対等な関係
ブックマーク、50件から中々増えないですね……
それでもめげずに頑張ります!
戦闘シーンの表現が稚拙なのは勘弁……これから上手く書けるよう努力していくつもりですので。
意見、感想はどんどん募集してます。
最近忙しくなり、投稿出来ない日が続くかもしれませんが、今後ともよろしくお願いします。
「はぁぁぁ!!」
俺は渾身の一撃をユサムに叩き込んだ。
「ぐおっ!!」
しかし寸前の所でユサムが手にした剣に阻まれる。
「うおおぉぉ!!」
「どこにこんな力が……!?」
反応が遅れたユサムの隙をついて、俺は更に攻撃を重ねる。
「鳴神流二連撃『ニ刃"十字"』!!」
横に剣を一閃した後、下から上に斬り上げる。二撃目で相手の剣を跳ね上げることに成功する。
「んぐっ!!」
「終わりだ!!」
態勢を大きく崩したユサムに一撃を叩き込む、その瞬間、ユサムの口に笑みが浮かんだ様な気がした。
「止めをさす直前が一番隙が大きいと言うのを知らないのか?」
「な––––」
一撃を叩き込もうとしていた俺の横腹目掛けて、炎の玉が飛んできた。
な!?まさかこいつ、無詠唱!?
「ごほっ!!」
炎の玉が直撃し、大きく吹き飛ばされる。
「いつ、誰が、魔法は詠唱しないと出せないと言った?」
これはマジでやばい!さっき負傷した所を狙われた!
遅れて凄まじい程の痛みが俺を襲った。
意識が遠のいていく。耳にはティアの叫び声だけが聞こえていた。
そして俺は意識を暗闇へと手放した。
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私の目の前で、ユウトさんが魔法で吹き飛ばされた。
心のどこかで私は期待していたのかもしれない。
彼ならやってくれると。彼ならどんな強敵にも勝つ事が出来るのだと。
実際そうだった。私が奴隷商に連れられ馬車の荷台に乗っていた時は無傷で私を救い出し、緊急クエストの時は、誰もが恐怖から動けなくなる中一人歩みを止めず、強化された魔物やそれを操る魔族に立ち向かった。
そうして困難を乗り越えてきたのだから今回もきっとそうなのだと信じていた。
でも実際は違った。ユサムと名乗る騎士に正面から挑み、敗北したのだ。彼は脇腹から大量の血を流し、気を失っている。
彼は万能なんかじゃない。私と同じ一人の人間なんだと、この時初めて自覚した。それと同時に、彼と初めて会った日の夜に彼が言っていた言葉を思い出した。
"俺は君と対等な関係でいたいと思ってる"
"もし君が付いてきたとしたら俺が君の足手まといになってしまうんだよ"
そうだ。彼は何度も言っていたじゃないか。自分は弱いと。対等な関係でいたいと。そんな弱い自分を認めながら、それでも守ろうと必死に努力し続けていたんだ。
そんな事も理解せずに、私は勝手に彼に理想を押し付けた。
"きっと彼なら私を救ってくれる"
"彼ならどんなに強い相手にも勝てる"
もしかしたら彼は、ずっと一人で悩んでいたのかもしれない。自分に実力が無い事を理解しながら、その中で私という存在を守らなくてはならないと言う現状に。
そこまで彼を追い込んだのは、私が彼に甘えてしまったからだ。理想を押し付けたからだ。
対等な関係を望んだ私が、一番彼を対等な関係として見ていなかったなんて……!
今度は私が彼を守らなくてはいけない。彼のピンチを私が救う番だ!
彼への––––ユウトへの恩を返す時だ。
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「危なかったな……まさかあいつがここまでの力を持っているとは……油断した……」
ユサムはユウトの攻撃で、かなりの体力を消耗したみたいだ。
幸い私には気づいていない。
私は気配を断ち、彼の背後へと回りこむ。
そこから最速で必殺の一撃を喰らわせる為の構えをとる。
『神速』ユウトの技を見て真似たものだ。
あの洞窟で見て以来、私が一番気に入っていて尚且つ一番信頼している技でもある。
私の場合、2対の短剣を用いて繰り出すため、ユウトとは若干だが威力が違っている。
ユウトのは、一撃の重みを意識し、相手を縦に両断する勢いで剣を振り下ろすことで、速度よりも力を重視した技になっている。
しかし私の場合、力よりも速度を重視し、突撃した時に短剣を前に突き出す様に放っている為、殺傷能力が向上しているのだという。切断と言うよりは貫通と言った方が正しいかもしれない。
その為、人への『神速』の使用は、ユウトから禁止されていたが、今の敵は緊急クエスト時のトカゲは余裕で超える力を持った実力者だ。更に、手も足も出ないときた。
これなら使っても良いだろう。と言うか使わないと勝ち目が無い。
力を溜め、一気に地面を蹴る。
シュバッッッ!!!
風を切る音を聞きながらユサムの元へと駆ける。
驚くべき反射神経でこちらの接近に気付いたらしいが、それでも遅い。
そのまま短剣を突き出した。
ガンッッ!!
鈍い金属音がした。風によってローブが飛ばされる。その下には、城の騎士特有の鎧があった。
しかし、衝撃は殺せなかったらしくその勢いのままユサムは吹き飛ばされ、離れた位置にある木へとぶつかった。
「ガッッ!!」
殺す事は出来なかったが、かなりのダメージを与える事は出来たはずだ。
「……やはりお前は…面白い。」
ユサムはよろけながら立ち上がる。すると、森の入り口の方から数名の冒険者が走ってやってきた。
「おぉ〜!あんたがネフトさんが依頼したっていう冒険者か!話は聞いてるぜ?さっさとそいつを倒して、ギルドマスターを取り返そうぜ」
どうやら援軍みたいだ。その内の一人がユサムへと斬りかかる。駆け引きも無い、ただ相手を斬るという行為。
もちろんそんな攻撃がユサムに通じるはずが無い。簡単に避けられそのまま斬られてしまう。
「ぐはっ!!」
「くそっ!よくもやってくれたな」
「数でかかれば押し切れる!」
「俺も行くぜ!」
1人が特攻したのをキッカケに、残りの冒険者が一斉に襲いかかる。
「雑魚は引っ込んでいろ」
3人がかりでの攻撃をいとも簡単に回避し、それぞれを剣で斬りつける。
「「「ぐあっっ!!」」」
そのまま彼らは地面に倒れてしまった。
「全く、最近の冒険者はこんな奴しかいないのか?これならユウトとかいう異世界人の方がはるかにマシだな……」
「シッ!!」
ユサムに向かって突撃し、短剣による一撃を喰らわせようとする。
しかし、それも難なく受け止められてしまった。
「どうした、動きが単調になってきてるぞ?」
「うるさい、黙れ!!」
さらなる一撃を加えようとした時、森に魔物の咆哮が木霊した。
「ん?」「な、なに!?」
私は戦闘中であるにも関わらず、取り乱してしまう。
「これはマズイな……一旦休戦としようか」
「いきなり何を!?」
「嫌な気配がする。多分この森のヌシが来るんだろう」
ヌシ?そんなのがこの森にいるの?
「とりあえず、君は逃げた方が良い。ギルドマスターも連れて行ってくれて構わない」
「え!?どうして……」
「皇帝陛下からの命令と言うのは本当だ。だが、その命令に従う義務は無い」
じゃあ、私達を襲ったのは–––––
「すまない。本当はお前達の力を試す為に私が仕組んだ事だ。皇帝陛下の命に従うふりをしながらお前達が気付けるようにわざと足をつけてたんだ」
「そんな事の為に、ユウトは……」
「その件に関しては本当に申し訳ないと思ってる。予想以上の攻撃を受け、詠唱破棄まで使ってしまった。彼の治療に関しては出来る限りの事はさせて貰うつもりだ」
そんな事を話していると、森の奥からドス黒い瘴気を纏った獣がこちらに向かって歩いてくる。見た感じ、狼の類だろうか?
大きさは一回りも二回りも大きく、私1人は一口で丸々飲み込める程大きな口をしている。足は人一人分の身長ほどの長さがあり、それに伴って肉体は計り知れないほど大きい。
「こんなの、勝てるわけねぇ……」
「ぐっ!…おい…逃げるぞ!!」
「うぁぁあぁぁ!!」
「こんなはずじゃ…無かった…筈なのに…」
その巨大な魔物を見た瞬間、援軍としてやってきた冒険者達は、一目散に逃げてしまった。
そんな中、魔物を見上げながら、私は1人で絶望していた。
「おい、何をしている!早く逃げるんだ!」
ユサムの叫び声が聞こえる。それでも私の足は動かなかった。
ユウトと一緒に死ねるなら、それも悪く無いかな……
そんな考えが頭をよぎったが––––
「君が彼を守らなくてどうするんだ!今まで助けられて来たのでは無いのか?」
そうだ、私はいつも彼に助けられてばかりだった。私が守るとさっき誓ったばかりじゃ無いか!
そう思った瞬間、今まで動かなかった体が動くようになってきた。
私はユサムの横に立つ。
「お前!?何をして––––」
「私も戦います。ここで仕留めなくては、ユウトを救う事は出来ませんから」
「………そうか。あいつは良い仲間を持ったな」
「そう言ってもらえるように頑張るつもりです」
一時的に、私はユサムと共闘する事となった。
久々にティア視点が入りました。やっぱり、急に視点を変えると、表現を微妙に変えなくてはいけないので難しいですね。




