイトにして、憧れの人だ。


「決めた」


「ん?なんだ」


 田中が突如机に手をつき立ち上がる。


「俺は今から、氷条様に告白しにいく!」


「おい、正気か……」


 この田中の宣言はクラス中の男子の注目を浴び、誰もが慄いている。


「が、頑張れよ!応援してるからな!勇者よ!」


「……アーメン」


「生きて帰ってこいよ……」


 教室はお通夜のような雰囲気だが気づいてないのか、田中はまるでイケメンのようなキメ顔で堂々と歩き教室の扉を開ける。


「ふっ、今日からリア充か……維月もついてきてくれ」


「お、おう」


 こいつ、告白成功するの前提なのか。


 俺は田中の後を追った。

 階段を上り上級生の階を歩いていると、屈強な肉体の男子が三人、腕を組んで立っているのを発見した。

 その奥には丸いテーブルがあり、お洒落な椅子に腰かけて誰かが優雅にカップを口につけてなにかを飲んでいる。

 その人物がなにげなくこちらを向いてきて、目が合った。冷たい雰囲気の黒髪の超絶美少女だった。


 その人物は「はわっ」という顔をしてカップをテーブルに落とした。

 残りは少なかったみたいだけど、少量の紅茶らしき液体がテーブルにこぼれる。

 それを、屈強な肉体の男子のうちの一人がハンカチで拭く。


 もしかしてあの人……

 田中は違う方向を見ているので田中に教えようとすると、田中が曲がり角の方を指差してなにかを言ってきた。


「あれって姫川さんじゃね?どうしてこんなところに」


「え、まじ!?」


 あ、本当だ!

 今隠れたけど、一瞬見えた茶髪は間違いなく姫川さんのだ。

 どうしてこんなとこにいるんだろう。

 俺がじーっと姫川さんの隠れた角を見ていると、妙にカクカクした動きで姫川さんが出てきた。


「あ、あら、ぐ、偶然」


 きゃー!!姫川さんが話しかけてくれたー!!

 なにか話さなければ……


「えーと、えーと、いい天気ですね!」


「そ、そうですね!雲が多くてとてもいい天気!」


 ………。

 ど、どうしよう。

 話題を、次の話題を見つけねば。


 ぺちゃ


 なにかが姫川さんの足元に落ちた。

 見ると使いきりタイプのケチャップの袋だった。

 姫川さんは慌ててそれを拾った。


「ケチャップ好きなんですか?」


「え、ええ。好きなんですよ、ケチャップ」


 やばい、俺姫川さんと会話してる……

 こんな日が来るなんて……


「むんっ」


「マッスル!」


「………」


「くっ、会長……」


 な、なんだ!?


 突然屈強な肉体の男達三人に姫川さんと分断された。

 ちょっと、せっかく姫川さんと話してたのに……。


 そしてその屈強な男達と俺達の間に、先程の黒髪美少女が優雅に現れた。

 間近で見る氷のような美貌に息をのむ。


「ご………ごきげんよう」


「ひょ、氷条様!?」


 田中がすっとんきょうな声をあげた。

 やっぱり、この人が氷条先輩か。


「ま、ま、まじか!氷条様が直々に声をかけてくれるなんて!」


 田中が興奮しすぎて舌を犬みたいにぶらんぶらんさせている。キモい。

 話しかけられただけでそんなんで、告白なんか出来るのか?


「ひょ、ひょ……氷条 琥珀、と、申します」


 氷条先輩が自己紹介した。

 あれ?あんまり怖くないぞ。

『ブリザードクイーン』とか大層な異名あるし、すごい恐ろしいイメージだったけど、そんなことはなかった。


「お、お、俺はたな」


「黙りなさい、豚」


「あふんっ」


 前言撤回、めっちゃ怖かった。

 急に視線と声が氷点下になった、めっちゃ怖い。

 しかし田中は怖がるどころか、氷条先輩の氷点下の視線でくねくね悶えている。キモい。

 氷条先輩がこっちを見たので、一応俺も自己紹介する。


「桜緋 維月です」


「よよ、よろ、よろしくお願いします、桜緋君」


 どうやら冷たいのは田中にだけのようだ。こいつキモいしな。

 変態以外には案外優しいのかもしれない。

 それにしても氷条先輩、整った顔してるなぁ。

 と、あまりじろじろ見ていたせいか、氷条先輩が真っ赤になっている。

 やばい、不快だったかな。


「……あの、氷条先輩?」


「ひ、ひゃい!」


「顔が赤いですが……」


「お、おお、お気になさらず!」


 氷条先輩は顔の前でぶんぶんと手を振る。


「あのあのあの!前から氷条様のことがす」


「這いつくばりなさい、豚」


「ありがとうございますぅ」


 今田中、告白してなかった!?

 恍惚の表情で這いつくばってるけど、それでいいのか田中!?

 氷条先輩は一瞬で田中から視線を外し、


「あ、あ、握手をし、しても、よろしいでしょうか」


 俺に手を差し出してきた。


「え、ええ。もちろん」


 顔が、噴火でもしそうなくらいに赤くなってる。

 田中があまりにキモいから怒ってるのか。

 これ以上怒らせないようにしなければ。


「ふわあああぁぁぁ」


 握手をすると、奇妙な声と共に氷条先輩がふらついた。眠いのかな。


「あの!俺もあく」


「酸素がもったいないから呼吸をやめなさい、豚」


「はひぃ」


 田中に死刑宣告。至福の表情してるけど、ほんとにそれでいいのか田中……。


「手……あた、あたたたたたかいですね」


 田中に激怒している氷条先輩が真っ赤な顔で手をきつく握りしめてくる。


 女の人に免疫などなく、しかもこんな絶世の美少女相手に恥ずかしくなった俺は手をひっこめようとしたが、氷条先輩が離さないので、前につんのめってきた。


 俺は氷条先輩を受けとめ、彼女と抱き合う形となった。

 あ、いい匂い。


「す、すいません」


「あわわわわわわわわわわわ」



 ★☆★☆




 私はNo.23。

 桜緋様を影から見守る者。


「……な……なんて、こと」


 その時、私はとんでもないものを見てしまった。

 なんと、会長が桜緋様に抱きついたのだ。

 私は目を疑った。

 真っ昼間から堂々と、奴は犯行に及んだのだ。

 奴の、幸せそうに緩みまくった顔を見ると、腸が煮えくり返ってくる。

 親衛隊に阻まれて近づけないNo.2も、驚愕の表情。


 ……クーデターだ。クーデターしかない。


「未来ちゃん、未来ちゃん」


「………なに」


 誰だ、緊急事態なのだ。

 さっさと要件を言え。


「今朝渡したラブレター、読んでくれた?」


「?……ああ、うん」


 その残骸なら今、教室のゴミ箱にある。

 たったそれだけの要件で私を呼び止めたのか。


「へ、返事を……きかせ」


「ごめんなさい無理ですさようなら」


 そんなことより、クーデターだ。

 私は真っ白になって崩れ落ちた名も知れぬ男子を踏み越え、奴のもとへ向かう。


「むんっ」


 ちっ、親衛隊か。

 名高き氷条親衛隊は、校内屈指の強者揃い。その気迫は他を圧倒する。

 だが、そんなもので私の怒りを止められると思うな。

 パワーでは向こうに分があるが、スピードでは私が上。

 三人のうち二人はNo.2の動きを抑えるため動けない。

 つまりこの筋肉野郎さえ突破すれば私を止める者はいない。

 筋肉野郎の向こうではいまだ桜緋様に会長が抱きついている。おのれ……死ねぇ!


「はぁっ!」


「むんっ」


 私は加速し筋肉野郎に掌底を叩き込むが、厚い筋肉に阻まれる。

 くっ、鉄壁か……。

 ならば。


「ほっ」


「むんっ!?」


 私は床を蹴り、壁を蹴り、天井を蹴り、筋肉野郎を跳び越えた。私のツインテールが残像のように軌跡を残す。

 そして再び加速しだしたところで、


「きゃっ」


 しまった。

 後ろから足をひっかけられたっ。

 筋肉野郎が一矢報いたような顔をしてスライディングしているのが視界の隅で見えた。


 しかし走った勢いは止められず、私の体は前へ飛んでいく。

 その先には……。


 お、おお、桜緋様……♡


「ぐえっ」


 頭から突っ込む私を、桜緋様はとても素敵な声で迎えてくださった。

 そして私が背中に突っ込んだお陰で、桜緋様を挟んで向こう側の会長が弾き飛ばされた。


 ……ふふ、ざまぁ見ろ会長。

 はぁ、桜緋様の匂い♡

 あぁ、時が止まってしまえばいいのに。


 あ、No.2と会長がこちらを睨んでる。

 このままでは、私が消されかねない。

 今離れたら大丈夫だ、これはあの筋肉野郎のせい。事故なのだ。弁明の余地はある。ナイス筋肉野郎。


 私は歯を食いしばり、溢れだす己の欲望をぐっと抑えながら、桜緋様から離れた。


 ……駄目だ。

 このままでは、また抱きついてしまう。


「くっ」


 私は必死に、桜緋様へ引き寄せられる己の体を動かし、その場を去った。




 ★☆★☆




 いきなり背中から頭突きされて逃げられたんだけど。

 俺そんな恨まれることしたかな!?

 振り返って犯人を見るが、知らないツインテールの女子だ。

 いや誰!?


 衝撃で弾かれた氷条先輩が尻もちをついている。


「くっ、やりましたねNo.23」


 悔しそうに桜色の唇を噛んでいる。

 俺悪くないよね、悪いのはあのツインテールだよね、だから俺のことは許してください。

 そんな思いを込めて俺は氷条先輩に手をさし出し、氷条先輩も俺の手を掴もうと手を伸ばすが、


「はぁはぁ、氷条様……」


 田中が床に這いつくばりながらトカゲのようにウニョウニョ動き、氷条先輩に迫る。非常にキモい。


「っ……ち、近寄らないでっ、私がいつ呼吸を許したのかしら、ウジ虫!」


 氷条先輩は本気で気持ち悪すぎて鳥肌がたったような顔をし、田中の顔面を思いきり蹴りとばした。

 田中は数メートルふき飛び、気持ち良さそうに気絶した。それでいいのか田中……。

 キモいのは田中であって俺じゃないから俺のことは許してください、という思いを込めて出来るだけ優しい笑顔で再び氷条先輩に手を差し出す。


「お怪我はないですか?」


「……ひゃい」


 氷条先輩はぼーっとした感じで俺の手を取る。

 俺がその手をある程度勢いをつけて引くと、氷条先輩は尻もちをついている状態から立ちあがり、至近距離から見つめあう形になった。

 まつ毛なが。


「痛い!」


 声がしたので、はっとそちらを見ると氷条先輩の取り巻きの屈強な男子の前で姫川さんが倒れていた。

 顔を上げた姫川さんと目が合った。

 その瞳はうるうると潤んでいた。

 姫川さんが口許を拭う。

 その口の端からは、赤い液体が一筋。


「乱暴……しないでください……」


 姫川さんが目元を拭う。

 その目の端から透明な液体が一筋。

 姫川さんはそれらを弱々しくハンカチで拭った。


 許せない!


「お前!姫川さんになんてことを!」


 俺は姫川さんの前に佇む屈強な男子の胸ぐらを掴みかかった。

 屈強な男子は困惑したような顔をしている。


「なんて狡猾な……」


 後ろで氷条先輩がなにか言っているが、今はそれどころではない。

 俺は屈強な男子から手を離し、しゃがんで姫川さんに視線を合わせた。


「大丈夫ですか姫川さん!」


「だ、大丈夫です……」


 姫川さんは一瞬、口の端がつり上がっていた気がしたが、顔を上げてこちらを見てくる表情はとても儚かった。


「保健室に運びます!」


「ありがとうございます……桜緋くん……」


 俺は姫川さんをお姫様抱っこした。

 姫川さんは俺の首に白く滑らかな両腕を回して潤んだ瞳で見上げてくる。

 可愛すぎる!

 もう死んでもいい!


「騙されな」


「行ってきます!」


 氷条先輩がこちらに手を伸ばしてなにかを言いかけていたが、俺は急いでいるので姫川さんを抱えて保健室へ走った。

 姫川さんは潤んだ瞳でずっと俺を見ていた。

 心臓爆発しそう。


「止まれぇぇ!!」


 もう少しで保健室に着きそうだったが、目の前に10人くらいの男子達が腕を組んで立っていて、廊下を塞いでいた。

 姫川さんを見ると、能面のような無表情でその集団を見ている。


 この集団を避けて迂回しようかと後ろを見ると、今通ったときはいなかったはずなのに、いつの間にかばらばらの位置に女の子が3人いた。

 一人は茶髪のボブカットの子で、壁に背をもたれながらクールに本を読んでいるみたいだが、本の上下が逆だ。前髪で目元は影になっていてどんな表情なのか見えない。

 一人は制服を着崩した金髪のギャルっぽい子で、片方の手を腰にやって、冷たい目でこちらを見ている。俺と目が合ったら目が泳いでぷいっと首を横に向けた。

 一人は制服の上にフード付きのパーカーを着た黒髪のサイドポニーの子で、パーカーのポケットに手を突っ込みながらボブカットの子とは反対側の壁にもたれ掛かっており、ぷくーっと口から風船ガムを膨らませている。


「桜緋くん、ありがとうございました……もう大丈夫です」


 姫川さんを見ると、苦虫を噛み潰したような顔をしていた。

 そんなに痛むのかな。


「姫川様を下ろせぇぇ!」


「姫川様を解放しろ!」


「姫川様に触れるな!」


 男達が口々に怒鳴ってくる。

 姫川さんをそっと下ろして立たせると、潤んだ瞳で至近距離から見つめられ、「ありがとうございました」と言って3人の女子達がいる方へ歩いていき、角を曲がって姿を消した。

 あれ、保健室は?


「姫川様はみんなのものだ!」


「抜け駆けは許さない!」


「姫川様に近付くな!」


 男達は俺に口々に言ってどこかに行った。

 3人の女の子も目を離した隙にいつの間にか忽然と消えていた。

 ………なんだったんだ?








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