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トレース・ファンタジー  作者: 青の剣士
第1章 俺は異世界にはお呼びじゃ無いらしいです
26/40

勇人、家を買う……?

感想を送ってくださる読者の方々、有難うございます。

自分が書いている作品の良い点や悪い点など、今後の作品の参考にするべき事が多く書かれていて、とても嬉しく思います。


これからも皆様と一緒に、この作品をより良くしていけたら良いなと思います。

今後ともよろしくお願いします。

「で、これからどうするのじゃ?」


「早速クエストをやろう––––––と言いたい所だけど、先に用事を済ませてもいいか?」


「用事?」


「すぐ終わらせるから」


「???」


シグレは首を傾げていたが、黙って俺について来てくれた。

そうして歩き続けて5分程、目的地に到着した。


「こんな今にも潰れそうな一軒家に何の用なのじゃ?」


「ば、お前、そんなこと言っちゃダメだろ!たとえここが誰の目にも止まらない様な所にあって殺風景な見た目してて、尚且つ儲かって無さそうでも良いなんだから!」


そう言いながら、俺は店の扉をゆっくりと開ける。


「ネフトさん、いますか?」


「よぉユウト。元気そうじゃねぇか」


店に入ると、店主であるネフトさんが迎えてくれた。


「元気そうなのは良いが、お前人様の店の前でよくあんな事言えるな?」


「え?」


「やれ"殺風景"だの"儲かって無い"だの言ってただろ」


あれ、聞こえてたのか!?


「一度お前にはこの店の良さを一から教えておかないといけないみたいだな?」


「そ、それよりも、今日はお願いがあって来たんですが」


ネフトさんの後ろからドス黒いオーラが出ていたので、慌てて話題を変えた。

ティアといいネフトさんといい、あんな怖いオーラよく出せるよな……危うくちびりそうになったわ。


「おいユウト、こやつは誰なのじゃ?」


「あぁ、紹介がまだだったな。この人はこの店の店長で、凄腕鍛治師のネフトさん。ネフトさん、こいつはこの前の事件で攫われた本人の–––––」


「あぁ、俺は知ってるよ。ギルドマスターの娘さんだろ?」


ネフトさんはシグレの事を既に知っていたみたいだ。


「やっぱあの時攫われたのはシグレ嬢だったのか……」


「というと?」


「いや、グリードの奴は、攫われたのは"幼女・・"だったって言ってただろ?今のギルドマスターのコガラシさんはどう見ても幼女って見た目じゃ無いからな。多分シグレ嬢だと思ったんだよ」


って事は、グリードあいつもシグレの事をギルドマスターだと思ってたって事か。


「まぁとにかく、シグレ嬢が無事で何よりだ。感謝するぜ、ユウト」


「ユウトなら当然じゃ!」


「だから、なんでお前が威張ってんだよ……」


シグレを救ったのは、俺であって俺じゃ無い・・・・・・・・・・。それなのに俺が感謝される事に、少し罪悪感を覚えてしまう。

胸の内に渦巻く感情を悟られない様に、俺は話しかける。


「それで、ネフトさんに頼みがあるんですが」


「まぁ、お前の頼みを一つ聞くって約束してたからな。できる事なら何でもやってやるよ」


「実は俺達の家が欲しくてですね?この前緊急クエストの報酬をかなり貰ったので、それで買えないかなと思いまして」


「家か……ちなみに予算はどの位だ?」


「50万です」


「50万か………まぁ無理だな……」


マジか……50万じゃ足りなかったか。

元の世界で一軒家建てる時に必要な金額すら分からなかったから、家一つの相場とかさっぱりだわ。


「普通一軒家って言うのは、賃貸なら500万、新築なら安くて1500万位はかかる。冒険者になりたての奴が買える代物じゃねぇな」


そうだったのか……というか、桁一つ二つ違うしな。他の人なら「何言ってんだこいつ」とか思われてたのかもな……

ネフトさんの優しさを実感したのだった。


「まぁ、家が欲しければもっと頑張れって事だな。どこか格安の物件でも探して見つかり次第キープしといてやるから、そんな落ち込むなって」


「はい……」


夢のマイホームへの道のりはまだまだの様だ。


「そういや、ティアの嬢ちゃんはどうしたんだ?」


「ティアならたった今城に呼ばれて騎士と一緒に向かいました。 俺はお呼びじゃ無いらしく同行を拒否されて今に至ります」


「あ〜、確かに今、この街は嬢ちゃんの噂で持ちきりだからな。何でも攫われたシグレ嬢を一人で救って、更に突如現れた森のヌシまで倒したらしいじゃねぇか。皇女殿下が興味を持つのも無理は無いか」


「違うのじゃ!確かにティアも妾を救ってくれたが、実際にヌシを倒したのはユウトなのじゃ!」


シグレが必死に否定していた。俺の手柄にしたい訳じゃないし、そこまで強く否定しなくても良いんだが……


「まぁ、俺もその噂を全部信じてる訳じゃねぇよ。大方討伐まではいかないが、二人がかりで撃退でもしたんだろ。それでも大したもんだと思うぜ?」


「だから違うと言うておろうが!ユウトが、一人で、倒したのじゃ!」


「ガッハッハッ!!シグレ嬢も冗談なんて言うんだな。冒険者になりたての奴が、Bランクパーティーでも倒すのが難しいと言われてる森のヌシを単独で倒せる訳ないだろ?冗談ならもう少しまともな物を言った方がいいぞ?」


え!?森のヌシってそんなに強い奴だったの?そんな奴を一人で倒すなんて、ルナってどんだけ強いんだよ……


「こんのクソじじいめ……おい、ユウト!お前からも何とか言わんか!!」


「言うも何も、あれは俺がやった訳じゃないしな……」


「な……お主、何を言って––––」


反論しようとするシグレの耳元に口を近づけ、小声で話す。


「本当の事は後で説明するから、あまりムキになるな」


俺の言葉を聞き、シグレは何とか落ち着きを取り戻した様だ。まぁ、まだ納得はいってないみたいだが。


「済まぬ……少々熱くなりすぎた様じゃ……」


「お、おう……まぁ、今回の件でお前が動いてくれて助かったぜ。ありがとな」


「えぇ。また何かあったら呼んでください。出来れば今度はギルドの方を通して貰えると有り難いですが……」


流石に何度もタダ働き同然の依頼は御免だ。

こういった、正規のルートを通らない依頼はこれっきりにしたい。


「勿論だ。お前らが信用に足る人物だと分かったからな。何かあったらじゃんじゃん頼ってやるからな?」


「えぇ、任せて下さい」


そう言って俺はネフトさんの店を出たのだった。


––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––


店を出た後、俺達はクエストを受けるべくギルドに向かっていた。

さっきからシグレの機嫌が見るからに悪いんだが、こういう時ってどうしたらいいんだ?


「な、なぁシグレ?」


「……あぁ?」


シグレさん、それ年頃の乙女が出しちゃいけない類の声だから。路地裏を拠点にしてる不良みたいな声出しちゃってるから。


「あの……怒ってます?」


「これを見て怒ってる様に見えないのなら、腕のいい医者を紹介してやるが?」


「大丈夫です、どこにも異常は無いみたいなので」


やべぇ、シグレって怒ると不良化するんだな……初めて知ったわ。


「全く、何であそこで男らしく言い返さんのじゃ……」


「詳しい事はギルドで話すから、とりあえずそれまでは機嫌直してくれないか?」


「…………はぁ、まぁ良い。その代わり、妾に隠し事はするで無いぞ?」


「あぁ、分かった」


こうして何とか機嫌を直してくれたシグレと一緒に、俺達はギルドへと足を踏み入れたのだった。

この作品を評価して下さる方もいて、本当に嬉しく思います。有難うございます。


ユニークアクセスも3000を超え、ブックマークもいよいよ70に届きそうな所まで来ました。


目指せブックマーク100!!なんちゃって……

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